「頂き女子」から考える騙そうとしないことの重要性:合気道で人から力を頂くために必要なこと
色んな男から数億円を頂いてそれをホストに貢いじゃったという「りりちゃん」の話をみてて合気道との共通点みたいなものが見えた。
この子はいわゆる情報商材みたいな感じでマニュアルを売っていたらしく、それを使ってお金を頂かれた人が出てきたことで逮捕に至ったらしい。
だいたいの詐欺行為の手法というのは人を動かすために必要なことでもあり、それは合気道の人を動かす技術とも近い。
手法の共通点
りりちゃんは大好きなホストに貢ぐために色んな男からお金を頂いていたらしい。
中卒でホームレスというかなり詰んだ状況から、自分の実体験を基に人からお金を頂く手法をつくりあげマニュアル化した。
このマニュアルの興味深いのはそもそも本人がそれを犯罪とすら思っていなかったっぽいという所。
詐欺の手法というのはだいたい同じなんだけれど、りりちゃんは勉強したわけではなくゴリゴリに実体験から生の言葉でマニュアル化しているのが興味深いところだ。
それについては特に深く解説しないけど。
①信頼関係をつくる
りりちゃんは知り合った男性と毎日こまめにやりとりをすることで信頼関係を築いており、そのコツはまるで親密な関係にあるかのような会話をすること。
合気道では相手とつながることを「結び」といって力を産み出すという意味の「産霊」から来ている。
これも相手と結ぶには共同作業が必要で、自分の身体の一部を預ける必要があり、まるで信頼関係があるかのように振舞うわけだ。
②相手に動いてもらう
連絡をこまめに取っていたら急に何かトラブルがあったかのように音信不通になり、心配させた後に連絡を取ってお金の相談がはじまる。
ここでうまいのは自分からはお金を出して欲しいとは言わずに、闇金から借りるとか、風俗で働くといったことを言って、今までのように連絡がとれなくなることをほのめかす。
そうすることで関係を終わらせたくない相手からお金を出すように仕向けるというわけだ。
合気道でもお互いに力を出し合っている状態から力を抜いて相手に譲ることで、相手に自分を「持たせる」ようにしていく。
こうすることで相手は自分を支えながら動いてくれるようになり、相手の方から力を出すように仕向けることができる。
③アフターケア
お金を貰ったら、相手に感謝を伝えたり、親密度が増したことを伝えてこのサイクルを相手のお金が尽きるまで繰り返す。
破滅するまでは協力関係にあるわけだ。
合気道でも相手を動かせるようになったら今度は自分が相手を支えてやり相手を倒すまでは協力関係ある。
いきなり相手を完全に倒そうとすると、自分が出した力で相手が立ち直ってしまうからだ。
大事なのは騙そうとしないこと
こうした詐欺なんかを見てて、思う一番重要なポイントは「騙そうとしないこと」。
これも合気道と同じで、「倒そうとしないこと」が重要になる。
どうすれば倒せるのかを知っておくことは大事で、合気道でもまずは倒せるようになる必要があるけれど、より高度なやり取りをするためには倒せる時に倒そうとしないことが大事だ。
騙して金を取れると言うことは逆に言えば騙さなければ信頼を得られたりするわけで、騙せるけど騙さない、殺せるけど殺さない、というのは色んな技術の発展の基本となる。
詐欺の手法と合気道の手法が似ているように、こうしたものはどう使うかで良いようにも悪いようにも使えるのであり、悪いものでも良くなるように転換してしまえばいい。
合気道だって武術的な人を殺傷する技術がなければ今の姿はないわけで、そのことを忘れないようにしつつ、良い方向に使っていくことが大事なのだと思う。
おわり
マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?