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わたしのラジオ #14 何でも相談室「奥さんを殺してしまったら?」

「はい、何でも相談室です」

私への質問から、日常生活、本、音楽、映画、恋愛相談まで、リスナーから寄せられたありとあらゆる「大疑問」に答える、おなじみ「何でも相談室」の時間です。では、早速質問に回答しよう。


「奥さんを殺してしまったら?」
(ラジオネーム : 口論の末)

たぶん私にはまだ奥さんはいないと思うけれど、もし殺してしまったらそのときは素直に自首するさ。事情はどうあれ、奥さんを殺してしまった罪は償わなければならないし、どうせ逃げるったって逃げきれないもの。私は鬼ごっこはわりに得意だけど、指名手配で私の似顔絵が見世物みたいに全国に貼り出されたり、テレビのワイドショーで何の専門家なのかもよくわからないやつに「彼は学生の頃から素行がよくなかったそうで。また近所の評判もずいぶんと悪かったそうで。どうせ奥さんには日常的に暴力をふるっていたんでしょ?こんなやつは死刑になるべきだ」とか好き勝手に言われたり、マクドナルドでビッグマックを注文してるところを、近隣の住人の通報でみっともなく逮捕されるくらいなら、大人しく自首するさ。


「肩こりはありませんか?」
(ラジオネーム : ファウスト)

私は自慢じゃないけれど、人生で一度も肩こりになったことがない。理由はよくわからないからこれを機に知っておこうと思う。試しにグーグルで「肩こりの理由」の検索をした。すると「肩こりが起こるシーン」という記事が見つかったので紹介しよう。①同じ姿勢でのデスクワーク ②長時間のスマホ操作 ③ストレスによる緊張 ④慢性的な運動不足 ⑤エアコン等による冷え。らしい。なるほど。私はデスクワークはしないし、スマートフォンもほぼ触らないし、ストレスもないし、運動はしてるし、冷えもない。どうりで肩こりにならないわけだ。少しは参考になっただろうか?
オーケー、おしゃべりはこれくらいにしよう。曲をかける。小沢健二『シナモン(都市と家庭)』。


OFF

ON


「高校時代は何を考えた?」
(ラジオネーム : 写真部)

高校生のときに私に起こった素晴らしいことは三つある。①村上春樹 ②小沢健二 ③ラジオ


「1年前に女の子に貸した本は?」
(ラジオネーム : イワシ)

私は他人にはものを貸さない方針を貫いている。学生時代、私の友達の男の子はいわゆる「借りパク」の被害にあった。犯人は隣の席の女の子。ある日、彼は赤色の下敷きを彼女に貸した。その日は雨だったことを今でもはっきりと覚えている。「ねえ、下敷きを貸してくれないかしら?」と彼女は言った。彼女はいつも何かしらを忘れる。そして判で押したように隣の席の男の子に借りるのだ。それを貸すと最後、100パーセントの確率で返ってこないのは、同級生ならみんな知っている(彼女は決して貧乏で買えないわけでない。なぜなら彼女の家はクラスで最も裕福なのだから)。
彼女に貸したものは海に落下をしたコンタクトレンズのようにもう戻ってくることは二度とない。もちろん彼もそれを知っていた。その赤色の下敷きは昨日お小遣いで買ったばかりだった(らしい
)から貸してあげるには惜しかったようだけど、「はい」と彼は下敷きを渡した。もちろんそれは授業が終わった後も返って来ることはなかった。「なぜか貸さずにはいられなかったんだ」と彼は言った。私はその話を聞いて無性に腹が立った。彼女が借りたものを返さないことも、彼が下敷きを貸したことも、全く理解ができなかったから。「取り返してくる」と私は言った。そして今まで「借りパク」された同級生たちのためにも強く言ってやろう、という気持ちで教室を出た。彼女は下駄箱にいて今にも帰ろうとしてるところだった。「話があるんだけど」と私は言った。「ねえ、傘を貸してくれないかしら?」と彼女は言った。「いいよ」と私は手に持っていた青い傘を渡した。なぜかそれを貸さずにはいられなかった。「どうもありがとう」と彼女は笑顔で感謝を言った。「ところで話って何?」「いや、傘を持っていないようだったからさ。大丈夫かなって。私は折り畳み傘も持ってるし」とカバンを指差した。本当は折り畳み傘なんて持っていなかった。「優しいのね」と彼女はにっこりと笑って(私の傘を差して)帰って行った。「で、どうだった?」と彼(彼女の隣の席の男の子)は訊ねた。「みんなの分まで強く言ってやった。たぶん貸したものは明日には全て返ってくると思う」と私は言った。
もちろん彼の赤い下敷きも私の青い傘も永遠に返って来ることはなかった。そういうわけで、私はものを貸さない方針を貫いている。その代わりあげるのさ。プレゼントはよくするよ。傘とかね。


今日の最後の言葉

「翼を持たずに生まれてきたのなら、翼をはやすためにどんな障害も乗り越えなさい」

ココ・シャネル

それでは、バーイ、センキュー!


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