20240106 【論文ノート:generativity】generativityで予測されるもの

  私の関心はgenerativityなので,基本的に「generativityが高い人はどのような人?」といった,世代性を従属変数として他の独立変数で予測する論文に関心を持っています。
 で,今日論文を探していると,「ある時期のgenerativityがその後の適応を予測する」という論文をみつけました。Generativityはエリクソンの第Ⅶ段階なので,その後の第Ⅷ段階を予測する研究は目を通していましたが,今回のものは「日常生活動作(ADL)の障害レベルの増加や死亡の可能性」との関連をみていて,そのようなものも予測できるのだな~と驚きました。
 
【書誌情報】
Gruenewald, T. L., Liao, D. H., & Seeman, T. E. (2012). Contributing to others, contributing to oneself: perceptions of generativity and health in later life. The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences, 67(6), 660–665.

 以下に要約をDeepLで翻訳したものを引用させていただきます。
 

目的 米国中年期研究(MIDUS)に参加した60~75歳の高齢者において、世代性の認知が、10年間の日常生活動作(ADL)の障害レベルの増加や死亡の可能性を予測するかどうかを検討すること。
方法 MIDUS研究のベースライン波と追跡波との間の10年間におけるADL障害レベルまたは死亡率の変化の予測因子として、ベースライン検査で評価された、世代性の認識および現在の世代的貢献、ならびに選択された社会人口統計学的因子、健康状態因子、健康行動因子、および心理社会的因子が検討された。
結果 ベースライン時のジェネラティビティおよびジェネラティブな貢献のレベルが高いほど、社会人口統計学、ベースラインの健康状態および障害で調整したモデルにおいて、10年間の追跡期間中にADL障害(2つ以上の新たな障害領域;ジェネラティビティのオッズ比[OR]=0.93、ジェネラティブな貢献のOR=0.87)の増加、または死亡(ジェネラティビティのOR=0.94、ジェネラティブな貢献のOR=0.88)を経験する確率が低いことが予測された。分析モデルに健康行動や心理社会的変数の異なるセットを組み込んでも、関連は比較的変わらなかった。
考察: 所見は、高齢者において、より大きな世代性の認知が、長期にわたる身体機能および長寿のより良好な軌跡と関連することを示している。

 まあでもこうして「壮年期のgenerativityの充実」が「老年期の健康」を予測する研究があることで,壮年期のgenerativityの上昇の意義を説明でき,それゆえ壮年期にgenerativityを得にくいと考えられる人々へ働きかける意義を主張できるようになると思うのでこの研究は貴重だなと思いました。

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