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《私のサイカトグ/My Psychatog》

皆さんは思い出のデッキやカードはありますか?
「友人の使っていた強すぎるアブザンアグロ」
「頑張って組んだ後にキーカードが禁止になったイゼット天啓」
「はじめてPTの権利を獲得したマルドゥ機体」
など色々あるかと思います。

私も思い出のデッキやカードは色々ありますが、今ひとつ挙げなさいと言われたら、《サイカトグ》を挙げます。

当時MTGを遊んでいなかった方も名前くらいは聞いたことがあるでしょう。この記事ではおじさんMTGプレイヤーのサイカトグとの思い出語りにお付き合いいただきます。(記述につじつまが合わないところは、なにぶん20年以上前の話ということでご容赦ください)


目次

  1. デッキ:青黒サイカトグとは

  2. 《サイカトグ》との出会い

  3. 《サイカトグ》の今

  4. あとがき

デッキ:青黒サイカトグとは

まず簡単に「青黒サイカトグ」デッキについて説明します。
「青黒サイカトグ」は大量の打ち消しや除去で対戦相手の動きを凌ぎ、《嘘か誠か》などのドロー手段でアドバンテージを確保する古式ゆかしい青黒のパーミッションデッキです。

もとは《激動》をキーカードにしたコンボデッキのうちフィニッシャーを《サイカトグ》にした「激動サイカトグ」が始まりです。舞台がエクステンデッド(今のモダンのようなもの)に移ると《激動》の役割が弱まり、単に《サイカトグ》をフィニッシャーに据えたコントロールデッキ全般を指すようになりました。
以下のサンプルは当時のスタンダードのものですが、《サイカトグ》というカードは多数のフォーマットで使用されました。

参考:MTG wiki サイカトグ(デッキ)より


サイカトグとの出会い

そんな《サイカトグ》と私の出会い。時は《サイカトグ》が収録された「オデッセイ」発売の2001年頃まで遡ります。

当時中学生の私はHP「放課後まじっく倶楽部」や雑誌「ゲームぎゃざ」からMTG情報を得ていました。

(ちなみにMTG歴は、「インベイジョン」から「レギオン」(2000年~2003年)。ここで一度引退し、「イーブンタイド(2008年)」辺りで復帰し今に至っています)

青春のバイブル

その「ゲームぎゃざ」に四半期ごとに付録として「ポケット攻略ガイド」、所謂全カードリストがついていたのです。

当然そのカードリストを学校に持っていき、友人と「このカード強くない?」「俺のデッキにはこれが入る」など休み時間に話していました。

やはり注目されたのは《影魔道士の浸透者》。往年の名カード《知恵の蛇》に回避能力「畏怖」が付いているのだから弱いはずがありません。発売直後のカードショップの値段を見てもそれは明らかでした。

かのJhon Finkel氏のインビテーショナルカード

しかし暫くして彼の栄光(と値段)にも陰りが見え始めます。その要因はいくつかありました。

一つ目は当時活躍していた赤緑ステロイドに採用されている《野生の雑種犬》で簡単にブロックされる為(と採用されている《獣群の呼び声》の高騰による為)です。

オデッセイ屈指の強カード。サイクルの《幻影の仔》が泣いている。

二つ目は同じく当時活躍していた青黒《激動》デッキに入っていた《ゾンビの横行》から出てくるゾンビトークンで簡単にブロックされる為です。

カスレアから見事な転身
《激動》からの《ゾンビの横行》で、無人の荒野をゾンビが走る

・・・ここまで読んだ方は「あれ?」と思ったかもしれません。
そうこの時点では《激動》と組み合わされるカードは《サイカトグ》ではなく《ゾンビの横行》でした。《サイカトグ》はオデッセイ発売後暫くの間、殆どの人にその強さを気づかれず息を潜めていたのです。

多分に漏れず私も「《サイカトグ》?サイクル内では強そうだけど、所詮ネタ枠のアンコモンでしょ」といった認識で、《対立》と《リスの巣》を組み合わせた「リス対立」に熱を入れていました。

今考えても同セットに《静態の宝珠》が入っていたのはおかしい
イラストがグロいでおなじみ

そんな感じでよくあるMTGライフを楽しんでいたわたしが《サイカトグ》とへの認識を改めたのは程無くしてでした。とあるショップのデュエルスペースで友人と遊んでいると、大会上位常連の方から「フリープレイしない?」と声をかけられました。当然断る理由もなくいざ対戦。

