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20240406 神戸まつり vs. 博多どんたく

 2024年の神戸まつりは4月21日にあるようですね。ルミナリエの開催方法が変わって正直残念に思っていたり,花火の分散実施にもなんだかなと思っているので,これで神戸まつりまで改悪されたらいやだなあと思っていたのですが,今年の開催時期変更は5月に世界パラ陸上競技選手権大会を神戸で開催するためであり,おそらく来年度は元の時期に戻ると思われます。
 で,その件を神戸まつりの公式HPで調べたついでに神戸まつりの歴史を確認してみると,博多どんたくとの相違が明確にあるように思えました。

1.ルーツとしての「みなとの祭」の存在
 
 第1回のみなとの祭は昭和8年開催。全国的な不況を払拭することを目指して実施。主な行事は「みなとの女王の戴冠式、国際大行進、市電の軌道上を運行した花電車、懐古行列、市内の電飾など」。
 
2.もう1つのルーツの「神戸カーニバル」
 
 昭和42年に神戸開港100年祭の一環として,これまで10月に開催されていたみなとの祭を5月に開催,前夜祭として「神戸カーニバル」を実施。「報道関係者の発案に、商工会議所、青年会議所、婦人団体協議会など多くの団体が賛同して開催されたもので三宮東遊園地を中心に、歌、踊り、仮装など のパレード、芸術家グループによる壁画、若者たちの青年広場など光と色と音楽にあふれた楽しい祭典」であり,これ以降みなとの祭は五月開催へ
 
3.みなとの祭から神戸まつりへの変化
 
「市内の交通事情の悪化でみなとの祭の懐古行列、花電車の実施が難しくなってきたことなどいろいろな問題が発生し、 検討委員会の答申をもとに昭和46年に「みなとの祭」と「神戸カーニバル」を発展的に解消して、「神戸まつり」として、毎年5月の第3日曜日に実施することに」
 
 おおざっぱにわけると,以下のようになると思います。
 
昭和8年~昭和42年 国際大行進,花電車,懐古行列など中心
昭和42年~昭和45年 神戸カーニバルの追加
昭和46年 神戸まつりと名称変更しカーニバルの強化と懐古行列と花電車の中止
 
 博多どんたくの場合,博多どんたくの先陣を切るものとして「博多松ばやし」が存在し,その後高島市長などのえらいさんが通り,電飾されたバスによる花電車が走ってからパレードが始まります。
 

写真は2019年のものです
写真は2019年のものです
写真は2019年のものです


 花電車は花電車で懐古行列を博多松ばやしとすると,
 
神戸まつり = 博多どんたく - 花電車 - 懐古行列
 
という式がなりたち,その減算は昭和46年に行われたと考えられます。
 
 市内の交通事情の悪化とありますが,神戸のフラワーロードは福岡の大博通りレベルの太さで,大丸前の道が明治通りに相当しそうなので花電車をバスで通すのであれば問題は無いように思えます。昨年度も阪神のアレでパレードもできたわけで。
 そういう意味では神戸カーニバルを発案した「報道関係者」が旧来のある意味古い要素である花電車や懐古行列を嫌い,それを排斥するような動きがあって「神戸まつり」になったのではないかなあと思ったりします。
 このあたり,みなとの祭から神戸まつりに変化した際のプロセスを追えば,神戸に伝統的な祭が少ない理由の一環を知ることができるかもしれないなと思いました。

 ちなみにCiNiiで「神戸まつり」を調べるとたったの8件…ちょっとおもしろいのが10周年にあたる1980年ころに研究が集中しているのですが,いずれもネットで見られないのが残念無念。
 
【書誌情報】
神戸まつり六大学合同調査団 1981 神戸まつり調査報告書. 神戸まつり六大学合同調査団.

 ちょっと面白いのが,上記の文献は京都大学を中心とした六大学の合同調査なのに,この本が所蔵されている大学は京都大学と関西学院大学だけで,あとの4大学には所蔵されていないのですね~のこり4つはどこなのかなあと。

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