残しておきたいのはきらきら光る夜景でも大きな塔でもなくて
出発3日前に急いで購入し、2週間ばかり旅に出た。どうせなら気に入ったものがほしいからね、とストラップがまだ付いていないカメラを携えて。
あれもこれも、とシャッターを切っていたら、見返すのも一苦労だった。
カフェでコーヒーを飲む人の写真。犬を連れ道をゆく女性を撮ったつもりがだいたいぶれていたし、後ろからこっそり隠し撮りをした手を繋ぐカップル、一緒に遊んだ友達の横顔。
いつも見ているような日常の写真ばかりだった。その街の、いわゆるランドマークというか、観光地のようなものはほとんど収められておらず我ながら笑ってしまった。
それでも、収めたいのは。
人々が、恋をしたり、眠ったり、電車に揺られ出かけていくところだ。知らない街で誰かも、私たちと同じように、生活を営んでいるその姿。
まつりに美味しいコーヒーをご馳走してくださいっ