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20240211 それはファスナー合流ではありません

 昨日空港で見た光景からエスカレーターの追い抜きについて書きましたので、それと一緒によく思っている「ファスナー合流」についても書いておこうと思います。

 ファスナー合流とは、NEXCO中日本(2020)によると、「規則正しく1台ずつ交互に(ファスナーのように)合流すること」と定義されているようで、「渋滞している高速道路に合流車線から合流するとき、先頭まで行かずに途中で合流しようとする車が複数台いることで効率的な合流が阻害されていることの解消策として「合流車線の先頭まで行って交互に合流することを推奨するときによく使われる言葉だと思います。

NEXCO中日本(2020)によるファスナー合流の説明図の引用

 このあたりの説明と実際の実証について非常にわかりやすくまとめられているので以下のページをみていただけると幸いです。

 ただ、このことを根拠にして、ファスナー合流ではないものをファスナー合流としてその妥当性を主張しようとする人も結構いるなあと思っています。具体的には「車線減少があらかじめ表示されているのに走り続け減少するところで入ろうとする行為」や「右折専用になると表示されているのに走り続け最後に直進レーンに入ろうとする行為」でしょうか。
 私が一番印象に残っているのが福岡市の中村学園大学の近くの中村大学前交差点で、西向き2車線のうち1車線が右折専用になり直進と左折が1車線のみになるところです。それだけでも渋滞するのに西鉄バスが交差点近くにバス停を設置していてそれによる渋滞も発生しやすく、直進レーンがなが~く渋滞しているのに右折レーンはすいているので右折レーンを最後まで走って、交差点直前で入れてもらうとする車が続出していたのですよね。
 この件について説明する図を作ろうかと思ったら、やはり皆がイライラする交差点だったからか改善工事が現在実施されているようでそれを説明する国土交通省の資料があったのでそこから図を引用させていただきます。

http://www.qsr.mlit.go.jp/fukkoku/newstopics_files/20230217/230217-1.pdf


国土交通省 九州地方整備局 福岡国道事務所(2023)の資料より引用

 車線減少の場合、渋滞が非常に激しい場合はファスナー合流が合理的な気がしますが、ある程度は動いている場合に減少する車線をばびゅーんと走ってきて何十台とごぼう抜きしてきた車が合流しようとするのは…な気分になると思います。
 また、中村大学前交差点の場合は、右折専用になると前もって青ペンキで表示もしているのに右折レーンを走ってきたのだから、最後で合流せずそのまま右折しろよと思わずにはいられません。
 このあたり、ファスナー合流のシミュレーション研究で科研費を獲得されている先生もいていろんな論文があるようですが英語が主で私にはわからないし日本語のものもあったけれども本文読めなかったのが残念無念。
【書誌情報】
西遼佑・三木宏史・友枝明保・柳澤大地・西成活裕 2010 スロースタートモデルにおける交互合流創発による流量改善. 第16回交通流のシミュレーションシンポジウム.

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