【新紙幣デザインについて】
ネットで発表された新紙幣の画像を見た感想。
グラデーション(表現されている陰影)が、写真っぼいんですね。ひょっとして、写真からトレースしたのではと思いました。
現行の紙幣と比べると、デッサン的な陰影調整があまりなされていないのが分かります。フォルムも写真っぽい癖がある。モニター上の印象ですが。
お札の絵はエングレービング(ビュラン彫り)という技法で作ります。
ビュランのことは、いぜん荒俣宏氏がきちんと紹介してくれていました。私は美大で専攻しましたので、多少は分かります。
前の紙幣の時(諭吉登場時)は、腕のいい職員が定年でいなくなるので、その前に早めに作ったという話を何かで読んだ記憶があります。今回の理由は知りません。しかし、今回のデザインをスクリーンで眺めると、若干の違和感を感じます。それが冒頭に記した推測ですね。
もしもこの推測通りなら、その場合、やり方としては写真を銅板の上に投射して作業するか、あるいはなんらかの方法で印刷してしまいそれを目安にする、などの方法が考えられ、難しいことではありません。(ここで簡単だと言っているのは投影までの方法です。その後それの陰影を線の密度に変換して彫っていくのは、それだけでもかなりの手技が必要です)
もちろん、たまたまそういうテイストの写真的な視覚感覚を持ったアーチスト(この場合は造幣局の職人)が彫った可能性も考えられないわけではないので、断言まではしませんが、多分そうだろう、という感じです。
トレース自体は善とか悪ではないし、個人的に学習のために授業では薦めまくってますが、しかしトレースしないと絵ができないのなら、それは表象力の衰えかも知れませんね。
しかし、今回の三人、みんな少々肥ってますね。無意識だろうけど、なぜだろう(笑)