よよこ、カメラにハマる
よよこがはじめて一眼レフを手にしたのは大学生のとき。
アマチュアカメラマンだった父から、
コンタックスの一眼レフカメラを譲り受けた。
そのフォルムの格好よさに惚れ込み、
いつも肩からぶらさげ気ままに撮るのが日課になった。
カメラのことはよくわからないけれど、
センスがある、
よよこは自分をそう思っていた。
そんなよよこが次にハマったカメラが、ミノルタの645。
父から借りた中判カメラだ。
その当時5年勤めた会社をやめ退職金をつぎ込み通ったお花の教室で、
生徒がいけた花をアシスタント先生が撮影してくれる。
漆喰壁をハロゲンライトが照らす。
アシスタント先生が使っていたのはMamiya67という中判カメラだ。
生徒はMamiya67で撮影したポジフィルムをもらえる。
ポジフィルム用のライトボックスにポジを乗せ、
ルーペで一枚一枚じっくり眺める。
それがたまらなく好きだった。
ライトボックスの上で浮かびあがる花は、
まるでゴーグル越しにみるVRの世界。
没入感がたまらない。
ハロゲンライトで照らされた空間に憧れライトとスタンドを買う。
Mamiya67は買えなかったので、父の645を借りていけた花を撮影した。
中判カメラのピント合わせは、
ファインダーをのぞくと真ん中に丸い枠があって、
丸の真ん中で上下にわかれて被写体がみえる。
そのわかれた上下の被写体がきれいに合わさるとピントは合う。
ピントの合わさる瞬間は快感。
そうしてよよこは退職金をつぎ込んで通ったお花の教室で、
お花ではなくますますカメラにハマっていくのだった。
29歳。
よよこは結婚した。子宝にもめぐまれ、子育てに没頭する30代がスタート。
大好きなカメラで今度は赤ん坊を撮りまくる。
20代後半のとき、
縁あってジュエリー会社のDM作成を担当することになった。
宝石など撮ったことはなかったが、645とハロゲンライトがあれば、
センスのいい自分なら撮れると思った。
甘かった。
輝かない。
光を当てれば輝くと思っていたのに輝かない。
宝石の色がでない。
ハロゲンライトをあてる位置をかえたり、
宝石の向きを変えたり、
試行錯誤しながら撮るも納得いくあがりにはならない。
花とは違う。
何が違うのか?
そしてよよこは気づいた。
よよこのカメラ知識はないに等しいと。
こうしてよよこは初めて、
もっと写真がうまくなりたいと強く願うようになった。
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