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matoil 立ち上げまでのお話

こんにちは、はじめまして、matoil-マトイル-の谷です。この記事を書いている現在は、京セラ株式会社の社員でもあります。マトイルは京セラ発の社内スタートアッププログラム発のプロジェクトです。このnoteでは、企業の中で一社員として働いていた私が、マトイルという新しいプロジェクトを始めたきっかけや道のりについて書いてみようと思います。

事業検証開始のプレスリリース

マトイルは、2021年の10月に、事業検証開始という形で京セラよりプレスリリースをしました。事業開始ではなく事業検証開始、というリリースはあまり聞かないかもしれません。実はまだ会社の中の1つのプロジェクトに過ぎないマトイルですが、お客様にサービスをお届けするサービスインのタイミングでもあったので、このような発表をすることとなりました。

このプロジェクトは、遡ること2018年12月から募集が開始された、社内スタートアッププログラムがきっかけとなっています。説明会資料には確か、「優れた事業案を考えて選考を通過したら、事業責任者として実際に推進してもらいます」というようなことが書かれてあったと思います。事業案を提案する上で、「今自分が担当している業務はおろか、社内にない事業を考えて良い」「自分が本当にあったらいいなと思うものを提案していい」という内容になっており、これを聞いた瞬間、自分がやるならこれしかない、と思ったテーマが食物アレルギーです。

食物アレルギーとの付き合い

私は生まれつき、食物アレルギーがあります。アトピー性皮膚炎やら結膜炎やら、いわゆるアレルギーマーチを経験してきた子供でした。私が子供のころはインターネットもなく、正しい情報、正しい治療法(もしくは自分に合う治療法)や病院に行きつくまでにとても苦労をしました。今では苦労もほとんど感じなくなるほど、症状はおさまっています。食べられるものも増えました。それでも、目の前に食べられないものが出てきたとき、「さあ、この状況をどう乗り切ろうかな」と考えるシーンはなくなることはありませんでした。

仕事の中で何に喜びを感じるか

もともとの私の職業は、UIUXデザイナーです。ユーザー調査やインタビューなどが大好きで、机上で考えることと実際のお客様の反応の差分を見つけると、一人こっそり楽しんでいるような日々を過ごしていました。ちょっとした一言の中に、本当の気持ちや欲しいものやありたい姿が隠れているかもしれない。そういうものに気づいたり、それをくみ取って本当に喜んでもらえるものが作りたいという気持ちが、私の仕事に対するモチベーションでもありました。

だからもし自分が1から何か提案できるのであれば、お客様が誰なのかはっきり決まっているものがいい。なおかつ、自分事でもあり、うまくいかない時でもその課題がなかったことにはできないものがいい、と思い今に至っています。

matoilの原型ができるまで

社内スタートアッププログラムは、1人の社員が1つの事業案を提示し選考を勝ち抜いていく、コンテスト形式を取っていました。選考の過程では、事業構想をするための研修を受け、学びながら実践する機会に恵まれます。その中で社内の熱量高い人たちに出会い、刺激的な時間を過ごしました。

選考を通過し、2020年4月からいよいよプロジェクト専任で活動することになりますが、実はこの時の事業案は今とは異なるものでした。2020年9月、ICCサミットに登壇させていただく機会があり、多くの方に壁打ちしてもらいながらPivotして、必死に作ったプレゼン資料が今のマトイルの原型となります。自分に自信がなさすぎる私にとって、やろうとしている事業が社会的にも経済的にも価値をもたらすものである、と伝えられるようになったことは、大きな転換点でもありました。

matoilを世に出すまで

ICCサミットの登壇後は、モニターテストを繰り返していました。美味しい料理を前に無邪気に喜ぶお子さんの様子に触れたり、ご協力いただいている親御さんとお話したりする中で、徐々に作りたい世界観が見えてきた頃、名前を考え始めました。

matoilという名前が付いたのは、2021年5月末のことです。最初にローンチするのは、食物アレルギーや好き嫌いなどの食の嗜好に合わせて、オーダーメイドでお料理を提案しお届けする、というサービス。お節介なまでに、食物アレルギーがある人に寄り添っていきたいという私たちの思いを、「食べたい」と「食べさせてあげたい」という気持ちの「的を射る」という言葉をもとにした、マトイルという名前に込めました。

