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つなぎでする合気道における「隙」の話:隙のある/なしは何で決まるのか?

よく隙がまったくないとか、あるいは隙だらけとかマンガなんかで使われる表現があるが、それは果たしてどういうことなのだろうか?
多くの人はなんとなく隙があるんだろうなぁみたいな感じで理解しているのだろう。それでいい、なぜなら隙のことを具体的に考えているようなやつはアホだからだ。

そんな希少なアホのひとりとして隙について具体的に語らせてもらう。
隙というのは「つなぎめ」のことだとおれは考えている。

つなぎめは弱い

仕事をサボるのがおれの仕事なので、配管とかを工事する業者のおじさんとコーヒーを飲みながら仕事をサボったときのこと。
おじさんは「配管が老朽化して壊れるのはつなぎめからだ」と教えてくれた。

Tips
配管をつなぐエルボは密かに合気道の稽古でも身体のつながりを理解するのに使える。
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エルボや継手とも言われる配管の曲がってる部分というのは、中からはゴミが溜まりやすく、外からは圧力がかかったりして壊れやすい。
人間で言えば関節なんかがこれにあたる。

やっぱりよく負荷がかかる部分は壊れやすくなってしまう。
肩だの首だの腰だの膝だの、人間が壊れるところもこういうところが多い。これがいわゆる弱点だ。
洋服なんかでも袖と体の部分は別々につくられていて縫い付けられていたりするので、袖を強引にひっぱるとやっぱりもげてしまう。

つなぎ目というのは隙間があって壊れやすい
隙というのはそういうつながりの弱いところから発生する。

隙があるとは?

じゃあ人間の関節に隙があるのか?って話しになるとそれは違う。
もちろん関節は壊しやすいけれど、それは隙とは関係がない。
つなぎめというのは比喩だ。何事にもつなぎめがあって、つなぎめは通常よりも弱い、狙い目なのだ。

例えば電話だってコールがなっている間はつなぎめだ。まだつながってはいない。
ネットだって検索をかけている時に丸いわっかがグルグルしている時はまだ繋がっていない。つなぎめだ。

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つなぎめは意識にだってある。
このグルグルを見ている時、あなたは隙だらけだ。わかるだろ?
何かを決断するまでの空白時間みたいなものがある。どっちにしようか決まっていない時間。
人によってはそれを脳の空白期間、リフラクタリーピリオドといったりもする。

Tips
リフラクタリーピリオドは英語ではエロい意味もある、というかそちらが主流でいわゆる事後に性欲がなくなる期間、賢者タイムのことである。これも性欲と性欲のつなぎめではある。
Refractory period (sex)ウィキペディアより

今まで一定のリズムを刻んでいた音楽が転調する瞬間もつなぎめだ。
動こう、動かそうとする意識はつなぎめになる。
急発進、急ブレーキ、急ハンドル、それまで一定だったものをいきなり変えようとする行為にはつなぎめが生まれてしまう。
それが隙だ。その瞬間がいちばん脆い。

つなぎ目をなくす

シームレス(Seamless)という言葉がある。これはつぎめ(Seam)がない(less)という意味だ。
つぎめを認識させない、というような意味で使う。これが隙がない、ということだ。

隙をなくすにはつぎめをなくして一体化させる必要がある。
動きからつぎめをなくすために、意識と身体をひとつに、全身が一体化していないといけない。
その上で、まるでその場で高速回転するコマのように見た目の上では止まっていても、決して静止しない。

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one著『ワンパンマン』より抜粋
地球最強の男、キングさんもその極意を体現している。隙のない立ち姿というのはビビってその場で震えているのとはワケが違う。

つなぎめをなくすために必要なことは一体化だ。自分の身体と意識のつぎめをなくし、自分のうごきのつぎめをなくし、そして相手とも一体化してつぎめをなくす。
最初からあらかじめつないでおく。つなぐ作業をシームレスにする。
それが隙がない、ということ。
おわかりいただけただろうか?

まとめ

エルボ・服の袖・レゴ・机・電話の通信・ネットの通信・意識、何事にもつなぎめがある。そこは弱い。隙というのはつなぎめのこと。

一体化して、事前に準備をして、つなぎめをなくせば隙はなくなる。

最初からつないでいれば無敵。

今回のテーマはつなぎめをなくすことなので別の記事へとつないでおく。

型稽古は勝ちや負けのつなぎめをなくしてくれる。

おわりだ!


マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?