生きのびてきたあなたへ

こんにちは、もうお盆ですね。帰省ラッシュはどうでしたか?あの世から帰ってくる人たちにも帰省ラッシュがあるのでしょうか。
死んだ後くらいはがら空きの電車や飛行機をゆったりと楽しみたいですよね。

8月って、「死」について意識する月だと思いませんか? 6日と9日の原爆の日、15日の終戦記念日とお盆…今はもう会えない人達について思いを巡らすことが多い月だと僕は思います。

僕はお盆を迎えるたびに、「今年もそちらには逝けなかったなぁ…」という思いと「今年もどうにか生きのびることができたんだなぁ…」という思いがごちゃ混ぜになってなんだか鼻の奥がつーんとします。
墓参りに行って「ご近所さん」を観察すると、最近の日付が刻まれた新しい墓石があったり、もはや名前を読み取ることすら難しい苔むした大先輩のお墓にお目にかかったりします。地球の人口も増えているようですが、あの世の人口も増えているんでしょうね。

さて、去年はおよそ2万人の方が自殺されたそうです。一時期の3万人に比べて減ったとはいえ、十年もあれば僕の地元の街が消滅するような人数の多さには言葉を失います。漫画家の西原理恵子さんは、「どんな紛争地でも 年間3万人も死んでいません。そんなに多くの人が自殺する国は日本だけです。  この国は形を変えた戦場なんです。」(いきのびる魔法~いじめられている君へ~ 小学館)と書いておられます。僕もかつてその内の一人になる寸前でしたし、天寿を全うするまでそのリスクと付き合うことになるのでしょう。

でも、少なくともこの記事を書いている「今」まで僕は生きのびました。この記事を読んでくださっている皆さんも同じです。
よくぞ生きのびてこられました。本当に、本当によく生きのびてくださいました。親も教師も会社も世間も、誰も生きていることを褒めてくれなかったかもしれません。それでも僕は、あなたが生きて今日という日を迎えることができたことは本当に素晴らしいことだと思います。社会に代わって僕が褒めます。あなたは本当によく頑張りました。あなたは生きのびたのです。それはこの世で最も尊いことだと僕は信じます。

世の中は、「〇〇までに××できないと人生終わり」みたいなお話で溢れています。誰かの不安を煽ることで成り立っている産業はとてもたくさんあるのではないでしょうか? 僕自身の自戒を込めてですが、もし人生が辛いと感じておられるなら、どうかそうした情報やメディアから距離をおいて自分を休ませてあげてほしいと思います。僕もあなたも、生き延びるという最も大変で重要な仕事は毎日果たしています。それ以上のことはオプションサービスです。やりたくなったらやれるだけすればいいと思います。

僕は物心ついてからずっと、「人生とは何かを成し遂げるためにある。それができなければ生きてる意味はない。」と信じていました。でも、最近は「何かを成し遂げるために生まれてきたわけではないし。生きてる事自体でまぁ十分なのでは。」くらいに考えるようになりました。昔の僕自身からすれば軽蔑されるかもしれません。でも昔より生きるのが楽になったことは確かです。

この記事を読んでくださった皆さまと僕が来年のお盆とそれから先も健やかに生きのびることが出来ることを祈って締めとします。

やっていきましょう。

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