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統率者戦特殊ルール『コンクエスト』の雑感

はじめに

noteを読み漁っていたら海外に統率者戦を「コンクエスト」という特殊なルールで遊んでいる界隈があることを知った。

ありがたいことにルール理念を翻訳してくれている方がいらっしゃったので、今回はコンクエストに関して思ったことなんかをつらつらと書いていこうと思う。

ルールについて

以下ではコンクエスト特有のルールについて思ったことを書いていく。
一応こちらでもざっくりと説明してはいるが、詳しいルールに関しては先ほどリンクを張って紹介した記事を読んでほしい。

プレインズウォーカーも統率者にできる

統率者2014が発売されたとき、カードに印刷された「~は統率者として使用できる」の文字にひどくがっかりしたのを覚えている。
この文章のせいで今後永久に(なにかの間違いでルールそのものが変わらない限りは)すべての過去とほとんどの未来のプレインズウォーカーは統率者として使えないことが確定したからだ。
(スタンダードのPWに「統率者として使える」などというスタンダードではなんの意味も持たない文章を記載するわけがない)

プレインズウォーカーを統率者にすることが良いゲームを提供するかどうかはわからないが、選択肢が生まれているのはいいことだと思う。

初期ライフが30かつ統率者ダメージは12点で敗北

統率者戦の初期ライフ40って多すぎないか?というのは私も思っていた。
誰ひとりとして戦闘で勝とうとしないのも《森の知恵》や《むかつき》が莫大なアドバンテージを生み出すのもひとえに初期ライフが多すぎるためだ。
ライフをリソースに変えるカードを弱体化させつつ戦闘でプレイヤーが死にやすくなるこのルールは良い改善だと思う。

デッキの枚数は最小80枚

『最小』というのがとてもよい点で、例えば「バベルを組んで《機知の戦い》による勝利を目指す」とか「100枚で組んで《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に指定する」といった本家統率者戦ではできないことが可能になっている。

席順に応じた数の占術を行える

席順の差(※統率者戦では一番手が圧倒的に有利である)を是正するために手番が遅いほど多く占術できる特殊ルールが追加されている。
占術で差が埋まるかどうかは別として良い試みだと思う。

禁止リストは統率者戦とは異なるものを使用している

再録禁止カードがすべて禁止なのは敷居を下げるので良いと思うが、それ以外の禁止カードについては納得できるものもあれば納得できないものもあり、正直なところかなり微妙だと思っている。
特に現在の統率者戦で暴れているカードやコンボを締め出しておきながら過去の統率者戦で大暴れしたカードを何枚も禁止解除するのは「様々な戦略のデッキが活躍できるようにしたい」とか「戦略の独創性を生み出したい」といった主張に一貫性がないしかなり危険だと思う。
(本家統率者戦でそうならなかったゆえに禁止されたのだから)

コンクエストにおける各色の雑感

突出して弱体化している。
《吸血の教示者》《伝国の玉璽》《悪魔の教示者》がすべて禁止されており、初期ライフが低いせいでライフをリソースとするカード(要するに《むかつき》だ)も弱体化した。
《タッサの信託者》によるお手軽2枚コンボ抑制のためか《Demonic Consultation》と《汚れた契約》も禁止されている。前者はともかく後者はそれなりに使えるサーチカードであることも要因だろう。

《納墓》《生き埋め》といった墓地サーチや《暗黒の儀式》といった瞬間マナ加速は残されているのでそれを武器に戦っていくしかないだろう。

あと《陰謀団の先手ブレイズ》がなぜか解禁されているので高速で《ブレイズ》を出して最序盤から相手を縛り付ける黒単が組める。檻から出すな。

青の役割は軽量カウンターによる自身のコンボ強度上昇と他人の妨害なので、それらがノータッチなのが嬉しい。《意志の力》《否定の契約》《激情の後見》が現役な限りこの色は安泰だ。
というか《けちな贈り物》がなぜか帰ってきているのでむしろ強化されていると言っていい。サーチしてほしいんだかしてほしくないんだかわからない。

EDHではリーガルな《神秘の教示者》《Mystic Remora》《リスティックの研究》《マナ吸収》が使えないが、この4枚は無くてもそこまで問題ないものばかりだからいいだろう。
(まあ《神秘の教示者》はデッキによっては大打撃だが)

赤も依然として強いカラーのままである。
《波止場の恐喝者》《ロフガフフの息子、ログラクフ》は取り上げられてしまったが《死の国からの脱出》や《偏向はたき》が残っているのでなんとか威厳を保っている。青が強い色のままである以上アンチ青の役割が重要であることも一因だ。
また万能サーチでありながらしれっと禁止を免れている《ギャンブル》の存在も見過ごせない。
赤は最近になって強化された色なので再録禁止カードが一切使えなかろうが痛くも痒くもないのが強みである。

