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⑥相続・事業承継 相続税まとめ 基礎控除 非課税額 配偶者にかかる軽減税率 小規模宅地

◎相続税

:相続税の総額は、その相続全体における税額を表す。
∴遺産を相続人の間でどのように分けても
また、相続の放棄をした人があっても、相続税の総額は変わらないようにするという特色を持っている。

・相続開始前3年以内の暦年課税による贈与は課税価格に算入。
(贈与税の基礎控除額110万円はない⇒相続税の話だから

①基礎控除額


3,000万円+600万円×法定相続人の数
(養子は実子がいる時は1人まで、実子がいない時は2人まで)

②非課税金額

◎生命保険金の非課税金額


500万円×法定相続人の数

◎死亡退職金の非課税金額


非課税の対象者
相続人(放棄、欠格、排除は対象外)
死亡退職金=相続税(みなし相続財産)
非課税限度額
500万円×法定相続人の数
(相続を放棄した人も基礎控除、非課税の法定相続人の数にはカウントする)

FP1級2020/9問47


1) 相続の放棄をした者が受け取った死亡退職金は、その者の一時所得として所得税の課税対象となり、本規定の対象とならない。

A.相続税

3) 被相続人の弟が相続の放棄をし、相続人が被相続人の配偶者と妹の合計2人である場合に、配偶者が3,000万円の死亡退職金を受け取ったときは、その死亡退職金のうち、本規定の適用後に相続税の課税価格に算入すべき金額は2,000万円となる。


A.3,000万円−500万円×3人=1,500万円


◎弔慰金の相続税非課税枠

以下の金額の範囲内では相続税非課税
業務上の死亡
=賞与を除く普通給与の3年分
業務上以外の死亡
=賞与を除く普通給与の半年分

FP1級2020/9問47


2) 被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合に、相続人が被相続人の雇用主から受け取った弔慰金が被相続人の死亡当時の普通給与の6カ月分に相当する額以下であるときは、その全額が本規定の対象となる。

死亡退職金の対象→A.弔慰金


③配偶者に対する相続税額の軽減


1億6千万円まで
OR
法定相続分まで相続放棄はなかったものとして

(3)相続税の課税価格の合計額が2億円で、相続人が被相続人の配偶者と子の2人であるとき、子が相続を放棄して、他に相続人もなく、配偶者が相続財産のすべてを取得した場合、配偶者の税額軽減の適用を受けると納付すべき相続税額は生じない。


④小規模宅地の特例

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
○宅地⇒貸家建付地として評価
○借入金⇒債務控除の対象

(1)特定居住用宅地等
・330㎡まで適用
・減額割合80%
・配偶者:いつでも適用(売却しても!)
・子供:同居する意思が見えればOK
→家なき子等
・同居の親族:相続開始〜申告期限まで所有し居住
・☓親族でない者

(2)特定事業用宅地(同族会社)
・400㎡まで適用
・減額割合80%
・被相続人・親族・特殊関係人で50%超保有する法人の事業用宅地
・①相続税の申告期限までに事業引き継ぎ
 ②申告期限までその事業営んでいる
・宅地を取得した者が、被相続人の親族&相続税の申告期限までに役員(死亡した後に引き継ぐかどうか等検討する時間を配慮して☓相続開始直前までに)
※☓土地が使用貸借により利用されている場合、事業が継続されていない場合、

(3)貸付事業用宅地
・200㎡まで適用
・減額割合50%
ex.
400㎡の土地4,000万円の場合
⇒評価額3,000万円
∵200㎡(2,000万円)まで50%減額
・相続の開始前3年以内に新たに貸付事業を始めた場合も摘要OKとなった。
・不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業、事業と称するに至らない不動産の貸付その他これに類する行為
ただし不動産の貸付は相当の対価を得て継続的に行うもの
❌使用貸借により貸し付けられている宅地

(4)併用して利用する場合
(1)と(2)を併用する時は限度面積までで適用可能。
(3)と併用する時は地積の限度計算必要
ex.(1)198㎡と(3)400㎡を併用
1-(198㎡÷上限330㎡)=0.4⇒0.4を(3)に適用
上限200㎡×0.4=80㎡

FP1級2020/9問49


2) 被相続人の居住の用に供されていた宅地を被相続人の親族でない者が遺贈により取得した場合、その者が相続開始の直前において被相続人と同居していたときは、当該宅地は特定居住用宅地等として本特例の適用を受けることができる。