ここからプレスリリースに至るまで5か月間、ブランド名やロゴ制作をはじめ、パッケージデザインやノベルティ制作、撮影、WEBサイト開設など、怒涛のタスクをこなしてきました。ブランディングのお願いから始まり、ありとあらゆるシーンで事業の伴走をいただいているSmilesのみなさんと、一緒に作り上げてきたマトイルのメンバー、手伝ってくれた社内のみなさんには、ただただ感謝しています。

WEB用の写真撮影中

また、WEBサイト内では、今までのモニターテストに協力いただいた方の声や写真をご紹介しているのですが、みなさんから快く「使ってもらって大丈夫ですよ」と言っていただけたことも、とても嬉しかったです。

オンライン料理教室の様子

「マトイルらしさ」は私の思いだけではなく、関わってくださる1人1人の人柄や思いがにじみ出て、できあがっているように感じます。ぜひWEBサイトものぞきに来てください(*^_^*)

matoil factory のOPEN

サービスを開始するにあたり、世田谷区上北沢にOPENした「マトイルファクトリー」。会社の中で食品を扱える場所がなかったことがきっかけとなり、ごちそうキットの製造場所として誕生しました。もともと保育園だった居抜きの物件をリノベーションすることで、レストラン・イベントスペースも設けて、マトイルのリアル拠点としてOPENすることにしました。

オープニングイベントである「マトイルはじめてのクリスマス」では、今までお世話になったモニターさんをはじめ、上北沢の方にもたくさん来ていただき、とても楽しい時間を過ごしました。

メディア取材にも来ていただくことができました!

今、マトイルファクトリーではオンラインイベントの配信や店内イベントの開催、店頭販売会、完全予約制のレストランをしています。いつかは、いつでも気軽に立ち寄っていただけるような場所にしたいなぁと考えています。

matoilのこれから

マトイルには、描いている未来像があります。たくさんのやっていきたいことを描いた時に、最初の一歩を「誕生日などの記念日に、ごちそうキット
をお届けする」ということに決めました。オーダーメイドで、シェフが1人1人の事を考えながらメニューを考案しており、お客様との出会いによって、日々新しい料理が生まれています。ご家族ごとにお話を聞かせてもらっている、ということに驚かれることも多いですが、安心と美味しさを両立するためには欠かせないことだと考えていますし、何よりみなさんとお話をすることは私たちにとって楽しい時間となっています。

イラストが可愛すぎて、見る度に嬉しくなる未来像

シェフの作った美味しいお料理が、簡単調理で仕上げられるキットという形にも、色々な可能性を感じています。例えば、旅行先や帰省先に持っていったり、修学旅行先にマトイルがお届けすることもできるかもしれません。オンラインの料理教室では、キットをお届けすることで準備いらずで本格料理を体験することができます。包丁やまな板を使わず作れるデザートであれば、お子様向けのワークショップでも、炊事場のないイベント会場でもお使いいただけます。様々な食にまつわるシーンで、食物アレルギーがあっても大丈夫!と思える場面をどんどん増やしていきたいと思っています。

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。4月になり、活動開始から2年経ちました。2年前は、ちょうどコロナ禍となって、自分の仕事も世の中も先が見えない状態でした。事業を立ち上げようなんて1ミリも考えたことのなかった自分が足を踏み入れるには、とてつもなく険しい道のりでしたが、自由に活動させてもらっていることに、感謝しかありません。マトイルでは毎日、予想のつかない色々なことが起こります。そのたびに、どうするどうするって言いながらも楽しく乗り切れるメンバーと、協力してくださるみなさんのおかげでここまで進んでこれました。今後もやるべきことは山ほどありますが、1つ1つ丁寧に、でも勢いは止めずに進んでいきたいと思っていますので、これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。


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