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根本的に間違っていたのかもしれない。

生きていると、人生の流れを根本的に変えてしまう本と出会うことがある。

一冊目は、立花隆氏の「宇宙からの帰還」という本。僕が生まれる前の1982年、地球の外に出た宇宙飛行士に、彼らの地球外活動の「内的体験」について話を聞くながら綴られた本だ。僕の心のとても深いところで憧れ、体験したい、目撃したいと願っている世界は、まさに地球の外から世界を眺めるような体験かもしれない。

二冊目は、霊長類研究者の松沢哲郎氏の「想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心」だ。東日本大震災の後、いろんなことに疲れ果てていた時期に出会った本だ。人間の特徴とはそこにないもの、見えないものを想像してしまうことにあるという主張は、僕の人間観の根底となった。創業した ARu inc (ないものをあるものに)という法人名とパーパスの背景にも、この捉え方が大きく影響している。

そして、もしかすると三冊目になるかもしれない本と出会った。僕があまりに好きすぎる、多分世界で一番好きな作家、上橋菜穂子氏。彼女の「香君」という小説だ。彼女の小説「精霊の守り人シリーズ」「獣の奏者」「鹿の王」はすべて読んでいて、獣の奏者は漫画版を初めて読んだ時、驚くくらいに泣きちらした。その彼女の新刊だ。

いい本はたくさんある。刺激的な本もたくさんある。でも人生を変えてしまう本というのは数少ない。

僕は学生を卒業し、15年間以上(一定期間を除き)、ある意味で"リーダー" として何かを創り出す仕事をしてきた。これはこれで正しいし続けていくのだろうけど、もしかするとこの自身の役割が根本的に間違っていたのかもしれない、という気付きがその気付きの起点だった。この三冊目がどういう変容をもたらしうるのか、これ以上言葉にはしないでおこうと思う。

「宇宙からの帰還」は、僕の世界観を。
「想像する力」は、人間観を。
そして「香君」は、仕事観を。

「香君」の著者は、仕事(言い換えると、社会の役割)に関する気づきをもたらそうという意図をもっていないはず。でも僕が受け取ったのは、これからの僕自身の社会での役割の根本的な変容だ。

これが本当に根本的なものであれば、1年後現実化しているだろうし、単なる思い込みであれば1年後忘れてしまっているはず。さてどちらになるのか、とても楽しみだ。

追記:クラウドファンディング始めました。応援いただきたらとても嬉しいです。


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