やれないことをやってみよう

とても久しぶりに書く。
前に書いたときに色々理由づけをしてみたのだが、後になって考えてみると外枠をガチガチに固めるとどうやらやる気が起きなくなるらしい。なので何も決めずになんとなくで書き進めてみることにした。

本を読んだ。数年前から趣味として小説を読んでいた。しかしここ数年、様々な娯楽に触れ、別の趣味ができ、なかなか本に触れる機会が少なくなっていた。しかし別の趣味が自分の中である種飽和しかけていて、ぼーっと動画を見ている時間や、SNSを眺めている時間が増えていた。しかも悪い癖で、動画を気に入ったものを何度も何度も繰り返し観てしまう。生産性ゼロ。

買うだけ買って読んでいない本が大量にあった。いわゆる積ん読。しょうがないじゃない。本屋で気になって開いてみると欲しくなっちゃうんだもの。
そんなふうに買い足して買い足して、消化されずに消化されないタスクだけが積まれていく状態。数年前、から一気に本を買ったタイミングが時たまあり、それが数年間続くとそりゃもうえらい数になる。塵も積もるし埃も積もる。

その中から一冊手に取った。辻村深月の「冷たい校舎の時は止まる」。この本、上下巻でおよそ1000ページの大ボリュームである。限定愛蔵版も出ている。辻村深月のデビュー作であるが、僕が読んだ辻村作品としては、「スロウハイツの神様」「凍りのくじら」に続いて3作目。
この本実は読書ハマり最初期の数年前に買って、何度か読もうとして200ページあたりでなぜか毎回止まっていた。挫折という訳ではないのだが、たまたま読書飽きが来るタイミングに重なっていた。

で、やっと全部読めた。因縁の200ページ付近を過ぎてから引き込まれまくって止まらなくなっていた。1000ページも苦ではない。

登場する8人の生徒。しっかりと、濃密に描かれる一人一人のキャラクターが際立っているこの作品。何よりも、物語の進行に伴う、ストーリーのスピードアップが止まる所を知らない。全員のバックボーンが描かれきった後の叙情感がハンパない。言葉のトリックもさることながら、よくよく読み返してみると軽く読み飛ばしてしまう程度の違和感のある文節が所々にある。これがまあ、いい伏線になっている。そういえばそんなこと言ってたわ。あれそういう事か。とてつもなく腑に落ちる。

1000ページに込められた8人の葛藤。それぞれに感情移入ができる。高校生ってこんな感じだよなあ、自分もこんな時期あったかもなあ、って思える。

一読の価値あり。



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