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カリスマ性について考えてみた

こんにちは。
そいつどいつの松本竹馬です。

今回は最近僕を悩ませる「カリスマ性」について書こうと思います。

最近、気づいたんですが僕には「カリスマ性」というものがないみたいです。
ニューヨークさんのYouTubeチャンネルの芸人名鑑そいつどいつ編という動画でも言われてました。






僕は普段、ニューヨークさんになんか言われたら絶対に言い返してきてるんですが、これについてはぐうの音も出なかったというか、その通りすぎて脱帽しました。
なぜなら、僕は自分でもそう思っていたからです。


そもそもカリスマとはなんなのか。
Wikipediaではカリスマとは「一部の人々が持つ、他の人々を引きつけ感銘を与える強力な個人の性質」と言われている。

つまりカリスマ性がある人は、人を惹きつけられる力を持っており、そのカリスマ性が強いほど、その力に惹きつけられる人数は多くなる。

ビートたけしさんや松本人志さん、これはもうお笑い界のカリスマだ。
信者も日本中にたくさんいる。

僕らの近い先輩でいうと、ニューヨークさんもそうだ。
もう売れっ子で若手芸人のトップランカーになっているが、実はニューヨークさんも売れてない頃から、「渋谷のカリスマ」なんて言われて、単独ライブをすれば即完売するくらいの信者はいた。

最近で言うと、男性ブランコさんや空気階段さんもそうだ。
本人は謙遜するだろうが、もう十分にカリスマだ。
この2組が出るライブのチケットは必ず売れる。
特に空気階段さんなんか単独ライブの配信でとんでもない数の売り上げを叩き出している。
空気階段さんは、8年前くらいからずっとお世話になってて、空気階段さんのファンが0人とかの時代も知ってる僕からしたら信じられないが、もう本当にカリスマになってしまった。

男性ブランコの平井さんも空気階段のかたまりさんも、僕はもう先輩というより親友みたいな感じになっているのでなんとも思わないが、この2人はやっぱりカリスマ性があるみたいだ。
この2人をTwitterに載せたらめちゃくちゃいいねとかがつくし、とても人気だ。なによりこの2人はみんなに「すごい」と思われてる。

対する僕は別に「すごい。」と思われていない。

ニューヨークの屋敷さんも動画で言っていた。

「竹馬はあの芸歴でキングオブコントの決勝に行ってるし、単独ライブも面白かった。そして、そのネタを書いてるから、もっと「すごい。」と言われていいはず。なのに、誰も竹馬のことを「すごい。」と言わない。」

本当にその通りだ。
僕は舐められたり、馬鹿にされたり、イジられたりはあるけど、別に「すごい。」なんて言われない。

もちろん、一部のファンの子なんかは言ってくれる。
ただそれも数が少ないし、そもそも僕らはファンが少ない。

ファンの少なさを痛感したのが草月ホールでした単独ライブだ。
キングオブコントの決勝の後、吉本の社員さんに草月ホールでの単独ライブの話しを持ちかけられた。
デカい会場なので僕は集客できるか不安で渋っていたが、社員さんも相方でさえも「ファイナリストなんだから、絶対に即完するよ!」と肩を押してくれた。
僕は「じゃあ、やるけど…大丈夫かなー。」と言いながらも、内心即完するだろうなーと思ってた。
確かにキングオブコントは8位という微妙な順位だったけど、それでもファイナリストだ。
松本人志さんも95点つけてくれてたし、キングオブコントの事前番組でも「そいつどいつ、前から注目してる。面白い。」と名指し褒めてくれていた。
松本さんの信者は来てくれるはずだ。
なにより僕らのキングオブコントのネタで笑ってくれた人も全国にはたくさんいるはずだ。

