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おフランスの革靴には、おフランスのシューツリーを入れるのがセオリーざんす

履くでもなく、飲むでもない

Twitter界隈でみんなから「会長」と呼ばれている、そんなに飲みもしないのにウイスキー類を大量に買い集めている人がいます。

https://twitter.com/hiro_e98139?s=09

酒屋をやっている身としては、「業者か!」とツッコミたくもなりますが…その気持ちは痛いほど分かるのです。


“サルトレカミエ”のウィズ幅が細いSR200EXのシューツリーを買ったのには、もう1つの理由がありました。

半分は当たっていますが、2~3万円で買えるようなチープな靴ばかり買い漁っているオッサンと思われるのもアレなので(誰も話を聞いてくれない)、うちの秘蔵っ子を登場させようとしたら…この靴にも専属のシューキーパーがありませんでした 。

一昨年ほど前に“J.M.ウエストン”の靴を購入しましたが、路面店で買ったわけでなくフランス人が個人で日本に持ち込んだものがたまたまサイズが合ったので買ったものです。

ラストとサイズが合って程度もよくて値段もそこそこ…そんな都合がいい中古の“J.M.ウエストン”純正シューツリーは、なかなか売っていません。

グッドイヤーウェルト製法なのにロングノーズ気味のシャープな顔つきというどっちつかずの革靴で、UK仕様キーパーにすべきか?EU仕様キーパーにすべきか?を迷いました。

仏国靴を買うのは初めてで自宅には英国靴のシルエットに合うシューツリーしかなく、それらのツリーを入れてみたらフィット感がイマイチだったので、ユーロ用のキーパーを試したかったのです。

“サルトレカミエ”のSR200EXを入れてみてフィットするなら、そっち系のキーパーにするだけなので…


お察しのように、靴を買うだけ買って箱に入れたまま放ったらかしにする収集癖があります。

ときには、買ったことすら忘れています。

玄関には常時5~6足の靴が並んでいて、それ以上置くスペースもなければそれ以上必要でもありません。

それでも『掘出し物』を見つけると、ハイテンションになって思わずポチってしまいます。

インターネットの弊害でこれまでは現場に行かないと知りえなかった情報が、今は距離がいくら離れていても向こうから教えてきます。

知らなければよかったパターンです。

知ってしまった以上は、もう後戻りできません。

会長が『嘉之助 ニューボーン』をコンプリートしようとしているのと同じく、それがコレクターの心情なのです。



A、B、Cは知っててもそれだけじゃ困ります

フランス製の革靴で、『ABC』というものがあります。

A “オーベルシー”

B “ベルルッティ”

C “コルテ”

各ブランドの頭文字を取ってそう呼ばれているのですが、この御三家に負けず劣らずのシューファクトリーがフランスにあるのをお忘れじゃありませんか?

“J.M.ウエストン”です。

ブランド名がJMウエストンじゃなくてDMウエストンだったなら、きっと『ABCD』の四天王と称されたはずです。


“J.M.ウエストン”はゴルフや#180ローファーが有名でファンも多いのですが、個人的にはこれらの足になじむまで『万力締め』の儀式が必要なラウンドトゥよりも、ちょい長めのポインテッドトゥの方が好みです。

足に合わない靴をムリして履いたばかりに親指の爪が「ごそっ」と剥がれたり、痛いのをガマンできなくて靴を脱いで駅から裸足で帰ってきたことがあるので、そういう『修行』はやりたくないのです。

私物の“J.M.ウエストン”は、シングルモンクストラップの#529ダービーバックルというモデルです。

イギリス靴ともイタリア靴とも違う顔つきで、色の濃淡があるバーガンディは色気を感じさせるフランス靴。

コバも断面を面取りしていて、オシャレに丸く仕上げられています。

ソールはヒデュンチャネル加工をしたうえにアッパーと同色に着色して、さらに表面を透明な樹脂でコーティングしている手の入れよう。

イギリス人なら、ここまでやりません。

国内の公式サイトからは消えているので、もう廃盤になっているのだと思います。



神は細部に宿る

“J.M.ウエストン”は、公式オンラインショップでシューツリーだけの単品販売をしません。

社外の業者が手を加えた靴の修理も受け付けません。

気高いフランス企業、お高くとまっています。

直営店で購入した“J.M.ウエストン”ユーザーですら、ヘタすると靴本体購入のときだけしかシューツリーの購入権利がないので、純正ツリー装着率は高いと思います。

彼らが純正を選ぶ理由は、「純正ツリーが似合うから」という見た目の問題です。


ぶっちゃけた話、“J.M.ウエストン”ダービーバックルの上代は15万円近くする、一般庶民は『清水ダイブ』をしなければ買えない金額の革靴です。

靴とバランスが取れて純正ツリーオーナーからもバカにされないシューツリーは(それでも、格下に見てくるのだけれど)、フランス産の“コルドヌリ アングレーズ”しかありません。

サードパーティー品とはいえ、これでも純正ツリーとほとんど変わらない高価格帯のシューツリーです。

逆に、“サルトレカミエ”ラスボスのように専業メーカーの最上位機種の方が、革靴ブランド純正よりも高額だったりするのはザラです。

タイプが分からないと選びようがないので、サルトレカミエ”SR200EXを入れてみたところ…ラストが細すぎて話になりません。

コイツは、最後まで役にたちませんでした。

どちらの仕様も『おび』に短し、『たすき』に長し。

汎用性なら、

ロングノーズには、

ノーズが長めなのは間違いないし、“J.M.ウエストン”の純正シューツリーとシルエットが似ているEM500Eでよろしいのではないかと。


さすが花の都 パリからやってきた“コルドヌリ アングレーズ”、その造形美には惚れ惚れします。

エントリーモデルでこのクオリティなら、ハイエンドモデルはどうなってしまうんでしょう?

革靴とシューキーパーの一体感という意味では純正ツリーに及ばずとも、欧州靴にはFA85SとEM500Eで十分事足りると思います。

“トリッカーズ”のようなカントリー色が強い英国靴には派手すぎるかもしれませんが、“エルメス”傘下の“ジョン・ロブ”や“プラダ”グループの“チャーチ”なら、“コルドヌリ・アングレーズ”が似合うでしょう。

ブナ材とはいえそこら辺で売っている安い革靴と大差ない値段でしたが、正規の“サルトレカミエ”SR200EXと3千円くらいしか変わらないので、コストパフォーマンスは高いです。

世界トップレベルのシューツリーが堪能できたので、ドーパミン放出85%


しばらく、革靴絶ちをしようと思うのです。

1回距離を置かないと革靴の種類やブランドのかけ合わせだけでも無数にあり、これにトゥの形がどーとか色がどーとか…それに入れるツリーはどこのにする、だのやっていたらキリがないのです。

それは、革靴を30~40足持っている沼のブロガーに任せておきましょう。



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