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初めての縦走〜高水三山〜

3月下旬。
毎週山をのぼるようになり、からだも徐々に強くなってきた。が、
「無理はしない」
これは50を越えた人間には鉄則であろう。
コツコツコツコツ、そうやって生きてきたなと振りかえる。

標高をあげる前に距離をのばしてみよう!と、今回選んだ山は、初心者の縦走にオススメといわれる東京都青梅市奥多摩山域にある高水三山。
高水三山とは、高水山(標高759m)、岩茸石山(標高793m)、惣岳山(標高756m)の三山を合わせた呼び名で、低山ながらも奥多摩の豊かな森をめぐれるルートだ。(標高は国土地理院参考)

JR青梅線軍畑(いくさばた)駅からは高水三山以外にもハイキングコースが充実している。休日だったこともあり、駅には多くのハイカーがいた。
軍畑駅の標高は240mほど。高水山のてっぺんまでは500mほど標高をあげ、そこから縦走が始まる。はじめての縦走に心がおどる。
高水山登山口のある高源寺までは車道を歩いておよそ30分。ほかのハイカーとともに準備運動気分で進んでいく。

奥多摩は熊の生息地なので目撃情報も多い。ソロ山のぼりで怖いのはもちろん遭難だが、私は熊との遭遇がやっぱり怖い。熊鈴は持っているが、人が少ない森はどうしたって不安になる。
ちなみに熊スプレーというのがあるが、向かってくる熊にスプレーをかける自信はないので特に用意はしていない。
今回はハイカーが比較的多いであろう休日を選択し、狙い通りのスタートを切れた。

登山道に入って最初はアスファルトの急坂をのぼり、いよいよ本格的な登山道へ。

決して楽ではない道だが、奥多摩の大きな森に包まれてゆったりとした気持ちになる。

春の暖かさが心地よく、すでに服は一枚。
ツルシキミかな?つぼみや新芽もみかけるようになった。
ひと山ごとに春を感じるようになったなあ。

浅くなりがちな呼吸も、豊かな森にいると空気が一段とおいしく、深くゆっくりたっぷりとからだにチャージ!
登山口の高源寺から60分ほどで常福院へ。常福院から高水山のてっぺんまでは10分ほどでつく。
梅がお出迎えしてくれた。

常福院ではお手洗いが利用できる。ここから先はゴールの御嶽駅までお手洗いはないのでありがたい。
のぼりはもちろんキツイのだけど、整備された道が多くてのぼりやすい印象だった。
ちょっと余裕もでてきたかも。てっぺんがちょっとだけ近くに感じた。

高水山のてっぺんはちょっと狭く、眺望もあまりない。

あとふたつ山があると思っているから、まだここで達成感!とはいかない。
ベンチで少し休憩をとり、岩茸石山をめざして出発!
最初少しくだってからはゆるやかな稜線歩きが続き、葉のない木々が幻想的な世界を魅せてくれる。

そして今や春の風物詩、花粉の山。

高水山までは多くのハイカーがいたが、縦走を始めてから人が減った。
別のルートなのか、高水山で終わりなのか。
ひとりぼっちになり、思わず熊鈴を取りだす。
高水山から岩茸石山までは20分ほど。急登をのぼればそこは岩茸石山のてっぺんだ!

冬枯れはその木にとって真の美しさを魅せてくれる。
かざらない、ありのままの美しさ。

3つの山で一番てっぺんの眺望がのぞめるという岩茸石山。
広く開放感のあるてっぺん。
てっぺんから眺める山の姿にあふれる笑み。
低山の眺望では満足できないと思っていたけれど、高さではない魅力を教えてもらった。そこにしかない風景を山は魅せてくれる。

山の名前がまだわからなくて、スラスラいえるようになったらもっと楽しいだろうな。
ここでお昼をとるのがオススメとあったが、なるほど多くのハイカーがここでお昼休憩をしていた。
「誰もいないかと思ったら、到着してたのね」
私もここでお昼休憩。
今回こそはカップラーメンを食べる!とセッティングを開始。
買いたてのミニテーブルが役にたつ。
アルコールランプでお湯を沸かす。ガスより時間はかかるので、のんびり沸騰するのを待つ。

