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質問対応:Vol.1「患者の便が1週間もでてない!下剤選択の考え方」

2024年7月29日月曜日 第1回目が無事に終わりました。通信状況が悪くご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

チャットでいただいたご質問に丁寧にお返事させていただきます。

下剤は全て耐性がつきますか?

A:グーフィス、モビコールは耐性がありません。大黄が含まれた大腸刺激性下剤(アローゼン、プルセニド、大黄甘草湯、麻子仁丸など)は耐性がつくとの研究データがあります。全く使えないわけではないので、毎日使用していたのを2〜3日に1回の頻度にするなどしてみて下さい。

いつか下剤を使わずに排泄できるようになりますか?

A:断言できませんが、経験的には可能と思います。整腸剤や食物繊維、運動などの生活習慣を整えて、腸内環境を改善する。運動して腸の蠕動を促進させる。などの方法で下剤を離脱できた事例を経験しています。最近では、低周波の電気治療で、副交感神経を優位にして腸蠕動を促進する方法も試して効果を感じています。

毎食全量摂取していても1週間便が出ていません。患者の自覚症状がなければ様子見て良いですか?

A:元々の排便周期をご本人に確認してみて下さい。その方が、1〜2週間便が出ないのが通常の場合は、様子見て良いと思います。しかし、腹満感がある、食事量が低下しているなどがありましたら、下剤選択を考えても良いと思います。このような場合は、便エコーを腸管内を観察できるとすぐに解決できます。

肛門痛の有無はどのような評価につながるのでしょうか?

A:排出困難型の便秘症の評価と捉えています。もしくは、下痢により肛門部が渋っている時も肛門痛を訴えられることがあります。

入院することが便秘のリスクがありますが、排便周期は入院後でしょうか?入院前でしょうか?

A:入院前の元々の周期をご本人に確認してみて下さい。入院すると活動性が必ず低下するため、便秘になる方が多いです。そこで、自覚症状があるか?慢性便秘の延長なのか、否か?も含めてアセスメントしましょう。

便意がなくても決まった時間にトイレに行った方が良いですか?

A:排便習慣をつけるために可能ならトイレ誘導した方が良いです。食後の胃結腸反射のある時間がおすすめです。

フローでは浸透性下剤の次に上皮機能変容薬(アミティーザ)、胆汁酸トランスポーター(グーフィス)の順ですが、最初から胆汁酸トランスポーター(グーフィス)は好ましくないのでしょうか?グーフィス事例はありますでしょうか?

A:ガイドラインのフォローチャートは、治療の道標ですがグーフィスファーストステップで使用することが好ましくない訳ではありません。しかし、便秘が軽い方に使用すると、下痢になってしまうこともあります。また、薬価の関係上、浸透圧下剤の方が安価であることも事実です。
浸透圧下剤を使用せずに、グーフィスを使用した事例は今の所経験していません。


4日以上排便なくても、本人の症状と腹部の状態、食事摂取量などを考えて経過をみていると説明しても、同僚や先輩から、「なんで何も対処しなかったのか?」と言われてしまいます。

この様な現場で、まず何から働きかけていけば良いのか…悩んでいます。

A1:スタッフとの関係性にもよりますが、排便ケアを延期した根拠をアセスメントとして記録に書いておく。口頭だとその場にいなかったナースには届かないので記録が良いです。
私は、なるべくアセスメントを記録に残すようにしてからナースだけではなく医師の協力も得られるようになりました。
同じように疑問を持っているナースは必ずいるものです。仲間を一人でも多く作って下さい。便秘の知識が増えると、もっと説得力のある反論ができるかもしれないですね。

A2:エコーで、便の貯留が少ないことを可視化するのは一番説得力がありました。(エコーを使わせてもらうのが可能な場合に限りますね)


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