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【ソーシャル飯を味わう】行列のできる店の隣に新たに行列のできる店を作るということ

※ 有料部分を見た方は、店舗のネタばれをしないようにしてください。

 某所の駅ビルの地下にあるその店のことを知ったのは、3年ほど前のオープン直ぐくらいのタイミングだった。たまたま見たネットニュースサイトの記事だったと思う。なんでも、すぐに売り切れてしまうチャーハン専門店があるらしい。

 ほう、チャーハンか。昼飯にちょうどいいじゃないかと思って、隣の席の同僚に「駅ビルの地下にチャーハンの専門店があるらしいから、いかねーか」と誘って、数人で行くことにした。そんなところに人気のチャーハン屋なんてあったけかと思いつつ、でかけようとしたら近くの席にいた同僚の一人が「ああ、○○ですよね、その店、僕の先輩が退社して始めたんですよー」とのたまう。

 当時、僕は子会社に出向していて、そこはいくつかの会社からの出向が相乗りをしている会社だった。件の同僚は、まあ、世間の人に名前を出せば毀誉褒貶様々に言われるような某社からの出向だった。何、元△△が始めたチャーハン屋だと? 自分含めて同僚たちの空気に一抹の不安がよぎるが、まあ、行ってみようということに。

 某駅の地下に入り、あれー、どこだろーとぐるぐると歩きまわっているうちにその店は見つかった。僕らも良くいく行列店の隣だった。確か、ここは貸しスペースみたいな感じで、半年おきくらいで店舗が入っては居抜きで変わる店だった。へーっ、今度はチャーハンの店にしたのかあといいながら入ってみる。当時はまだオープンから浅いせいか余裕で4人で座ることができた。

 メニューを見て、4人押し黙る。チャーハンがセットで880円か。大盛りだと+100円。むうう、と思いつつ、大盛りを頼むことに。

 しばらく待って、最初に来たのは小さな湯呑に入った鶏のスープ。ああ、鶏の味が美味しいねえとは思うものの、まあ、普通? すんげえ美味しいって感じではない。ただ、もう少し塩コショウしたほうが味の立体感が出る気もするが、これはまあ好みかね。っつうか、量少なくね?

 なんか、だんだん同僚たちの脳内に曇り空が出てくるうちに、チャーハンが登場。大盛りにしたことにほっとする。これ、普通盛りだったらキレる。一緒に来た同僚の女性が頼んだ普通盛りを見ると、普通の店の半チャーハンの1.5倍くらいの量。僕の大盛りで普通の店の普通盛りの1.1倍くらい。なんか、女性が食べきれるようにとかなんとかいってたような気がするが、チャーハンって、ある程度量を食って満足する料理だと思うので、その欲求を満たせない時点でちょっと問題がある気がしてならん。

 まあ、これで、死ぬほど美味しいなら、良いんだがと口に運んでみる。

 うん、普通。すげー美味いわけでもないが、別に不味いってほどでもない。いや、むしろ、そこそこ美味い。ただ、これより美味いチャーハンの店をあげようと思えば、即座に3店は挙げられる。しかも、どの店もここよりも200円は安い。そして、肝心のボリュームが足らなさすぎるので、なおのことマイナス。食いながら、隣の同僚は「matsさんの見つけた店にはもういきませんから」とか「これなら、隣の××に行った方が、並ぶ時間も含めてはるかにコストパフォーマンスがよい」とか僕を責める。やめてくれ、責めるなら、僕じゃなくて某ニュースサイトを責めてくれ。僕も情報の被害者なんだ。って、ことで非常に微妙な気分になりながら、食い終える。

 金を払ったときに、あの微妙なものを食った時に特有の寂寥感を感じたから、きっと、この店の微妙さはほんものなんだ。なんて、意味不明な確認をしつつ帰社して、この店のオーナーを先輩にもつ、件の同僚を小一時間締め上げたのは言うまでもない。同僚もハタ迷惑だ。

 という店なんだが、なぜか、この後もずっと美味いチャーハン屋として、メディアに登場するし、いつの間にかそこそこ行列ができる店になっている。あそこに店を構えた店舗で、半年以上続いているのも初めて見たわ。ネットニュースの口コミ力恐るべし。しかし、この店、どのくらいリピーター抱えているのかねえ。

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