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深い深い海の底で

Prologue

-5年前

12月に入り、街はいつも以上に浮き足立っていた。俺の心はそんな光景とは裏腹に沈みきっていた。

修二くんに中目黒の焼き鳥屋に呼び出された。修二くんとは歳が近いので、いつもなら仕事の愚痴を言い合うのだが、今日はそんな気分になれなかった。

「俺、深海魚になりたい。」

そんな唐突もない俺の言葉に、修二くんは、

「そういや昔、シーマンってゲームあったよな。久々にやりたくなってきた。」
と、俺を元気付けようと明るく振る舞ってくれているのが分かった。


8年間勤めた銀行。

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380字
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主人公がどん底の状態から、自分のやりたいことを見つけていくお話

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