合気道マニアック本解説『砂泊先生の教えと言葉』著:本多理一郎
砂泊諴秀といえばかつて九州で名を馳せた『万生館合気道』の創始者だ。
著者はその弟子で親徳館合気道の指導者・本多理一郎氏で、合気道歴は55年!
長年師事した砂泊先生の言葉とその内容についての考察が書かれている。
やや身内向けというか、もともと親徳館の会報だったものを加筆修正してるらしいので、万生館や砂泊先生について興味がない人には厳しいかも。
砂泊先生の逸話というのは九州近辺にいると聞くことも多いので楽しく読めた。
合気とは愛なり
万生館合気道と言えば『合気道の精神』と題される合気道についての基本理念を大切にしている。
本書でもその意味する所について様々な考察がされていて『合気道の精神』に真摯に向き合ってきたのだろう。
合気道開祖の難解な表現、陰陽の結びなんかをシンプルに「相反するものを一つにする」と解説したのは砂泊先生がはじまりなのかも知れない。
面白ポイント
個人的にめっちゃ面白かったのは、『秘伝古流武術』という雑誌から砂泊先生がインタビューを受けた時に合気道が古流でも武術でもなかったので雑誌の名前が『秘伝』に変わったという話。
結果的に『秘伝』の扱える範囲も増えたし、なんか歴史を感じる話だ。
その他にも最近では万生館合気道そのものの活動がよくわからないので、万生館合気道の系譜を感じられるのが単純に嬉しい。
マニアックポイント
著者は砂泊先生が稽古の時に何気なく言っていた言葉を書き留めていたらしく、そこから感じられる砂泊先生の術理への考え方は興味深いものだった。
などなど、膨大な記録に残されている言葉の数々から砂泊先生がどのような考えだったのかを知れる良い資料でもある。
万生館合気道についてそんなに詳しいわけでもないけれど、まったく知らんわけでもないので個人的にはけっこう楽しく読むことができた。
まとめ
本来この本は親徳館合気道の関係者向けだったり、万生館合気道の関係者向けだったのかも知れない。
それはそれとして、かつて九州で一大勢力を誇っていた砂泊諴秀という人がどのように考え、どのように指導していたのか、そんなものの一端を知ることもできる。
個人的にはこうした資料はないよりはあったほうがいいし、この本のように電子書籍とかになってくれれば値段が高騰することも減るので、こういう流れでどんどん本が出てくれたらいいなぁと思う。
マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?