ただでさえ最近の統率者戦では弱い色として扱われているのに、万能クリーチャーサーチが軒並み取り上げられてしまった。
ごく一部の統率者しか使わないコンボカードの《食物連鎖》も取り上げられている。
《踏査》すら取り上げられているのは虐待と言っていい。禁止するほど強いカードでもないだろうに。
そして再録禁止の《ガイアの揺籃の地》も当然使えない。

コンクエストの最弱色待ったなしかと思われたが、なぜか《森林の始源体》がしれっと禁止解禁されているという衝撃的な事実が判明。(ついでに原始のタイタンも)
多分こいつを檻から出すのを決めた人は《納墓》《再活性》から2ターン目にしていきなり全員の土地をバリバリ割りつつ3マナ加速されたり、そこから更に《前駆ミミック》が出てきて《森林の始源体》トークンを倍々ゲームで出されたことが無いんだと思う。
緑にもまだ《緑の太陽の頂点》《召喚の調べ》のような一部サーチは残されているのでそれらを駆使すれば2014年頃の楽しい楽しい《始源体》ゲーが再び遊べるだろう。

あと《生命の律動》もなぜか檻から出されていた。

EDHリーガルのコンクエスト禁止カードは(再録禁止カード以外では)《ドラニスの判事》のみでありほぼノーダメだ。
それどころかなんと《エメリアの盾、イオナ》が帰ってきているので実質的には強化されていると言っていい。(なんで檻から出てるんだよお前も)

アイデンティティである置物妨害や《沈黙》系カードもすべて使いたい放題であり、デッキのサブカラーとしての強みは一切失われていない。

教示者シリーズが軒並み禁止の中で《悟りの教示者》が禁止を免れているのも特徴だ。
これは最序盤のサーチ対象となる《魔力の墓所》と《太陽の指輪》、《宝石の睡蓮》が禁止を食らったせいかと思われる。

無色

《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《パラドックス装置》が何故か禁止解除されている。

「《エムラクール》に殴られて盤面が壊滅するのはクールでエキサイティングな体験なんだよ!HAHAHA!」というのであればまだ納得するが、どちらも無限コンボに使うのに《パラドックス装置》がよくて《等時の王笏》がダメなのは本当に意味がわからないので誰か有識者に解説してほしい。
《等時の王笏》のほうが必要枚数も多いし条件が厳しいと思うのだが…。

《隔離するタイタン》もなぜか解禁されているのだが、こちらは各種フェッチランドとデュアルランドが禁止になったせいでそもそも基本土地タイプを持つ土地がそれほど並ばないであろうことを考えるとそれなりに納得の行く解除である。
でも資産が少なくて土地を基本土地でまとめた新規プレイヤーがこいつのせいで引退する可能性を考えたらこいつも檻から出すべきではないと思う。

あと《魔力の墓所》《太陽の指輪》《宝石の睡蓮》の3枚が禁止になっている。
ここまでサーチカードを締め出すと初手にこれらの加速を引いているか引いてないかでゲームが大きく傾いてしまうので当然か。

土地

再録禁止ゆえにデュアルランドが使用不可能かつフェッチランド10種類(と当然《カラカス》)が禁止。
フェッチ禁止は「デュアルランドが無いのにそこまでやる必要あるか?」と思わなくもないが、個人的には固有色の概念に土地タイプが含まれないせいで変な色のフェッチがデッキに入るのが美しくないと考えているのでかなり好みの裁定。
贅沢を言えばデッキの色と完全に一致するフェッチは入れさせてほしかったが、それをやるとルールそのものを変更しなければならないので仕方ないところだろう。

最序盤のマナ加速を毛嫌いしている割になぜか《古えの墳墓》は禁止ではない。

禁止統率者

概ね納得できる顔ぶれだが《熱心な秘儀術師、ハルダン》だけ禁止理由がさっぱりわからない。なぜだろう。
《眷者の神童、キナン》も統率者戦ではさほど強力な統率者ではないが、これはおそらくコンクエストが《森林の始源体》《原始のタイタン》環境であることが原因ではなかろうかと思われる。

最後に

全体的には元の統率者戦から改善されている点が多いが、過去の壊れたカードを解禁する一方で特に壊れてないカードを禁止にするといったよくわからない点もあり、まだまだ発展途上なのだろうなと感じた。
再録禁止カードを使わない統率者戦ということで新規参入者も取り入れやすいだろうし今後は日本でも流行するかもしれない。

私は《森林の始源体》の居る環境では二度と統率者戦をやりたくないと思っているので今のところコンクエストで遊ぶつもりはないが、禁止リストがもう少し平和なものになったらデッキを組んでも良いかなと考えている。

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