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【雑文】語り手についての作者言及 『ハーモニー』読解/伊藤計劃研究

 あけまして。 文庫版『ハーモニー』 を読み返していましたところ、伊藤計劃氏が直々にヒントを出していたと気づいたので、以下記しておきます。 ※電子書籍版には未収録です。

伊藤 物語というものは、誰かに寄生することでしか存在しないので、やっぱり誰かが語ってないと辛いところがあるっていうか。誰かが語っているのかさえ分かれば別に一人称じゃなくてもいいんですけど。昔の詩人とかそういうもんですしね。

文庫版『ハーモニー』p378、初出は『SFマガジン』2009年1月号

 語り手は霧慧トァンだけど、ストレートな一人称ではない……と読めなくもない、かも(分かりにくいよ!)。「昔の詩人とか」は、『ハーモニー』がケルト神話からネーミングとってるのを踏まえてたんでしょうね。

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