相手のデッキは青黒コントロールのようで「《激動》を警戒するか・・・」とプレイしていると、《サイカトグ》をキャストされました。「色もあってるし面白い採用ですね」と言った矢先、《霊気の噴出》連打され私のクリーチャーはすべて手札へ。そして《サイカトグ》アタック。手札から1枚2枚3枚・・・、墓地から2枚4枚6枚・・・。《サイカトグ》見る見る大きくなり、20/21のサイズで一発KOされました。

めっちゃ戻る

「すっげ~~~~~~~!!!めっちゃ強いっすね《サイカトグ》」
フリープレイ後すぐに《サイカトグ》のパーツを購入。デッキを組み始めました。当時の《サイカトグ》デッキの良いところは、あまりレアが入っていないところ。スペルは《激動》、あとダメージランドくらいでした。《蝕み》も当時高価でしたが、どうせワンパンKOなので3点削るのは誤差なので不採用。

意気揚々とデッキを組み上げ友人と対戦。《サイカトグ》はやはり強く対友人では好成績でした。しかし《サイカトグ》の強さも知れ渡り、みんな使ったり対策をされ始めると、店舗大会に出てみても思うように勝てません。特にミラーマッチではいつ《激動》を仕掛けるか?相手の《嘘か真か》をどのように分けるか?が分からず正直ヘタクソでした。大会のカバレッジで記されるプロのように上手く使えない自分が情けなく、憧れと失意を胸に《サイカトグ》の使用を諦めました。泣く泣く比較的扱いやすい「青緑マッドネス」に乗り換えたのを覚えています。

使われる側の腕が出るカード。即選ばれると「失敗したかな?」とドキッとする。

そんなこんなでその後、「スカージ」辺りでMTGを辞め「イーブンタイド」で復帰します。復帰後はスタンダードを中心にFinalsや日本選手権出場を目指したり、レガシーで遊ぶソフトガチ勢として過ごす日々。《サイカトグ》とは再開する気配もありません。

しかし思わぬ形で《サイカトグ》と再会します。
それは2011年に関西で開催された「レガシーサーキット」ででした。
「レガシーサーキット」はBIGMAGICさんの主催で行われた、草の根レガシー界隈を盛り上げるための試みでした。各地のカードショップでトライアルが開催され、優勝すれば本戦での1Byeが貰える形式でした。当時大規模なレガシーイベントは少なく、レガシー勢はこぞって参加しました。

私もByeが欲しいので、各地のトライアルに参加しました。そこでほぼ全てのトライアルに参加している男性がいました。彼の使用するデッキは青黒系の所謂「チームアメリカ」的なデッキ。しかしそこに《サイカトグ》の姿がありました。

正直当時のレガシーでも《サイカトグ》はあまり強くありません。ですが私が知る限り彼はすべてのデッキに《サイカトグ》を入れていました。そこには紛れもない「愛」がありました。当時勝てないからといってデッキを乗り換えた私とは違って、彼はずっと《サイカトグ》を使い続けていました。

当時のレガシー使用デッキはコレ

ここまでが私の《サイカトグ》についての思い出です。
「ずっと使っていた相棒」ではなく「使えればカッコいいと憧れていたけど、諦めてしまった」別れた元カノ的な存在でした。


《サイカトグ》の今

では今は《サイカトグ》を使う機会はないのでしょうか。「晴れる屋」さんのホームページで《サイカトグ》を検索してみます。便利なことに該当のカードが使われているデッキが表示されます。

検索結果がこちら!

レシピを確認すると所謂「Full English Breakfast(《ヴォルラスの多相の戦士》デッキ)」でした

レシピが残っているのは10年以上前・・・。流石にこの令和の時代、《サイカトグ》を使える機会はないのでしょうか?

いいえ、ちゃんとあります。「ミドルスクール」というフォーマットで今も《サイカトグ》は強く、当時以上のデッキパワーで使用できます。

ミドルスクール(Old School Magic)は非公式フォーマットの一つで、Old School Magicとモダンの間のエキスパンションに範囲を狭めたフォーマットです。(詳細は以下参考リンクより)
参考:MTG wiki Middle School Magic より

そして私が現在組んでいるサイカトグデッキはこちらです。

当時はヘタクソのまま使うのを辞めてしまいましたが、「ミドルスクール」ならローテーションも無く、あの日夢見たデッキを回せます。また当時財力の関係で組めなかった憧れのデッキも今なら安く組めるかもしれません。みなさんも「ミドルスクール」で思い出のデッキを組んでみませんか。


あとがき

振り返るとそこそこの長文となってしまいましたが、おじMTGプレイヤーの昔語りを最後まで読んでいただきありがとうございます。
わたしは最近は子育て等の為、リアルマジックをする機会が少ないですが、もし大会で当たったらその際はよろしくお願いいたします。

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