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マトカ【映画のはなし】

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映画好きなマトカの2人が、ちょっと斜め目線で書いた映画レビューです。
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『TENET テネット』[視聴後逆行からの順行]の方向け ネタバレありのレビュー

クリストファー・ノーラン監督の集大成『TENET テネット』。テネット [順行視聴前]の方向けのレビューでは、少し堅苦しいレビューになってしまったので、こちらでは観賞後の方むけにざっくばらんに書いて行きたいと思います。ネタバレ全開で書きますので鑑賞前の方はくれぐれも読まないようにしてください。 必ずもう一度観たくなる、それが魅惑のノーランワールド この映画は1回観ただけでは理解できないところが最大の魅力なのかもしれない。逆にわからなくて移入できないという欠点でもあるかもし

『TENET テネット』 [順行視聴前]の方向け ネタバレなしのレビュー

「バットマン」シリーズ、「インセプション」「ダンケルク」など数々のヒット映画を手掛けてきたクリストファー・ノーラン監督の集大成『TENET テネット』。ノーラン監督のタイムSFもの+ジョン・デイビッド・ワシントン主演(『ブラック・クランズマン』ですっかりファンに)公開前から期待が膨らむばかりだったのだが、どれだけ期待しても、私の「期待」なんて当然はるかに超えてくる今までにない映画だった。 非常(非情)なまでにリアルなSF映画 SF映画と言うと、SFならではのファンタジー要素

【ポッドキャスト67】宗教”やってる”私が見た映画『A』『A2』(森達也監督)

こんにちは。フローレンス22世です。 地球の反対側に暮らす ロンドン在住の「フローレンス22世」と東京在住「豊里耳(とよさと みみ)」。 2人がぐるっと電話でつながりアレコレ話す「環・地球おしゃべり」、それがマトカのpodcastです。 ごく最近、ちょっといまさらではあるのですが、森達也監督のドキュメンタリー映画『A』『A2』を一気見しました。 『A』(1998年)は地下鉄サリン事件の後で混乱するオウムの内部について、 続編『A2』(2001年)はアレフと名称を変えた後に

【映画のはなし】キリスト者の私が見た、別の宗教:映画『A』『A2』(森達也監督)

text by Hanako in London 私はキリスト教の信者なので、「宗教やってる人」と言われることがある。 「やってる」っていわれると…う~ん、何かやってるってわけでもないんだけど~と言いたいときもないわけじゃないけど、 でもまあ、いいです。 宗教やってます(笑)。 ある段階で神を持って生きていくと決めたのだが、「決めた」というほど別に力強く決意したわけでもない。 あるとき「そういうことか」と思ったことはあったが、もっと「そっか」というふんわりとした感じ

へこんでも、へこんでも、人生は続いてる。映画『フランシス・ハ』

text by Yoko in Tokyo あーあ、へこむなあ」なんて出来事は大人になってもしょっちゅうですが、そんなとき、何をするのが一番気が紛れるのか? 私はなんと言っても1位は「寝る」ですが、2位は「映画観る」、3位は「歩くorお風呂」でしょうか。皆さんはどうなんでしょう。2位の「映画観る」では割と激しめのアクションとかサスペンスを観ます。強い女性の主人公が理想です。例えば『マッドマックス 怒りのデスロード』とか『ミレニアム』シリーズ(本家スウェーデンの方です)は本

【映画のはなし】バラの紅茶を飲みながら見る天国と地獄『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』

text by hanako in London 「ファッション映画」というジャンルがある。具体的には ファッション業界を舞台にした ドラマ(『プラダを着た悪魔』)やドキュメンタリー(『メットガラ ドレスをまとった美術館』『ディオールと私 』)のことだ。私はときどき映画紹介記事を書いたりしているのだが、 『プラダを着た悪魔』 については何度書いても読まれるようだし、繰り返し視聴されているようだ。 ファッション映画は美しいシーンが多いから何度見ても目で楽しめる。ガッツリ新作