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涸沢テント泊やってみた!
【最高の夏、計画編】
最高の夏をやろう、という話になった。「最高の夏」とは文字通り最高の夏を指す言葉で、具体的には青い空、川のせせらぎ、夕立と雨上がりの湿った匂い、テントを揺らす夜風と小さなランタンの灯り…等の要素から構成される。標高が高ければ尚良い。(現代の日本では、最高の夏は標高2000m以上にしか存在しない)。
というわけで、涸沢である。前々から「涸沢はいいぞ〜〜」という話を聞いて気になっていたのだが、昨年は富士山チャレンジをしたので何となく行けず終いになっており、今年こそは……ということで友人3人で行くことになった。
当初の計画は次のようなものである。
【1日目】
早朝の高速バスで出発。上高地バスターミナルに 到着し、そこから歩いて涸沢へ。テントを設営し、最高の夏。
【2日目】
早朝に起床し、最高の夏を満喫しつつ奥穂高へ。雨が降る前に涸沢に戻り、ヒュッテでビールなどを飲みながら最高の夏。
【3日目】
朝に撤収し、下山。昼過ぎに上高地に戻って温泉で朝を流し(最高の夏)、高速バスで東京に帰還する。最高の夏、終了。
と、このような計画だったはずなのだが……。
【最高の夏、実践編】
コロナに罹ってしまった。
出発のおおよそ2週間前に発熱し、あれよあれよと39度台まで上昇しこれはダメだな〜と思っていたらやはりコロナだった。幸い隔離期間は7月28日で明け、出発は30日だったのでギリギリ間に合ったのだが、2週間一切外出していないヘロヘロの体で山にいくことになってしまった。不安である。
・1日目
そして当日、本来であれば夜行バスでいくのが理想なのだが普通に金曜は仕事があり、流石に無理だったので土曜の早朝に出発。渋谷のバスターミナルから高速バスで大体5〜6時間といったところか。
が、乗り場に行くと悲しそうな顔をした乗務員さんから、「めちゃくちゃ道が混んでいるので多分1時間半〜2時間くらいは到着が遅れますね」と言われてしまう。ガーンである。その言葉通り、めちゃくちゃ渋滞していたが、とにかく天気は良さそうなのでややテンションが上がる。偶然、フォロワーの人も上高地でキャンプをしており、「めっちゃ景色いいっす!」という報告をもらってますます楽しみになってくる。
バスに乗ること8時間、ついに到着!!!
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すごい大雨である。山の天気は変わりやすいとはいえ、これはひどいのではないか。というか、この時点ですでに14時半を過ぎており、とても日が沈むまでに涸沢にはたどり着けそうもない。(後でわかったことだが、そもそも横尾から先の道は14時以降は入山禁止らしく、道が混んでいなくても初日に涸沢まで行くのは物理的に不可能だった。下調べ、大事)
しかたがないので、とにかく横尾のテント場まで行ってそこで一泊することにした。大体10キロくらいだが、平坦な道なので順調にいけば三時間くらいで着く。そこからテントを張れば日没には余裕で間に合うという算段だ。
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……写真が少ない。
理由は簡単で、それどころではなかったからである。明神館を過ぎたあたりからひどい土砂降りで、全身ぐしょぐしょ。おまけに荷物が死ぬほど重く、腰が死にそうになっていた。後述するが、私の持っているテントはやたらとデカくて重いのである。山でのテント泊は2回目だが、前回は金峰山だったので、テン場までは1時間くらいしか歩かなかった。今回は普通に10キロくらい歩かないとテント場に着かないのである。完全に心が折れかけ……いや、折れていたかもしれない。途中で熊よけのベルを鳴らした以外の記憶があまりない。(そこらじゅうにサルとヒキガエルがいたことは覚えている)。
しかし、歩き始めて3時間弱。ようやく横尾のテント場に到着する。
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テント場に着いた途端、雨が上がり青空が見えてきた。雨が降る中での設営は辛いので、これは本当に嬉しい。直前にコロナに罹って乱数調整をしておいたおかげかもしれない。
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というわけで、無事1日目が終了。
正直めちゃくちゃ疲れてしまって、特に腰と背中がヤバかった。テン泊登山は全身運動みたいな感じなので、普段どこを鍛えていないかが如実に出る気がする。
ちなみに、今回初めてメスティンを持ってきたのだが、ご飯を炊くのに意外と時間がかかってしまった。(水に浸けておいたり、むらしたりと色々手間なのだ)。登山の場合はやはりアルファ米が大正義か。
いよいよ明日は涸沢に行って奥穂高を目指すぜ!と意気込みながら就寝。
・2日目
朝7時にはテントを畳んで出発したかったため、5時半くらいに起床。ホットココアを飲み、パンを齧って朝食を済ませた後、いそいそとテントを畳み、出発。昨日の疲れが残っているかと思ったが、意外といけそうな感じがする。
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さて、1日目に歩いた上高地〜横尾山荘の距離はだいたい10キロほど。一方、横尾〜涸沢までの距離は5キロ程度である。つまり、距離としては約半分なので、非常に楽ちんであり、あっという間に着いてしまう……のかというと、そういうわけではない。上高地〜横尾はほとんど登りのない平坦な道なのだが、横尾〜涸沢は標高差が800メートルくらいあり、めちゃくちゃ登らなければならないのである。(特に↑の橋を越したあたりからがキツい)。
足元も岩だらけで歩きにくいし、太陽はカンカン照りで暑い。普通の登山ならそれでもまだいいのだが、今回は大量の荷物を背負っているとあって、完全にグロッキー状態になってしまった。(あまりにもキツかったので、「ガンスリンガー・ガール」が実写化されるとしたら、やっぱり主演は橋本環奈かな…などと考えていた)。
というか、明らかに荷物がでかすぎる気がする。他の登山者を見ても、我々より一回り〜二回り小さいザックを使っている。挙句、擦れ違ったおばさまがたに「荷物が多い人は大変ねえ〜笑」と言われてしまう始末。いくらテントがあるとはいえ、やはり何かおかしいのでは?という疑念が沸々と湧き上がる。湧き上がるが、どうしようもないので黙々と登る。
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そして、ついに……。
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ついに、涸沢に到着!!