草月ホールで単独ライブをすると決めてから、話しはとんとん拍子で進み、すぐに会場が抑えられた。

「先行発売はかなりの申し込みが予想されるので、抽選になります。抽選に当たった方のみ、単独ライブのチケットを買うことができます。」

そういう案内もされていた。
とうとう、僕らも抽選をされる芸人になったか。
今までコントだけをひたすら頑張ってきてよかった。そう思ってた。


でも結果…抽選なんかなかった。
先行発売の応募者は全員当選して、その上で100枚くらいチケットが余ったからだ。
余裕で即完しなかった。
すげえよ、こいつら。

僕はそれをメールで知ったとき、崩れ落ちた。
あまりに真っ白な明日のジョー状態になっていたため、喫煙所にいたオズワルドさんが心配してくれた。
「お前に愛をあげたいわ。」と慰めてくれた伊藤さんに対して、僕は「あ、愛…??」と感情のないロボットのような返答をした。そのとき、愛という言葉の意味が本当に分からなかった。
崩れ落ちすぎて、立ち上がることができずにその日有楽町であったライスさん主催のライブの入り時間に遅刻した。
「絶対に即完するんでやりましょう!」と言ってくれた吉本の社員さんからは、それきりメールが来ることはなかった。


なんとか単独ライブ本番までに完売はしたが、僕にとってはとてもショックな出来事で、ネタ作りに取りかかるのも時間がかかった。

キングオブコントの決勝に行けば、「チケットを買ってくれー。」なんて言わなくても、勝手にチケットが売れる芸人になると思っていたのに、気がつけば僕たちはニューヨークさんやオズワルドさんのYouTubeの生配信に出て、「チケットを買ってくれ。」と頼んでた。
そしてそれでも買ってくれなかったから、最終的に「買えー!」ってキレていた。

同じ時期に単独ライブをした男性ブランコさんはとっくに即完していて、なんなら浦井さんが1人でやっているライブも、僕らより配信が売れていた。
キングオブコントのファイナリストになったのに、単独ライブのチケットが即完しなかったのは、僕らに人気がないから。
そしてその人気がないのは、僕らにカリスマ性がないからだろう。僕はそのときからそう考えるようになった。

単純に男性ブランコさんはキングオブコント準優勝で、僕らは8位。その差はあるのかもしれないが、それだけでもない気はする。
それはライス、うるとらブギーズ問題だ。


ライスさんはキングオブコント2016優勝。
うるとらブギーズさんはキングオブコント2019準優勝。キングオブコント2021も僕らと同じファイナリストだ。

ただ、僕はこの2組も実力に見合うだけの人気や集客はないような気がする。(ライスさんうるとらブギーズさん、ごめんなさい。)

おそらく、キングオブコント2021のファイナリストで草月ホールの単独ライブが即完しないのは、僕らとうるとらブギーズさんだけだと思う。(うるとらブギーズさん、ごめんなさい。)

面白さ=人気ではないとするなら、やっぱり面白さにプラスαで何かいるのだ。
そしてそのプラスαは、やっぱり人を惹きつける力、カリスマ性だ。


じゃあ、どうやってカリスマ性をつければいいんだと考えていたとき、僕は人づてに興味深い話しを聞いた。
囲碁将棋のふみたさんに芸人が悩みを相談するという企画で、ななまがりさんが僕と同じような悩みを相談していたと言う話しだ。



ななまがりさん曰く「金属バットさんやランジャタイさんと同じようなラインのことをやっているのに、その2組と比べて人気がない。」ということだった。

確かに金属バットさんやランジャタイさんも今すごく人気だ。賞レースの結果とか関係なく、あの2組にはサブカルっぽい雰囲気とカルト的な人気がある。カリスマの筆頭株だ。
なななまがりさんもキングオブコント2016のファイナリストで芸人をも唸らせるような良い設定のコントをやっている実力派だ。
金属バットさんやランジャタイさんくらいもっと人気も出ていいはずだ。


でも、そのときのふみたさんの回答がすごい興味深かった。
ふみたさん曰く「ななまがりさんはプライベートを全て見せすぎてて、他の2組と比べてミステリアスさがない。」とのことだった。

確かにななまがりさんはプラベートでも何でも全てを笑いに変えている。初瀬さんは彼女とイチャイチャしているのをTwitterでアカウントを作ってあげているし、森下さんも家でご飯が食べれないなどの変人エピソードを語っている。
もちろんめちゃくちゃ面白いのだが、それではファンをつけるためのミステリアスさがなくなるのだという。

