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「一次情報を捉える」CADDiジョイン前に、町工場修行で感じた現場のリアル

前回のnoteでは、私がなぜキャディにジョインしたかを書かせて頂きました。

ざっと要約すると、
①立場の弱い人のためになる、②日本に貢献する、という人生の軸を持っている中、
・いい技術がありながら、多重下請け構造に苦しんでいる加工会社のためになりたい
産業構造を変え、多くのプレイヤーに価値を出したい
というのが私のジョインの理由でした。

その後、2年以上キャディに携わる中で、私がキャディにいる理由も進化しています。その大きなきっかけとなったのが、町工場での3カ月間の修行の原体験です。今日は、その原体験を通じて私が感じた、製造業の中小企業の現場のリアルを伝えたいと思います。

なぜ町工場で修行しようと思ったか

会社の登記を行う前から、町工場で修行し、「一次情報を掴むべき」という話をCEOの加藤としていました。

目的1:「painの解像度を上げる」
モノづくり産業のポテンシャルを解放するというミッションのためには、解放を妨げる、コアな課題を解決する必要があります。ただ便利なサービスを出しても大きなインパクトは出せず、解決する課題がどれだけ町工場のpainになっているか見る必要があります。

目的2:「原価計算の精度を上げる」
キャディの重要な付加価値に、見積価格を瞬時に出せるというものがあります。複雑な特注品一つ一つで精度高く出す必要があるため、材料の仕入れから検査・梱包まで、全ての工程を深く理解する必要があります。

目的3:「現場に共感できる原体験を積む」
前のノートでも触れましたが、製造業は人と人の付き合いを大事にする業界です。キャディと運命を共にするような、深い関係をパートナーと構築するためには、相手への深い理解と共感が必要です。

ということで、電話を掛けたり、facebookメッセージを送ったりし続けること約1か月、知り合いの知り合いの知り合いの方で、ものづくりに熱く、新しい取り組みにも前向きな、素晴らしい会社様と繋がることができました。どこのものともわからない私のような人間を、3か月も受け入れてくれたことに深く感謝しております。

町工場での学び

横浜の町工場だったのですが、暗いうちから通勤し、朝8時に始業し、隙間時間で質問しながら17時まで作業をし、夜にキャディの仕事をする日々が続きました。作業は加工の中ではシンプルなものが多かったですが、他の従業員の動きや製品を触った感覚など、全てを漏らさず吸収しようとしていたため、かなり神経を使っていたと思います。
見返すと、当時の学びノートは4万字を超えていました。


学び1:中小企業にとって、見積は激しいペインである
勤務を始めて、最初に感じたのが経営陣の多忙さでした。日中は顧客対応や現場管理に追われています。納期に間に合わなさそうな製品があれば、最悪自ら巻き取り、夜な夜な加工します。そして夜に見積りに着手し、深夜に帰宅。見積りは価格を決める重要な業務であるため、社長や専務自らが行う中小企業が大半です。経営人材が少ない企業にとって、業務時間はかなり圧迫されます。見積の対応時間がボトルネックになり、仕事を増やせない会社もあるほどです。その中、大量の相見積もりで、苦労した見積りの70~80%が無駄になっています。多重下請け構造による相見積もりは心理的ペインであり、大きな経営課題だと、確信を持つに至りました。

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学び2:神は細部に宿る
加工会社によって強みが異なり、同じ製品でも数倍~数十倍の価格差が出るのが製造業の難しさであり、最適なマッチングをすることがキャディの重要な付加価値の一つです。「なぜそれだけの差が出るの?」とよく聞かれますが、材料費や設備の差に加え、技術者の細部の工夫があると思っています。曲げや穴あけが難しい形状があり、治具というものを作るのですが、技術者が短時間で使い勝手の良い治具を作るのは、まるでパズルを解くかのようです。他にも、自作の金型や、検査機器など、日々の工夫が効率化に繋がっています。こうした強みを見極め、マッチングに反映することが、キャディの肝になると認識しました。

学び3:モノづくりは難しい
当たり前のようで、当たり前と気づけていなかった大変な作業がたくさんありました。例えば板を着脱する作業も、20kg近い板の運搬を繰り返せば汗びっしょりです。曲げも機械がやってくれるかと思いきや、作業者の匙加減で精度が大きく変わります。バリ取り(金属のレーザー加工後の残留物などを取る作業)も、熟練の方と自分とではスピードに雲泥の差がありました。動画だと一見簡単な作業も、実際手掛けるとその難しさが分かります。それを知らずに原価計算をしていたらと思うと、ゾッとします。

