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写真の言語化

夏終わったって聞いたのですが、なんでこんなに暑いんでしょうね。
名古屋はお祭りが多くてまだまだ夏を終わらせる気はないようです。

こんにちは。松千代です。最近クライアントと話しているとよく言われることがあります。

松千代さんって撮った写真の説明がしっかりしてますね

例えばこちらはタクシー会社様の会社案内パンフレットの表紙です。

一見何気ない運転席のシーンですが、細かい意図があります。
まず、本件は若手不足を改善するための一手としてタクシー業務のイメージを変えたいというテーマがありました。なので、パンフレットに登場する社員は現役の若手を優先的に起用しました。

  1. 要望と意図が合致しているか
    表紙のドライバーも現役社員にモデルをしていただきました。クライアントからは明るく爽やかな若手を写したいと言われていたのですが、そもそもタクシードライバーってどんな人?と考えた時に、前に出るような人種じゃないと思ったのです。むしろ乗客に安心安全快適な環境を提供する側だと思うのです。つまり、職場環境を伝えるのに人物を前面に出すのは違うと判断しました。

  2. 言語化したイメージを写真にする
    だからといって腕だけ映すのも無機質でした。構図を探しているとバックミラーに社員さんの顔が映ったのですね。これだ!と。
    そう、人柄を出すのには口元だけでも十分伝わると考えたのです。しかも、お客さんとして乗車した時にドライバーの顔ってミラー越しでしか見ないと思うんです。口元の笑みさえあれば安心安全は表現できると気づきました。

  3. 画面の要素を決める
    そうと決まれば構図と表情を取捨選択します。口元の映る面積、手元のボケ感、ハンドルを握る位置。一つひとつ指示するわけではありませんが、流れの中でベストだと感じる構図でシャッターを切っていきます。

と、仰々しく書きましたが一枚一枚そんなに時間をかけていられないので、これらの工程をパパッとやります。
なぜ写真を言語化しているのかというと、自分を守るためですね。
結局報酬を貰う以上、良い感じという曖昧な判断基準で進めると合意が取れなくなるんですよ。企業案件となると見る人も多いですし、感覚の違う人たちの集まりですからね。担当者が良いと言ってくれても、上司が納得できなかったりすることも珍しくありません。再撮影なんて起こったら辛いですしね。
それらを回避するのはやはり言語化だと思うんです。これをすることによって好き嫌いで判断されることが激減します。仕事をする上で好みで意見されるというのはとても厄介で、大抵泥沼案件はこれだと思ってます。言語化できていれば写真が自分の手元を離れても、「こういう意図で作りました」と第三者が説明することができるので、納品後のトラブルが起きづらいです。

私は基本人のためになんかなれないと考えています。どちらかというと、自分のために生きるために、人の事を考えています。役に立てば周りの人も優しくしてくれますからね。事故案件なんて誰もやりたくないんですよ。だから事故らないように精一杯考えた方が得です。そのための言語化です。

デザイナーはデザインに説明できる人が多いのですが、意外とフォトグラファーってこういうことしないですね。自分の撮る写真を言語化できた方がビジュアルを一挙に任せてもらえて楽しいと思うんですけど、どうなんでしょうかね。

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