Gのレコンギスタ、リギルド・センチュリー考察

一月ほど前にガンダムGのレコンギスタ映画版を視聴した。
テレビ放映当時にはリアルタイムに見ていたのだけど、映画で見直してようやく本編を理解できた。

アニメ本編のみならず、ある程度解説等も調べてなくてはわからない部分もあったのでは、やはり難解なアニメだったのかもしれないけど、主人公ベルリやアイーダたちの活躍は好きなアニメであることを再確認。

そして気になったのはリギルド・センチュリーという背景。
アニメで描かれたのはリギルド・センチュリー1014年。
宇宙世紀から2000年ほど経っている設定。

1000年ほど続いた宇宙世紀の後、軌道エレベーター、キャピタルタワーが建設され、その運行により、地球圏外から無償供与されるフォトンバッテリーにより生活に必要なエネルギーが賄われている世界。

宇宙世紀時代の技術を研究することは宗教的なタブーとして禁じられている。
この時代、工業力と生活様式がアンバランスである。

軌道エレベーター、キャピタルタワーのメンテナンスは行われており、メンテナンス用のモビルスーツ、レクテンはタワー設立当初から運用されている。
また日常生活の移動手段としては二足歩行する乗り物シャンクが使われていて、タイヤを有する車が見られない。
赤道上に設置された軌道エレベーターということもあり、軌道エレベーターの地球側、キャピタルテリトリィはカリブ海からアマゾン川流域に至る国土とされていて、街の風景は高層建築もなく人口密度も低いやや長閑な田舎町の様子が描かれている。
他の国、アメリアなどでは高層ビル群も描かれているので高層建築が建てられないわけではない。

メガファウナの艦長がメガファウナを設計図通りに作ったが、どのような技術で作られているのか判らない、と言っているように設計図通りの部品の作成と組み込みは出来るが、動作原理までは判っていない。
現代社会でも、パソコンの動作原理は判らなくても部品を組み合わせてパソコンを組み立て、運用出来るようなものではある。
ただ基礎的な技術の学問的な検討が行われていない。
サラマンドラの艦長は耐熱耐性だけ持たしておけば大丈夫、と操艦的な対応せず大気圏突入して爆発してしまう。
大気圏突入により高温になるという知識はあったが、事前に必要な訓練をしていなかった。
大気圏突入という検討がされてこなかったためその知見を有してなかったと考えられる。

技術発展が禁じられている世界では、既存の技術は継承される中で形骸化され、詳細な部分は失われていくように思われるが、リギルド・センチュリーが1000年に渡って継続しその間軌道エレベーターが稼働し続けたことは、社会が安定した停滞期にあったと考えられる。

ある意味、緩やかなデストピアなのかもしれない。

経済活動は成立しているのであろうけど、基本的な生活に必要なエネルギー源が配布されている世界。

現実の世界ではエネルギー源の確保が社会を維持する基盤となっているが、それが安定的に賄われている世界では大きな競争が成立しなくなっているのかもしれない。
競争がないがための、緩やかな経済活動。
技術の発展は禁止されているため、研究開発という分野が軽んじられている。
そのため基幹技術の継承の場も失われていっているのかもしれない。

トワサンガでは階層が一部壊れても修復されず一段下がった土地として使われていた。
宇宙においても修復する技術が失われているのかもしれない。

そんな閉塞した世界がベルリ達の活動により再び動き出した。
Gのレコンギスタは未来が改めて作られていく物語の始まりなのだろう。

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