散らかった感情の整理 2022年9月7日

 またしても感情が爆散しそうだから因数分解しよう。

 ひとつめ。複数人が参加する社内のオンライン会議にぼくと社員Aだけが先に入っていて他の人の参加が遅れていたとき、手持ち無沙汰だったぼくは「最近の労働のやらかし」をエピソードトークよろしく披露していた。ベラベラと喋っていたため社員Bと社員Cがそのオンライン会議に入っていたことに気づかなかった。社内でも噂好きで有名な社員Bにごちそうを提供してしまった格好だ。案の定、固有名詞に至るまで根掘り葉掘りしてきた。おそらく社内に吹聴するであろう。ことによるともう吹聴したかもしれない。これが上長の耳に入れば、後日上長からなにがしかをちくちく言われる可能性があり、気が重い。そしてそれ以上に、そんな場で労働のやらかしを話した自らの浅はかさにほとほと嫌気がさす。時よ戻れ。

 ふたつめ。1ヶ月ほど前に引き受けた労働案件にまだ一切手を付けておらず、ついに先方から「あれはどうなったんですか?」との連絡が来た。ほんとうにお恥ずかしい。しかも忘れていたわけでもなく、身内の死などの一大事が出来したわけでもなく、毎日毎日ちゃんと覚えていてこの遅さだったのだ。どうなっているんだ。なんでこんなに遅くなったのと聞かれてもなんとも答えられない。言い訳がない。ただ健康な身体を持て余して日々を無為に過ごしていただけなのだ。ほんとうにつらい。そりゃ先方だって苛立つ。時よ戻れ。いや戻っても何度も同じ過ちを繰り返すんだけど。ちなみにこれは上記の「最近の労働のやらかし」とは別の案件。やらかしすぎてる。

 みっつめ。どうやら社内の厄介な役目を高い確率で押し付けられそうになっている。憂鬱だ。ぼくが濫用している奥の手として辞職をちらつかせる手法があるが、濫用と書くだけあって過去2年で5回ほど使用しており、さすがにもう効力が薄れている。また、この手は社長以下重役にはやや有効なものの、職位の低い社員に対してはさほど効力を持たない。今回厄介な役割をぼくに押し付けているのは職位の低い社員なのだ。つらい。どうしたらいい。この件に関しては時が戻ってもなんの解決にもならないから戻らなくていい。強いて言えば時よ止まれ。

 よっつめ。キングオブコント2022の決勝進出者の発表を受けて、「○○が決勝進出!! イエーイ!!」の心と、「▢▢が準決勝敗退!? つらい!!」の心が一気に到来し、感情の濁流に溺れる。ぼくはコントよりも漫才派だというのに。でも溺れる。

 敗退した多くのユニットのなかでも、特にサルゴリラの敗退は胸に迫るものがあった。愛聴しているNHKラジオ「あとは寝るだけの時間」にサルゴリラの児玉が出演しており、発表前日の生放送でも「おれは知ってるんだけど(番組の)決まりで言えないんだよ……早くみんな(聴取者)に言いたいなあ」などと語っていたのだ。その声色から「これはサルゴリラが初めて決勝進出し、来週のラジオがお祝いフェスティヴァルになるパターンのやつだ」と理解した。しかしたいへん残念ながら敗退。つらすぎる。

 翻って、岡野陽一と吉住のコンビである「最高の人間」の決勝進出もまた、同じ熱量で胸に迫るものがあった。2010年代、界隈で“コントの天才”と称された岡野陽一がコントの世界に戻ってくるのだ。2016年のコンビ解散、解散後に岡野がまったくネタをしない時期、バラエティ番組でのクズキャラの確立。そして「どうしても岡野をコントの世界に戻させたい」との強い思いからわざわざ会場を事前に押さえて「ほらこれで逃げられないだろ、観念して単独ライブしろ」と発破をかけた東京03飯塚の存在。「岡野さんがクズ業に手を染めて、ネタをやらなくなってしまっていたところ、事務所の人から『岡野にはキングオブコントしかないから、もしよかったらユニットを組んで一緒に出てあげてくれないか』と言われた」のでユニット結成を持ちかけた吉住の存在。もしこれが脚本ならば物語としてあまりにも出来すぎている。決勝進出発表は6日の昼12時だった。ぼくはインドカレー屋にいた。決勝進出者一覧を確認したあとすぐさまTwitterで「最高の人間」をパブサし、岡野に期待を寄せる人びとの熱のこもった書き込みを目にした。ぼくはタンドリーチキンを食べながら泣いた。

 いつつめ。子供みたいなことをいうが、たぶんぼくは9月になってもまだ日中が高温多湿であるこの気象に怒っている。心理学の領域では、人は暑さによるイライラと怒りによるイライラを区別できないという。したがって暑くなると暴動が起きやすいのだそうだ。ぼくも暴動を起こしそうだ。夏よ消えろ。消えろ。誰か、早くぼくにリチャード3世の扮装をさせて「今や我らの不満の夏は去り、孤独な雪の女王が冴え冴えしい冬を呼び寄せた」といわせてくれ。

 まだ爆弾はもっとあるはずなのだ。溢れてしまいそうなのだから。しかしいざキーボードに指を置くと、残りのことは取り立てて書くようなことでもないような気もしてくる。これまではスラスラと書けたのに。

 してみると、この5つがぼくの魂を爆散させそうになっている主要因とみられる。分解おわり。もやもやしているものの正体がわかればあとは個別に対処すればいい。対処できなくても、正体さえわかればどの引き出しにしまえばいいのか分類できる。それだけでも数%は楽になる。たぶん。というかそう信じたい。そういうことにしておかねば発狂する。

 それにしても5分の3が労働関係って……。つくづく「あってもなくてもつらいものってな~んだ?」というなぞなぞが身に沁みる。(こたえ:職)

 

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