時を食べる
時を食べる
今夜のディナーは時間です。
フォークとナイフで上手に食べましょう。
まずは午前5時をひとくち、なるほど、鼻を抜ける爽やかさ、
午前11時をぺろり、ふむふむ、パンチのきいた喉越し、
午後3時はお楽しみ、チョコレートとクリームのハーモニー、
午後11時をひとかじり、いやはや、まったりとした舌触り。
長針と短針を上手に切り分けて、
尖っている秒針は脇によけましょう。
ローマ数字は調味料の組み合わせ、
アラビア数字はゼロの下味、
まとめて口の中へ放り込んだら、
しっかり砕いて噛みましょう。
すると不思議、噛めば噛むほど、
時間は、トルコアイスのように伸び縮み、
美味しい時間はさっと溶け、苦い時間は舌に残り、
今が何年何月何日の、何時何分だったのか、
見当もつかず、気にもせず、
ただ空の月を眺めて、眠くなったら眠るだけ、
鳥が鳴いたら起きるだけ、
こうして「時」が消化され、「時間」は咀嚼され、
ああ、美味しいひと皿だった、
ごちそうさまでした。
額縁サイズ:約220mm×275mm
使用画材:水彩・アクリルガッシュ
¥27,000+tax
−個展詳細−
個展「筆が編むレース」
2021/8/25(水)〜9/5(日)
at ranbu Space A → http://blog.ranbu-hp.com
12:30-19:30 火曜日定休
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