全く新しい技術なんて生み出せない

表題の通り、まったく新しいサービスやまったく新しい技術というものを生み出すことはできません。

前職は研究所で特許を書く仕事もしていましたが、特許のアイデアというものも既存の技術の延長線上にあります。既存の技術の組み合わせでしかないが、その組み合わせのときに少しだけ新しい要素が入っていたり、既存の技術の問題点を解決するためにちょっとしたアイデアを組み合わせるという方法です。

特にソフトウェアに関する特許では

「これはまったく新しい技術」

という特許は基本的に出てきません。既存の技術に対して問題があり、その一部を解決することになります。

また、起業家のピッチイベントに聴衆として参加すると、「競合となる既存サービスには何がありますか?」という質問に対して

「まったく新しいサービスだから、既存のサービスはありません」

という回答を見かけることがあります。これは間違いです。(敢えてそう言っている場合もあると思いますが)

日常生活やビジネス上の課題・問題があったときに、放置しているのではなく何らかの方法で現在も解決しているはずです。基本的に人手で無理やり頑張っていたり、使いにくいものを使って解決したりしています。新しい技術というのはいま人手で処理しているものをITで解決したり、ばらばらにあるサービスを上手く組み合わせて1つで済むようにしたり、そういったものであると考えてみましょう。

また、違うジャンルであったり海外に同じようなサービスがすでにあることも多いです。

新しいサービスを考えようというときに、自分の中に答えなんてありません。まったくの白紙からアイデアを出せる人はよほどの天才か嘘つきでしょう。一般人としては、先行している天才が作ったサービスのアイデアをうまく拾ってくることが重要になります。

登山のコミュニティサイトを作るとして、既存のサービスとしてFacebookのようなSNSがあったり、Cookpadのような違うジャンルのコミュニティサービスがあったりします。各サービスはその対象とする行為(交流や、料理など)に特化した機能が入っていますが、じゃあ「登山」だったらどういうふうなアレンジが必要になるのか?という考え方で考えてみます。

海外だとViewRangerのような海外の登山のサービスがあったりします。海外向けのサービスに対しては、日本特有のもの、例えば登山だと地図の種類が違ったり、距離の単位が違ったり、登山道の整備の状況が違ったり、季節によって山の状況が大きく変わったり、色々な差異があります。じゃあそれを踏まえてつくるならどういうアレンジが必要になるのか?と考えます。

また従来の登山という範囲であれば、山岳会や山岳サークルの中で行っている庶務のようなものも含まれます。実際に登山に行くにあたって必要な行動を洗い出して、どの部分をサービスに組み込むべきかという考え方で考えてみる。山に登る前にどの山に行くのか情報収集をして、行く山を決めたら何を準備したらいいのか、どのルートで歩けばいいのか。山に行ってからは地図を見たり岩場を歩いたり、メンバーの体調やタイムスケジュールを見て行動予定を見直したり。このように実際に登山をする行為を一通り想像して、どの部分をサービス化すると便利になるのか、どの部分の課題を解決するのかを考えてみます。

どの方法だとしても「そのままアイデアをパクる」のではなく、「少しだけ自分のスパイスを加える」ことで、独自のサービスに育てていくことが重要です。

まったく新しいサービスに見えるものでも、よく見ると既存の課題を少し違う方法で解決しているものだったりします。新しいサービスやニュースに積極的に触れてみて、「自分のやりたいジャンルだったらどう展開できそうか?」と常に考えてアイデアをストックすることをおすすめします。



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