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デザインもうしないと決めてから、海外でデザイナーやってた話。

エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018の8日目は、株式会社エイチームライフスタイルマツが担当します。

はじめに

私は30歳手前にして、憧れだったデザイナーの仕事をやめました。当時「もう2度とやるもんか!」と言いつつ、気がついたら海外でデザイン再燃し、今ではほんとデザインやってて良かったなって素直に思えます。

デザイナーの将来に疑問を持っている方へ、何かしら参考になれば幸いです。

○ 目次
・デザイナーになったきっかけ
・海外に住んでみて
・カナダ文化とデザイン
・異国にきて気づいた日本人デザイナーの強さ
・海外生活を通じて、どう自分が変わったか

デザイナーになったきっかけ

そもそも僕がデザイナーを目指したのは25歳のとき。一冊の雑誌に魅せられたのがきっかけで、余白を大胆に活かした文字と写真のレイアウトバランスが、まるでアートのように美しく感じられた。

「デザイナーって響き良いし、たぶんできそう(←根拠なし)」そんなノリで半年ぐらい独学のち、デザイン事務所へ。一つのことを続けられない飽き性な性格と、直感で生きている自分にクリエイティブな作業はマッチした。

よし!やめよう

好きを仕事にできていたので、楽しくやってはいたが、毎晩遅くに笑顔で仕事を投げてくる環境下で、考える時間もない・作っては終わりのデザイン作業に、将来性を感じなくなった。

○ 以下当時の思考
・人生ってホント短い
・このままじゃダメだ、もっと色々な経験をしたい
  ↓
・デザイナーやっている限り時間ない
・デザイン作業
・じゃあデザイナーはもういいや
  ↓
・デザイン以外に自分がやりたいことは何だろう
・よし探しに行こう
・どうせなら全く環境がいいな
・海外行くか

ということで、
とりあえずコミュニケーションに必要な語学の勉強だけして海外に。

海外に住んでみて

自分が選んだのは、カナダ最西部「住みやすい都市No.1」にも選ばれたことのあるバンクーバー。治安の良さ・物価の安さ・キレイな英語を話すなど、総合的なバランスの良さが決め手だった。

海・山・都がワンセットになったような光景で、少し歩くだけでも色々な景色を楽しめる。四季は日本と同じくハッキリしており、春には桜(日本が昔贈呈したらしい)・秋には真っ赤なもみじが咲きとても美しい。

食べ物は日本の方が断然美味しい、なんか大味。お気に入りはTim hortos 日本でいうミスド、安くて美味しいドーナツとコーヒーを提供している。

ネットは日本より普及しており、Wifi完全無料の場所がいたるところにある。街の中心部には巨大な図書館があり、ビジネスマンに人気だ。

語学学校

最初の3ヶ月はホームステイ、日中はILACという語学学校に通った。コミュニケーションはともかく、英文が難しくさっぱり理解できない・・。当時なんとかしなきゃと焦りすぎて、寝言を英語で話していたぐらい。

学校帰りにクラスメイトとカフェに行ったり、海岸線をサイクリング、山登りなどのアクティビティ、ホームパーティーがあったりととても充実した日々を過ごした。個人的に語学学校は英語を学びにいくのではなく、一気に人とのつながりを作りに行く場所として利用した方がいい。

仕事探し

ここは非常に考えが甘かった・・。50社ぐらいレジュメ(履歴書)持って、飛び込みで仕事探すも、一向に見つかる気配なし。まあよく考えたら当然なのですが「現地で日本人を雇う理由は全くない」

たとえ英語を完璧に話せても、そりゃ会話ができるのは、ごく当然のことなので、なんらメリットにならない。「英語+何か」が必須なのである。

○ 働くには
・[必須] コミュニケーションスキル
・日本人のメリットを活かせる何か
・もしくはその人しか持っていない特殊技能

ものすごい焦りを感じてきたころ、ネットのリクルーティングでデザイナー募集が目に止まる。

「デザインか・・」

まあ、この際やりたいやりたくないの次元でもなくなってきたので、とりあえずエントリー→ 面接をへてOKの返事をもらえた。

最大の難所は面接でしたが、デザインという職種柄「伝えるべきことは、すべてビジュアル化させる」ため、十分な語学力・プレゼン力がなくても、ポートフォリオさえあれば、簡単な補足でなんとかなった。

仕事について

バンクーバーのDowntown(都心部)で、フリーペーパーを発行している会社で、特集ページのデザイン・クライアントへのヒアリングや、たまに営業と一緒に現地に赴いたりと。

社内コミュニケーションは責任が伴う分大変でしたが、仕事をしながら生きた英語を早く・楽しく学ぶことができた。また、考えをビジュアル化させるクリエイティブの力は、人種を超えコミュニケショーンに活きた。異国の地でもデザイナーという職種であれば、十分にやっていけるのではと思う。

