4歳のきみへ

いまのぼくからきみへ

きみは、どこからきたの?

この前、たくさん遊んだね。走りまわったり、肩車をして飛び跳ねたり。ぼくが帰るときに、きみがすねているのを見て、かわいくてしょうがなかったよ。妻には、遊んでもらえてよかったねぇって、逆に言われたけどね笑。

きみは覚えていないかもしれない。ぼくはこんな質問を君にしたんだ。

「きみは、どこからきたの?」

そこから、きみは色んなことを教えてくれたね。昔、海の中でクジラだったときのこと、地面の下でモグラとして生きていたときのこと、雲の上の世界にいたときのこと、そして生まれる直前にきみが卵だったときのこと。

その後に、こんな質問もしてみてみた。

「どうしてお父さんとお母さんのところにきたの?」

そしたらきみは、「お母さんがちゅうしゃしてなかったの。だから、ぼくといっしょだと思ってきたの。」と答えてくれたね。理解できない僕に対して、どうしてきみはそんなことも分からないの?という感じで、不思議そうに僕を見ていたね。

この話の後、きみのお父さんとお母さんが、いつも親同士が喧嘩している時に、きみが最高のタイミングで仲裁に入ってくれるって教えてくれたよ。きみは冷静に状況を見ていて、どちらが謝るべきか、理由をつけてばしっと言ってくれるって。いつもお父さんとお母さんは、きみの説明が正しすぎて、しぶしぶ納得せざるをえないっていってた。

自覚がないだろうけれど、きみは、とっても難しいことを当たり前のようにやっているんだよ。そんなきみを見ていてしみじみ思う。それは、次の世代にいけばいくほど人間は進化しているということ。きみは、ぼくの見えない世界を見ているということ。ぼくの、もっともっと先にいるよ。

ぼくもそんなきみに恥じない世界を作れるように、おじさんとして精一杯頑張るよ。でもさ、きみがいつかおとなになったとき、僕に対して、きみのやっていることは間違っている、おかしいってばっさり切ってほしんだ。

そして、僕の見えていない世界を見せて欲しい。更にそれを実際に創造していってほしい。そんな日が来るのを楽しみにしているね。

違うぼくからきみへ

きみは近いうちに、今の記憶を失うことになる。

だから、今のうちに、お父さん、お母さんに、きみの言葉を残しておいてもらいなさい。その言葉たちは、いつか、扉を開けるための鍵になる。

将来、きみには、どうして自分がこの世に存在しているのか分からなくなり、生きることが辛くてしょうがなくなる瞬間が来る。悩んでも悩んでも辛さは解消されず辛い想いをすることになる。けれど、悩み抜いた先に、きみの目の前に、ふと小さい時にきみが話していた言葉が顕れることになる。

その時、きみはそれまでの人生で身体の中に溜め込んできた痛みに触れ、涙が溢れて止まらなくなる。透き通った、きれいな、きれいな涙。その涙を流しきり、きみの過去受けてきた痛みが癒やされきった時、あなたは生まれ変わる。その瞬間、きみは一度死ぬのだ。きみの言葉は、その鍵となる。

生まれ変わったきみは、いま家族の中で無意識にやっている役割を、世界の舞台でやっていくお役目を果たしていくことになる。人はそれを、紛争解決人と呼んだり、ファシリテーターと呼ぶ。そこからがきみの第二の人生の始まりだ。

それまでは、無邪気に人生を謳歌しなさい。感じていることを、絵や文章で表現しなさい。

そうすれば、その日はいつか、かならず訪れることになる。

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