お客さんはこの芸人、普段どういう人なんだろうって思うことによって、その芸人がどんどん気になってくる。
そういう面では素をたまにしか見せないランジャタイさんや金属バットさんはかなりミステリアスだ。そしてそのミステリアスさでお客さんを掴んでる部分もあるだろう。

この意見には僕も雷に打たれた。

イチローが野球選手のカリスマになっているのも、自分の底を見せないようにしてるからという話しも聞いたことがある。
イチローはみんなの前では、基本ヒットを打っても喜ばないし、三振しても悲しまない。それはそこでいちいち感情を見せてしまうと、野球選手としての底が見えてしまうからだと。

僕の場合は、もう底を見せすぎてしまっていた。ニューヨークさんのYouTubeでも大学デビューの話しをしたり、性癖を語ったり、お笑いルポライターと喧嘩なんかしている。
ライブやテレビでも喜怒哀楽をフルMAXで見せて、アメトークなんかでは後輩にボロカス言われてブチ切れたりしていた。
こんな喜怒哀楽をMAXで見せてるやつなんか、ミステリアスさのかけらもない。
てかそもそもカリスマは、お笑いルポライターと喧嘩なんかしないし。

なるほど、僕に足りなかったのはミステリアスさか。
そしてミステリアスさがないから、カリスマにはなれてないんだ。

合点もいった。
先輩を傷つけるような話しばかりで申し訳がないが、毎日のようにテレビに出ているジャングルポケットさんが単独ライブをやっても配信があまり伸びないのも、きっとそうだ。
キングオブコント決勝常連でテレビにも出まくってる本物のおもしろコント師ですら、朝の番組に夫婦で出たり、ドッキリ番組で喜怒哀楽出しまくったり、お茶の間にプライベートや人間性などを全て晒した結果、ミステリアスさがなくなり、カリスマ性が失われてるのだ。

テレビの露出=単独ライブの集客ではない。
全てをさらけ出してテレビスターになるか、ミステリアスさを残して単独ライブだけでも全国ツアーを回れるようなラーメンズさんのようなカリスマになるか、どちらかを選択しなきゃいけない時代なのかもしれない。



そう思ったとき、ふと先輩であり親友の彼が浮かんだ。

空気階段のかたまりさんだ。

彼もラジオで、号泣プロポーズしたり、フラれて号泣したり、もぐらさんにブチ切れたり、離婚して喚いたり、新しい彼女ができてヘラヘラしたり、喜怒哀楽をMAXで見せている。
プライベートだって全てさらして、本来ミステリアスさなんてないはずなのに、なぜかかたまりさんにはミステリアスさが漂っている気がする。
そして女子が好きそうなサブカルっぽい雰囲気もあわせもっている。

なぜだろうか。
かたまりさんが本来もっている空気感、ネタの世界観、喋り方、平場の立ち振る舞い…
確かにコアなファンが聞くラジオでは全てを晒しているが、テレビなどのお茶の間には出る番組を選び、人間としての底は見せてはいない。

でも色々と考えた結果、僕はある一つの結論に辿り着いた。




…丸メガネだ。






そうだ、男性ブランコ平井さんもだ。
丸メガネだ。




あまり遊ばせてない髪型に、細い体、そして丸メガネ。
これがもしかしたら、ミステリアスさの条件なのかもしれない。

これだ。
ミステリアスさがつけば、サブカルっぽい雰囲気も出てきて、カリスマ性も生まれる。
僕は早速、下北沢の家の近くの古着屋で全てを購入した。
細く見える服、丸メガネ、サブカルっぽい雰囲気の出る服。





これで僕もカリスマだ。
ありがとう。
憧れのバナナマン設楽さんになるぞ。












ちなみにこれで劇場に行ったとき、オズワルド畠中さんに「その丸メガネどうしたの?」と笑われたので、「花粉症が酷くて…」とウソついてしまった。
それ以来、劇場行くときに丸メガネはつけてません。

てかこんなこと書いてる時点でカリスマなんて無理だな。
カリスマはカリスマになりたいなんて言わない。
諦めます…









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