3) 被相続人が発行済株式総数の全部を有する法人の事業の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その親族が相続開始の直前において当該法人の役員でなければ、当該宅地は特定同族会社事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。

4) 被相続人の貸付の用に供されていた宅地を被相続人の親族が相続により取得した場合、その宅地が建物または構築物の敷地の用に供されているものでなければ、当該宅地は貸付事業用宅地等として本特例の適用を受けることはできない。

構築物とはアスファルトになっている駐車場含まれる。(舗装されていないジャリのものは不可)

FP1級2021/1問48 FP1級2020/9問60

相続アドバイザー2級2018/10


1)被相続人の事業の用に供されていた宅地等(特定事業用宅地等)の事業承継要件は、相続税の申告期限までの間にその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいることである。

2)被相続人の居住の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地等)を被相続人の配偶者以外の同居の親族が取得した場合、取得者等ごとの要件は、相続開始のときから相続税の申告期限まで、引続きその宅地等を有し、かつその家屋に居住していることである。

3)特定事業用宅地等に該当する宅地350㎡と、貸付事業用宅地等に該当する宅地200㎡について、特定事業用宅地等から優先して本特例を適用する場合、貸付事業用宅地等の適用可能面積は25㎡となる。


1-350㎡÷400㎡=12.5% 200㎡×12.5%=25㎡

4)貸付事業用宅地等における貸付事業とは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および事業と称するに至らない負動産の貸付その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う準事業をいい、使用貸借により貸し付けられている宅地等も本特例の対象となる。


◎相続税の申告書の提出・納付

◯申告必要(基礎控除以下でも)
・小規模宅地の特例
・配偶者に対する相続税額の軽減

◯申告不要(基礎控除以下なら)
・生命保険の非課税枠の利用
・相続時精算課税制度の利用

FP1級2020/1㊼

(a) 相続人が被相続人の配偶者のみであり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約による死亡保険金1,000万円を受け取った場合


❌(申告不要)★★★
生命保険の非課税枠利用は相続税が基礎控除以下なら申告不要
相続税の基礎控除額
3000万円+600万円×1人=3,600万円
相続財産3,000万円+1,000万円=4,000万円
生命保険非課税枠500万円×1人=500万円
4,000万円-500万円=3,500万円


(b) 相続人が被相続人の配偶者と子の合計2人であり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、5年前に相続人が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合


❌★★★
相続時精算課税制度の利用は相続税が基礎控除額以下なら申告不要
相続税の基礎控除額
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
相続財産3,000万円+1,000万円=4,000万円


(c) 相続人が被相続人の配偶者と子2人の合計3人であり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格の合計額が4,200万円になる場合


⭕(申告必要)★★★
小規模宅地の特例は基礎控除以下でも申告必要


(d) 相続人が被相続人の配偶者のみであり、相続開始時に被相続人が所有していた財産は6,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより、納付すべき相続税額が算出されない場合



配偶者に対する相続税額の軽減は基礎控除以下でも申告必要


相続アドバイザー2級 2019⑭

遺産にかかる基礎控除額が4,200万円である場合に、財産を取得した相続人が相続税の申告を必要としないものは次のうちどれですか。

(1)小規模宅地等の特例の適用により、宅地の評価を1,500万円減額した後の相続税の課税価格の合計額が3,500万円である場合

必要

小規模宅地の特例は申告必要

(2)相続開始時点の財産が金融資産3,900万円のみで、被相続人の生前に被相続人から相続人への贈与はなく、被相続人の死亡によって相続人がみなし相続財産となる死亡保険金を1,200万円受け取った場合

不要
生命保険金の非課税枠
500万円×2=1,000万円
死亡保険金1,200万円-1,000万円=200万円
3,900万円+200万円=4,100万円<4,200万円


(3)相続により財産を取得しない相続人が、被相続人から相続開始の4年前に現金2,000万円の贈与を受け、相続時精算課税制度の適用を受けていたとき、その受贈額相続税の課税価格に加算しなければ課税価格の合計額が4,000万円となる場合。

必要
4,000万円+2,000万円=6,000万円

(4)相続により財産を取得した相続人が、被相続人から相続開始の2年前に株式(贈与時の相続税評価額1,500万円、相続開始時の相続税評価額1,200万円)の贈与を受けていたとき、その受贈学を相続税の課税価格の合計額に加算しなければ課税価格の合計額が2,800万円となる場合

必要
相続税の課税価格に加算される贈与財産の価格は贈与時の価格
1,500万円+2,800万円=4,300万円

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