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【絵本はスンゴく面白い!!】ぐるんぱのようちえん

※この記事は2020年4月に執筆した記事に加筆・修正したものです。

 どうもこんにちは。絵本専門士のMATSU-Gです。
今回から不定期で絵本の面白い話を色々とさせていただこうと、こういう読み物を作ってみました。主に絵本棚で取り上げた作品をピックアップする形になると思いますが、その辺はまあ、のんびり読んでくださいませ。

記念すべき第1回目に取り上げるのは『ぐるんぱのようちえん』です。

https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=63

『ぐるんぱのようちえん』
作:西内ミナミ
絵:堀内誠一
発行所:福音館書店
発行年:1965年5月

苦労の連続に思わず涙?

さて、今月のピックアップ作品は『ぐるんぱのようちえん』ですね。可愛らしいぐるんぱの愛くるしい顔がドアップになった表紙はなかなか目を引きますが、ご存知の通りなかなか波乱万丈なストーリーとなっています。
大きくて泥だらけのあまり綺麗ではないぐるんぱは、村の皆からの提案で外の世界に働きに出かけます。そしていろんなお店で働いてみるのですが、どれもこれも上手くいかず、失敗や挫折を繰り返します。
はい、この時点で私は辛くなって嗚咽を漏らしそうになるんですよね。。
だって考えてもみてください!村の皆から「くさい」「きたない」と言われてあまり良く思われてないどころか、最終的にはジャングルから追放(と言っても過言ではない)されてしまうんですよ。
元々寂しくて1人で泣いていたらしいので、きっと心はそんなに強くない。もしかしたら辛い過去を引き摺っているのかもしれない。そんな背景すら浮かんできてしまいます。
それでいざ前を向いて行こうとしたら、やることなすこと上手く行かない。踏んだり蹴ったりで泣きっ面にハチとはこの事です。
 ですがそんなぐるんぱも、最終的に自分の居場所を見つけ、幸せなフィナーレを迎えます。私がこの時最も嬉しかったのは、今までぐるんぱが失敗した数々の出来事が、結果的に凄く役に立っているということ(何か知りたい方は是非本編を)です。自分のやっていることが無意味だと思えても、積み重ねられたそれが思わぬところで助けてくれるのです。もしぐるんぱがどこかで諦めてしまっていたら、こうはならなかったかもしれない…そう考えたら、無駄なことってないのかもしれないですね。

絵を描いた堀内さん

 この絵を描いた堀内誠一さんは、ぐるんぱより前の『くろうまブランキー』で絵本作家デビューをしていますが、元々はアートディレクターとして活躍しています。『BRUTUS』『POPEYE』『anan』などのデザイナーだったのは有名なお話で、一見絵本の世界とは違う畑の人にも見えます。ですが、様々なフィールドでアートが躍進を遂げる中、堀内さんは好奇心を持って絵本の世界に飛び込んだのです。物語を書いた西内ミナミさんをこの世界に誘ったのも実は堀内さんで、彼女のデビュー作でこんな素晴らしい作品を作るのですから、先見の明ありありです。
 コミカルでミニマルな感じのする絵の細部にも工夫が込められていて、靴屋のシーンでは実際に都内の靴工房を見学する「ロケハン」を緻密に行ったとされています。写実的ではないけれど、壁にかかった道具や細部への描き込みをみると、その丁寧さがわかりますねー。

続けるって難しいからこそ

 ぐるんぱは失敗して、しょんぼりを繰り返しながらも、続けたからこそ幸せにたどり着けました。ちなみに先日、主任とこの本について話をしていた時「わたしもぐるんぱみたいになりたいと思ったなー」とおっしゃっていました。はい、私もです!ラストのシーンでは子どもたちに囲まれたぐるんぱの楽しそうなこと…でもその実、やり続けてきた彼の強さに憧れてもいたのかな、とふいに思いました。
 今のご時世、毎日暗いニュースばかりでいつこの霧が晴れるのかと鬱屈した気持ちにもなります。でも私たちができることを、小さいことでも、たいしたことないことを「続ける」ことで、いつか見えてくる青空があるんじゃないかと思います。
 というより、笑うとか、美味しいご飯を食べるとか、寝るとか、なんかこう生きてるだけで私たちは「続ける」が出来てるんですよね。そう考えたら、私たちすごいな、皆偉いなと、ぐるんぱに教えられてるのかもですね。

 もっともっと書きたいことあるんですが、さすがにそろそろ長すぎると言われそうなので、今回はこれくらいで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

絵本専門士のMATSU-Gでした。

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