0600猶二人生存ス

人間魚雷回天の製作者が演習の事故で亡くなる実話をもとにした話。

黒木と樋口が広い舞台の上で、机の上に向かい合って座っている。

広い空間の中で、閉鎖的な空間を身体的に表せているのがとてもよかった。

具体的に、呼吸(どんどん酸素が薄くなって浅くなってくる)、暑さ(汗を拭うなど)、狭さ(腕を広げられない)など。

他に良かったことは、メッセージが明確だったこと。

当たり前だが、乗っている人が必ず死ぬような兵器を設計した黒木や、国の為に喜んで死ねない奴は非国民だという’空気’を、ちゃんと否定していた。

必ずしも黒木が悪いわけではないかもしれないが、それでも彼の死後黒木隊員の意志を継がんと後に続いて死んでいった若者達が大勢いた。

それを、潜水艦の外からナレーターのような形で話を進める黒木と樋口の後輩(名前忘れた)が非難する。

不可能ではあるが、もし黒木がその後輩の悲しい叫びを聞いたらどう思うのか、自分が命をかけて守ったものを否定されたらどう思うのか考えてしまった。

回天の中で全て物語が完結するため、動きがあまりなく少々眠くなった時もあったが、二人の俳優の死ぬ間際の小さな息遣いまでもが後ろの方に座っている私にも届いてきてびっくりした。

会場の後ろまで演技を届けるということは、必ずしも大きな演技をすることではないのだなと思った。

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