ついついすぐに下山してしまう私にはちょうどよい休憩タイム。
待っている間に団体さんがやってきた。
中学生男子の集団。遠足?中学生って遠足っていうんだっけ?
一気にてっぺんはにぎやかになった。
ようやくお湯がフツフツ沸いてきたのでカップラーメンにお湯を注ぐ。

普段食べないのに、山ではなんだかご馳走に感じてしまう。
待つこと5分。この時を待っていた!とズルズルっと麺を口に流しこむ。
「あ〜、おいしい」
塩っけが、重くなったからだにしみわたる。
あっという間に汁まで完食。

さあ、食べたら最後の山、惣岳山へ!
出発直前、中学生の集団も先に出発した。
最初はくだるのでそこでちょっと渋滞。
「にぎやかだけど、まあ人がいたほうが安心だし」と思いながら続いておりる。
しかし、そう思っていたのも束の間で、さすが中学生。元気にずんずんおりていく。あっという間に引きはなされみえなくなった。
惣岳山への道のりも基本ゆるやかで気持ちよく稜線を進む。
針葉樹と広葉樹のトンネル。

てっぺん近くは伐採され山肌がむきだしになっているところがある。
多摩地区は約6割がスギやヒノキの人工林だそうで、伐採の進んでいない高齢の木から大量の花粉が発生して花粉症が爆発的に増えている。私もそのひとり。計画的に伐採し花粉の少ない木を植えていくのだそうだが、課題も多いようでここは植林待ちということだろうか。
気になる。

最後にロッククライミングを思わせる岩が登場。

岩好きの私は「待ってました〜」と喜んで岩をつかむ。
ほんの少しの岩のぼりだが、冒険心をくすぐられ気分はインディージョーンズの世界!
憧れの岩綾ルートを妄想し夢がふくらむ。
岩を楽しんだらてっぺんだ。
惣岳山のてっぺんもあまり眺望はないが、ここで少し休憩。さっきの中学生たちも休憩をとっていた。
今度は私が先に出発。
静かになった。しまわれていた熊鈴が再び登場。

リンリンとなる鈴の音のBGMを聴きながら進むと、大きな御神木を発見。なんて優美なんだろう。お辞儀をして1枚パシャリ。
枝が手招きしているようにみえる。

高という漢字を丸で囲った文字が木にかかれている。
「これはルートの目印?」高水三山の高?

なんて思っていたら、小の文字も発見。

ルートの目印じゃないのか。木の大きさ?種類?何の目印なのか結局よくわからなかった。木にペイントされるのはどうにも違和感がある。

先ほどの中学生の声が遠くの方に聞こえると思ったら、あっという間に追いつかれ、春の突風のように過ぎ去っていった。
春の突風は暖かい。

9kmの縦走もいよいよ終わりが近い。
ゴール手前で竹の若葉がまぶしく輝いていた。

下山はのぼり以上に用心して膝に負荷がかからないように気をつけているのでゆっくりペース。
それでも標準タイムよりは早く下山完了!!
もう膝痛は克服したといっていいのではないだろうか。いや、まだ初心者レベルだから克服宣言はまだ早い。

帰りは軍畑駅のひとつ先「御嶽駅」から帰宅する。
御嶽駅の近くに藁葺き屋根のお蕎麦屋さんがある。人気店ということで何人か並んでいた。

お蕎麦は気になっていたのだが、お昼のカップラーメンでまだ満腹だったので今回はこのまま帰宅の途へ。
今度高水三山をめざすときはお昼ほどほどで寄ってみたい。

次回は「脱!膝痛」をかかげ、長距離縦走にチャレンジしたいと思う。


距離:9km
累積標高(のぼり) 796m



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