見出し画像

ペットネームがない無名のチャッカブーツに、世界一有名な諜報部員を重ねて

古靴回収 3

今回のレスキュー靴は…

またしても“クロケット&ジョーンズ”の8629、スエード地の焦茶チャッカブーツです。

ボストンと、ほぼ同時期に買ってる年代物です。

この靴に関しては、ググってもメディアからのくわしい情報はほとんどない『謎靴』ですが、箱や靴の特徴からハンドグレードコレクションではないか?と。

(全部が全部、当てはまらないけど)

“クロケット&ジョーンズ”のスエード チャッカブーツといえば、224ラストのチャートシーが代表作。

使用ラスト224は『ぽっちゃり』としたラウンドトゥなのに対して、8629の248ラストは『細マッチョ』なスクエアトゥ。


前回、前々回とおなじく、キーパーが抜けない(しかも、ダウンサイジングしていたサイズのキーパーですら…)。

① 抜いたキーパーを拭きながら(色移りしているので)、コバ(目付け)とレザーソール、ライニングのよごれをステイン リムーバーで除去。

相手は、20年弱も放置した猛者。

アッパーをスエード用ブラシでブラッシングしたくらいじゃ、とてもキレイになったとは思えず…

② それに、あちこちにある黒い点々や白っちゃけているのが気になって、お湯洗いをすることに。

お湯にひたしたクロスでアッパーを拭けば、白かったウエスはみるみる茶色に染まるのでした。

そのまま乾燥させてみると…油分が抜けてますます白っちゃけたΣ(゚Д゚)

靴クリームは必須です。

③ クレム1925で補色して完了だったのに、クリームを塗ったペネトレイトブラシの刷毛目があちこちに出てきて大失敗。

近いうちに、リベンジ予定。



ボンドになりたかった男達

その物語は、イアン・フレミング氏のスパイ小説が原作となっています。

主人公は、世の野郎どもの指針となった『元祖イケオジ』。

そう、007のミスターボンド

あっ!?こっちの凡人じゃない(;´Д`)


シリーズ3作目のゴールドフィンガーで撮られた、スイス・フルカ峠でのハリスツイードジャケット姿の初代ボンド(ショーン・コネリー氏)の、有名なポートレートについて、

『いまさらニキ』が熱く語っていたので…

それにあやかって、ここでは6代目ボンドにフォーカスしていきます。

007といえば、ボンドカーとして名を馳せている“アストンマーティン”を筆頭に、“オメガ”の腕時計や“トムフォード”のスーツなど、さまざまなハイブランドの小道具が登場します。

ダニエル・クレイグ氏が務めた007の最終作、ノー タイム トゥ ダイでは、

この映画のためにつくられた“クロケット&ジョーンズ”のチャッカブーツ、モルトンを履いているシーンがあるので、

そのモルトンと8629を比較してみます。

モルトンはチゼルタイプのトゥラインが特徴の専用ラスト336で、8629の248とはボールジョイントからトゥにかけての直線的な造形がよく似ております(画像を見るかぎり)。

モルトンのソールはグリップ力の高いダイナイトソールなので、映画のアクションシーンにも対応できるかたちになっていますが、8629はレザーソール。

8629を履いて全速力で走るなどのアクティブな動きには不向きなものの、そのレザーソールは高級ヒドゥンチャネル仕様。

そして大きくちがうのは、モルトンのアッパーにはチャートシーでも採用されているモデルがある、スエードの表面にワックス加工を施したラフアウトスエード仕様。

(「ラフアウト」という単語は、“クロケット&ジョーンズ”と“レッドウィング”を始め米ワークブーツ界隈とでは、指しているモノがちがう)

スエードにワックス?



あとがき

今回の8629ですが、これまたローファーのボストンと同サイズのUK8を買うという謎の奇行をしていまして…

これも、“オールデン”9901と同様に少々キツいのですが、

この8629のサイズ表記を見た『元カノ』が、これを基にハーフサイズ下げた9901を買ってきたというのが真実なのかもしれません。

しらんけど。


これにて、救出劇・革靴編の『千秋楽』にござりまする。

《おまけ》

そんなボンドフリークのニキによる、自作自演のガンバレル・シークエンス。



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