既存のトンマナを守りつつ、日本の繊細なエッセンスを加えたデザインは、徐々にクライアントからも支持され、指名での制作も増えてきた。日本のデザインが認められた感じ

文化とデザイン

景観を大事にしているためか、街中で目に入ってくる広告は少なく、あっても写真がメインのごくシンプルなもの・体感系が多かったように思う。

ファッション広告で、急に道の真ん中にマネキンの真似をした本物のモデルさんがずっと動かずに立っていたり。国道を歩行者天国にしてマーケット開いたりとビックリするものが好きな感じ。

ユニバーサルデザイン

シンプルな広告がほとんどなのは、そもそもカナダは移民を多く受け入れている背景があり、様々な人種が一箇所にミックスされている状況で、各国の国民性に合わせたデザインを出すのは無理があるため、共通して誰でも理解しやすい ごくごくシンプルな情報設計が求められるのかも知れません。

カラーリング

周辺を美しい自然の景色にちなみ、スッキリとした明るい風景色(緑・青・赤)をよく目にした。また「国旗カラーの赤」「濃いブルーのカナックスカラー(カナダ人が大好きなアイスホッケーチーム)」など。

Webデザイン

伝えたいことを絞り、シンプルなレイアウトで、動きのあるものが多い。日本のは伝えたいことがたくさん、情報を詰め込む。海外の方がホワイトスペースの使い方や、動的な処理などUX的な表現は先を行っている。

○ おそらく
・伝えたいこと絞りシンプル→ ものごとハッキリ伝える国民性が反映
・動的な処理→ ネット普及率の高さ / 幅広い層がネットに理解
 

サービスが異なるのであまり参考にはできないが、印象的には以下のような違い。


※カナダのネット普及率:2000年で約50%のとき、日本は25%程度。

異国にきて気づいた日本人デザイナーの強さ

言語とデザイン

海外と日本のデザインが変わる最も大きな理由の一つが言語。英語はフォントの書体バリエーションだけで基本一択だが、日本語は「ひらがな・カタカナ・漢字・英語」を使い分けることができる。

その「文字の形状から受けるビジュアル的な印象」「文字そのものが持つ意味」を組み合わせて利用できる日本のデザインバリエーションは世界一だと個人的には思う。

※縦書きもできるし、漢字は少ない文字数で伝えられる情報量が多いため、限られた面積の中でもデザインの幅がぐんと広がる。

例:
・ひらがな:丸みを帯びて優しい印象を受ける
・カタカナ:角がとがっている / 外来語 = スタイリッシュ
・漢字:フォーマルで固め、大人な感じ
・英語:おしゃれ = 英語圏に対するイメージ(?)

日本語の美しさは日本にいると気がつかない、海外にきて改めて文字そのものに美しさを感じる。

国籍のアドバンテージ

海外で働く上で、日本人であることが優遇されている(と思う)。真面目で良く働くというイメージが現地で定着していたし、日本のパスポートなんてほぼ無敵※なため、国自体の信頼が高い。つまり、日本というだけでバイアスがかかっているため、同じぐらいのスキルセットを持つ人たちの中では、優遇される可能性が高い(と思う)。

※日本のパスポートはビザなしで入国できる数:現在世界一位(2018年10月現在 190ヶ国)

共通の技術

デザイナーが使うアプリや、紙デザ・webデザ・コーディングの作り方など、全世界共通の技術なため、ほぼ学習コストなしで、日本と同じパフォーマンスを即発揮できることは、現地の企業に大いにアピールできる。時間・場所・環境にほとんど依存しない職種は強い。


海外生活を通じて、どう自分が変わったか

1. 性格が120度ぐらい変わった

引っ込み思案で大人しく、あまり意見も言わないような性格でしたが、かなり社交的に。日々の刺激的で新鮮な体験の連続が、自分の価値観を変えた。もちろん心折れるような失敗体験もたくさんあるが、ネガティブになっている暇もなく、友人作りも仕事も、自ら動かなければ何も得られない。この環境が自分の限界をグッとあげたような気がします。

2. やりたいことが増えた

以前はごくごく狭い範囲に自身の行動や視野が限られていましたが、今は世界全体をフィールドとして捉えられています。先述の通り日本人デザイナーは、海外で活躍できる力を秘めていると思いますし、やりたいことの幅もどんどん広がります。

3. デザイナーで生きていく決心

デザインやめたのに、そのデザインのおかげで今がある。仕事を通じて、素晴らしい経験をすることができたし、やりたいことを探しに海外に行ったつもりが、デザイナーの可能性や魅力を改めて知ることができた。

まとめ

○ よかったこと
・多様な価値観に触れることで、視野が広がる 
・やるしかない環境が、性格と価値観を変える
・世界全体が自分のマーケットになる
・帰国後の優遇感
・今後やりたいことが見つかった
海外で気をつけたいこと
・アッパーまで英語力を日本で上げていく
・日本よりも安全な国はない
・仕事探しのハードルの高さ

エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018、明日は@shion84に書いてもらう予定です。お楽しみに!

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