見出し画像

よよこ、写真スクールに通う

いよいよ期待に胸を高鳴らせ、父から譲り受けた銀のアタッシュケースに
真新しいカメラを詰め込みスクール通いがスタートした。

選んだのはフィルムカメラNIKON F5と
標準ズームレンズと50mm、85mmの単焦点。
正直、どのカメラがよくて、どのレンズが良いのかさっぱりわからなかった。
そのとき先輩カメラマンが持っていたカメラと同じものを選んだ。

男性の先生が授業のはじめに
「絞りってわかる?」
スクール生は皆苦笑い。

「そこからか」
苦笑しながらカメラの基本について教えてくださった。
正直、ちんぷんかんぷんだった。

それでもよよこは「プロになる」と決めていたので
不安も迷いもなかった。
「わからなければ勉強すればいい」
そう思っていた。

「あれだけお金をつぎ込んだんだから
家族にも協力してもらっているんだから
進むしかない!」

呪文のように自分に言い聞かせ、
ひたすら勉強した。

実践では当然のようにマニュアルで撮影をする。
光の具合に合わせて数値を変えるのだが、
とても無理だった。
撮るだけで精一杯。

数値を変えていたらシャッターチャンスは終わっている。
ブライダルの世界では一瞬がすべて。

なので、初めのうちはずっと絞りもシャッタースピードも
固定で撮っていた。
マニュアルにしている意味がない!
最初のうちはボロボロだった。
ブレているし、ピントも合ってないし、露出もぐちゃぐちゃ。

練習は自宅でも行った。
家の中ではぬいぐるみを被写体に数値の研究を行った。
ストロボの当て方も練習した。

フィルムカメラだったので、
現像が上がってくるまでどんな写真が撮れているのかわからない。
どの数値で撮影したかをメモにとり、
上がってきた写真と見比べては頭に叩き込んでいった。

人間、何度もやればそれなりに上達はする。
晴れてスクール卒業!!

卒業する頃には同期は同志となり結束が強くなった。

絞りすらわからなかったよよこだったが
卒業するときにはマニュアルで数値を変えながら撮影できるまでに成長していた。


シリーズでお届けしております
『よよこ、プロカメラマンになる』
マガジンはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?