学び4:技術者は、心もプロフェッショナルである
金属部品の脱脂(加工した金属の油を取る工程。実はかなり過酷)をしていた時なのですが、「製品同士が当たって精度が落ちる。もう少し気を付けてくれ」と指摘をされたことがありました。技術者曰く、図面に明記はないが、形状を見るに精度の必要な部品で、いつもより時間をかけて曲げ加工を行ったため、扱いに気を使ってほしいとのことでした。町工場で作る製品は、用途もわからないものがたくさんあります。図面に記載がなければ、精度が足りなくても一概に加工者が悪いと言えませんし、事実海外では「図面に書いてない方が悪い」という風潮もあります。モノづくりへの拘りや顧客志向に美しさを感じましたし、日本の製造業が一世を風靡した背景には、日本らしい、誇るべき技術があったのだと感じました。それでいて、業界も苦しい中、技術者の中には自分の仕事に誇りを持ち切れていない方もたくさんいます。この業界を更に良くしたいと強く思いました。

今、キャディで大事にしていること

町工場での学びは、ビジネスで活用されているのはもちろんですが、キャディのバリュー、カルチャーにも影響を与えています。

至誠
キャディには「大胆」「卓越」「一丸」「至誠」という4つのValueがあります。

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このうち至誠は、「顧客、パートナー、同僚、そして自分。全てのステイクホルダーに誠実であろう」という趣旨です。製造業だとよく、見積りを「投げる」という言葉を使いますが、キャディでは使いません。変革の文脈で、「レガシー産業」「disrupt」という言葉もよく耳にしますが、キャディではあえて使わないようにしています。言葉の選び方一つ一つから、業界への敬意を表したいと思っています。キャディは製造業のような伝統的業界を、アップデートしていく会社です。

「モノづくり」にコミットする
明文化されたキャディのカルチャーの一つが、「モノづくり」にコミットするです。スタートアップのミッションには、「XXなプラットフォームを作る」などwhatを掲げるものもありますが、キャディは「モノづくり産業のポテンシャル解放」という、whyを掲げています。この業界を良くしたいというピュアな理想を持つ会社だからこそのミッションです。このミッションを掲げるからには、製造業出身者でなくても、「モノづくり」に関心を持ち、深い共感をもってステークホルダーに接することを、キャディらしさと捉えています。

カルチャーブックについてはこちらの記事をご覧ください。

https://www.wantedly.com/companies/caddi/post_articles/183688

カルチャーの事業への波紋
上記のようなスタンスは、キャディメンバー一丸で、あらゆるチャネルで発信を続けています。嬉しいことに、それに共感する顧客やパートナーからのアクセスの多さが、今の事業の成長にも繋がっており、伝統的産業におけるプラットフォーム構築の新モデルを作れているのではないかと、密かに誇りに思っています。共感で繋がっていきながら、価値を還元する事業を作りたいです。

製造業の中小企業のために今後やりたいこと

前回のnoteでは、業界構造の観点から、
・巨大なプラットフォーマーとして全体最適や標準化をもたらす存在になることで、モノづくり産業のポテンシャルを解放していきたい
・加工会社側では、自社の本当の強みに特化し、非付加価値時間を極限まで減らした生産をできる環境を作る
・発注者側でも、調達・製造コストを考えながら設計できる構造を作りたい。個別最適で作っている品質基準や図面のルールも、標準化を進めていきたい
という話をさせていただきました。

日本の業界の利益の総和を高め、競争力も販売力も高め、製品が海外に積極的に輸出されているようにしたいとも思っています。日本の企業が得意でない製品であれば、海外で製作し、より得意な製品に注力できる、グローバルな最適化も実現したいと思っています。

プラットフォームの充実もさることながら、より多方面でパートナーのサクセスに寄与し、より魅力的なプラットフォームを作るための取り組みも、加速したいと思っています。
テーマとしては、
・ヒト:採用支援、事業承継支援
・カネ:ファイナンス・ファクタリング
・モノ:材料調達、物流支援
・情報:コミュニティ、ナレッジシェア
などを考えています!

多方面で中小企業のポテンシャルを解放し、「製造業ってかっこいい」というのが当たり前になり、技術者がより誇りをもってモノを作れる世界を作りたいです。

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(昨年開催したパートナーThanks Dayの様子)

上記施策、本格的にプロジェクト化して動きたいと思っているので、興味ある方は是非ご連絡ください!
https://www.wantedly.com/projects/414908?utm_source=t.co&utm_medium=share&lang=ja

パートナーサクセスについてもっと知りたい方はこちら!

また告知になりますが、CEOの加藤が、これからのキャディについて語るopen meetupを行います!是非奮ってご参加ください。
https://www.wantedly.com/projects/414194

次回は、プラットフォームの勝ちパターンの観点から、なぜキャディがモノづくり産業のポテンシャル解放をできると信じているか、書こうと思います。
引き続き、宜しくお願いします!

Twitterもやっています。DMも歓迎です!
https://twitter.com/kohhhmatsu