結局3時間半以上かかってしまった。
予定ではこの後テントを貼り、奥穂高の方にいく予定だったのだが、すでに体力が限界だったので諦めた(雑魚)。無理無理。足の指の一本一本が痛いもん。
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ボロボロになった体を引きずって何とか涸沢小屋に辿り着き、カロリーを体に流し込むことに成功する。(うっかりパフェを食べ損ねてしまったのが残念)。ちなみに写真の右端の方が白くぼやけているが、なぜかスマホカメラのレンズがバキバキに割れてしまったためである。辛い。
昼飯を食い終わった後はもう動く気も起きず、アルコールを摂取したりしてひたすらゴロゴロしていた。すごい暇なので勿体無いといえば勿体無いのだが、もうこれ以上歩きたくなかったのでしかたない。次は鍛え直してまた来ます。
そして、テント場をうろうろしている時に、あることに気づく。
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薄々気づいていたのだが、テントがでかい。他の人たちはみんな、モンベルの薄くて軽いドーム型のテントを使っているのだが、私のテントは明らかにでかくて浮いている。
私が使っているのはモンベルのムーンライト2型(旧タイプ)。これが、まあまあ嵩張る上に、かなり重い。他の人が使ってるテントの2.5倍くらいはある、ということがここで発覚する。これを選んだ理由は簡単で「スナフキンのテントみたいでカッコよかったから」なのだが、(決してゆるキャンの影響ではない)もしかすると失敗だったのか…?登山に持って行くタイプのテントではなかったんじゃないか…?そもそもこれ2人用だし……。後悔しつつ帰りのバスで調べたところ、「ムーンライト2型とか山で使ってるやついるの?笑」みたいな文章がヒットしてしまい、泣いた。いや、いいテントなんですよ……重いだけで……。
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夕方を過ぎた頃からまた土砂降りになったものの、ヒュッテの屋根に守られて無事に夕飯を頂き、人生について語り合った後、早めにテントに戻って明日に備える。ちなみにテントの中でDLしておいたゆるキャン△2期を見たけど面白かったです(え、劇場版?さぁ何のことやら……)
・3日目
最終日。バスが16時頃のため、それまでに下山し切らなければならない。ということで4時半に起きて、6時過ぎに出発を目指す。
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無事に撤収も終わり、水を汲んで出発。朝早いのであまり暑くなく、ありがたい。が、さすがに体力が厳しくなりつつあるのを感じる。なんかこう、体の節々が痛いというか……。
それでも下りはさすがに楽で、昨日息も絶え絶えになっていた急斜面もサクサクと下りていける。嘘、足にガタがきてるので何度も転びかけたけど辛うじて踏みとどまって何とか下りることができた。ごめん。というのも嘘で普通に何度もコケた。捻挫しなくて良かった……。
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みんなあまりにも疲れてちょっとおかしくなっていたので、途中の川でやたらと水切りに興じたりしたものの、とにかく歩き続け、ついに横尾山荘に到着!!戻ってきたぞ〜〜
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横尾まで戻れば、あとは平坦な道を歩くだけ(10キロあるけど)。ベンチで仰け反り、痛む腰と背骨をボキベキと伸ばしながら気合いを入れる。行くぜ!
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ついに明神館のところまで戻ってくる。ここまでくると、自販機の値段もだいぶ普通に近づいてきており、ラフな格好の人たちも大勢見かけるようになる。ああ、下界に戻ってきたのだなぁという喜びと、帰ってきちゃったなぁという寂しさがないまぜに……なるかと思ったが、普通に一刻も早く温泉に入りたい以外の感情が消えていた。
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歩くこと6時間半、ついに上高地バスターミナルに到着!!早速荷物預かり所にザックを預け(あまりにもデカすぎて特大料金を取られた)、温泉へGOすることに。
上高地温泉ホテルまでは徒歩で20分くらい。とにかく荷物が軽いので楽勝の一言に尽きる。歩くってこんなに楽しかったんだなぁ……。
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無事に温泉も入り(3日ぶりの風呂、気持ちよすぎ……)、バスターミナルで何か食べて帰るか〜〜と思いきや、ここのお店は全部15時で閉まってしまうという罠。しょんな……。土産物屋を除いても全然食べ物が残っておらず、仕方なしにおやきをモソモソと食べる。
ちなみに帰りのバスはぜんぜん渋滞せず快適でした。でも疲れすぎていたので渋谷から家まではタクシーで帰った。山の上ではただの紙切れだが、都会では札束が全てを解決する…!!
ともかく、涸沢は超気持ちよかったのでおすすめ。最高の夏、これにて完結です。
(そういえば結局、今回はひとつも山頂にたどり着けていないな……)
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教訓
荷物を軽くしよう。
身体を鍛えよう。
以上!!
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