【小ネタ】伊藤計劃氏の誤算、あるいは?
『ハーモニー』が全部解けるとは思っておらず、若干気が抜けております。
ともあれ、最近考えてるのもまた、『ハーモニー』の四方山ではありますが。
作品としてどこまで突き詰められていたかと言うと、「およそこちらが考えていた事すべて」と答えるしかない。表に出していない論点も含めて、考え得る限りの謎はすべて、作中で答えが示されていました。
作品内ですべて、です。この点に関して言えば、他作品を参照する必要は一切ありません。
作品として完璧と言っていい、そうとすら思います。
ただ……明確には答えの出ない話は残ります。
要は「これってどれくらい読み解かれるの想定してたの?」て話ですね。
完璧と言っていい完成度は、語りの形式上、読解を困難にします……単行本の刊行から15年以上、誰もたどり着けなかった程には。
そもそも、長編デビュー作たる『虐殺器官』の最後の仕掛けは、当人として難しいつもりではなかった。むしろ、バランスの失敗と見ていた節すらあります。
そう難しくしたつもりはなく、単にコントロールが上手くいってはいなかったと。
……んで、じゃあ『ハーモニー』で難易度を下げたかというと、全く下がってない。むしろ、難易度は滅茶苦茶上がってる訳ですね。
その状況で果たして、まともに読み解かれると想定していたのかどうか。
作家がもはや不在である以上、明確には答えの出ない問いです。答えの出ない問いですが、ともあれ解いてしまった以上、この点にも向き合わなければならない気がしています(了)。
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