数検1級2次の対策

大学4年、2024年4月に2次試験合格(3.5点/4.0点)
過去の1次合格と合わせて正規合格しました。

数検1級2次試験の対策について書いてる人がとても少ないように感じたのでどのように自分が対策したかを踏まえて反省交じりで書かせていただきます。

確実に受かるような数学力を身につけるのはとても大変ですが、6割程度の確率で受かる程度なら長い期間の勉強をしなくても対策可能です。


1 最近の傾向

Twitterでよく見られる1級合格者は持ち前の数学力で殴って対策をあまりせず点数を取るスタイルの人が多いです。(OMC勢、JMO勢、数学系院試を乗り越えた者たちなど)

自分はそこまで数学力がないのでガチガチにメタ対策しました。

2次試験は問1〜問5から2問選択、問6、問7が必答で1問1.0点の4.0点満点、合計2.5点で合格です。

問4に統計推定
問6は線型代数
問7は微積(極値判定、重積分、常微分方程式が頻出)
他の問は結構ランダムな分野から出題されます。

少し昔の風潮だと「統計推定は簡単だから対策して絶対1.0点取ろう!」って感じだったんですが、最近は難化傾向にあります。

実際に2024年4月実施の統計の問題はタイムラインで悲鳴を上げている人が多かったです。(僕も0.5点しか取れませんでした。)

2 作戦

しかし、統計検定を諦めるわけにはいきません。なぜなら数検の各問の難易度はこうなっています。(超個人的なものなのでご了承ください)

選択(統計以外) 標準~難(まれに易)
選択(統計)   易~標準(まれに難)
必答(線型代数) 易~標準
必答(微積)   易~難

※選択(統計以外)の難易度は選択4問の中で1番簡単な問題の難易度

問題なのが、そこそこの割合で必答の微積で難しい問題が出てくることです。このせいで必答で2.0点を取って選択で0.5点を取るという作戦が取れません。また、統計推定は基本(1),(2)の小問2問構成で各0.5点ずつ配点があるのですが、難化傾向にあるといってもちゃんと対策すれば(1)で0.5点はほぼ確定で取れる難易度だったりします。(回帰直線だときつい)

加えて本番で2完1半では記述の採点で減点されて不合格になりがちなので、3完 or 2完2半しないとほとんど合格しません。このような理由から統計を捨てるのは結構安定性に欠けます。
Twitterではよく答えがあっていても謎に点数が全然来てない人をよく見かけます。

統計以外の選択は出題の幅が広すぎてメタ対策ができないので、確実に受かりたいなら線型代数と統計で2完するつもりで勉強するのをオススメします。

微積を絶対解くつもりでいると、難しい回に当たったとき雪崩する可能性があります。

3 使った本

評価をA~Cでつけています。
薄さとメタ対策度合いが評価基準です。

微積編

1.数学検定1級準拠テキスト 微分積分

評価 A
問7の対策本ではありますが、微分方程式はまったく載っていません。重積分と極値判定の対策として良いのと、問2とかでたまに選択問題で類題が出たりしてとても良い本だと思います。

問7だけの対策ならこの本に関しては4章と5章のみで充分だと思います。

※極値判定について 
この本だけで極値の対策はほとんど充分なのですが、2023年10月の試験の2次試験問7で3変数関数の極値問題が出題されました。3変数以上の極値問題についてこの本には記述がないので、確実に受かりたい人はプラスαで勉強しておきましょう。

2.常微分方程式キャンパス・ゼミ

評価 B
問7に出てくる微分方程式のためだけにやりました。マセマシリーズは本質的理解に向いてないと言われがちですが、とにかく時間をかけたくなかったのでお世話になりました。数検対策としては良さげだと思います。公式の導出はもし理解できなかったら飛ばして覚えちゃえばいいと思います。
問題集ではなく参考書です。

3.演習微分方程式

評価 C
微分方程式の演習がしたくて取り組みましたが、数検対策としてはすこしだけ難しすぎるという意味でCです。常微分方程式の問題が100ページ分問題が乗っていてとにかく多いので、時間がある人はやってもいいのかなと思います。チャート式とほぼ同じような問題集だと思ってもらえばよいです。僕は飛ばし飛ばし100ページまで1周しました。

マセマの微分方程式の演習書も常微分方程式だけで150ページくらいあるので、完璧に対策しようとすると時間がかかってしまうのはしょうがないと思いますが、本番は範囲が広いだけでそんなに難しい問題は出ないので色々な解法を習得するのに時間をかけて演習は例題だけ解くとかでいいと思います。


途中でやめたり、やってもよかったかな?って本も話しておきます。

4.演習微分積分 (サイエンスライブラリ演習数学)
時間がなくてちょっとだけやって途中でやめちゃいました。
4章で偏微分(極値)、5章で重積分、6章で微分方程式がのっていてここだけで言えば65ページくらいなので問7の精度を上げたい人にはお勧めです。
(範囲で言えば常微分方程式は足りてないと思います。)

線型代数編

1.数学検定1級準拠テキスト 線形代数

評価 A
超お勧めです。2次の問6もほとんどこの本の類題しか出ません。1番最後のグラムシュミットまで全ページやりこみましょう。完璧にすれば問6で0.8点は固いです。


統計推定編

1.統計学入門

評価 B
統計学初学者だったのですが評判通りとても良い本でした。本質的な理解までしたい人にはお勧めですが、数検対策としてはすこし量が多いのかなと思います。

私は大学の春休みを利用して30時間ちょいで章末問題まで含めて1周したのですが、もしかしたら2次対策に大きく関わる3章と9~13章だけ1周して、あとは後述する本で詰まった時に読み返すくらいでも良いかもしれません。章末問題の詳しい解答はネットで検索すればでてきます。

2.明解演習 数理統計

評価 A
難化傾向にある問題にも対応できる本なので超おすすめです。特に4章の回帰直線の部分と5章と7章は全部解けるようにしとくと良いと思います。
完璧にすればかなりの割合で問4で1.0点取れると思います。

僕が受けた回では、(1)と(2)のどちらもこの本の7章に載っていた類題が出題されましたが、これ飛ばしてもいいんじゃね?ってなっていたせいで(2)の0.5点分を失いました泣(この本のp145)


3.日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集 CBT対応版
4.日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2018〜2021年]

そこそこやったけど、本当にやらなくてよかったです。
数検2次の統計と統計検定2級の範囲がかぶっているという噂を聞いて購入しました。この時間で明解演習 数理統計をやり込んでればよかったと後悔しています。ちなみに、統計学入門を一周すると統計検定2級の合格点が取れるようになります。

過去問編

1.実用数学技能検定1級「完全解説問題集」発見: 数学検定

評価 A
過去問が7回分載っています。試験直前1週間で7回分解いたのですが、自己採点では第1回、第2回を除き5回/7回は合格してそうな感じでした。
統計、線型代数、微積の問は解説も読みこんでおきましょう。また、この7回で本番の作戦を立てておきましょう。
僕はここで

線形代数25分→統計15分→解けそうな問題30分→見直し20分→残り自由30分

みたいな作戦を立てました。
線型、微積、統計以外の選択問題で解けそうなものを解く練習もしときましょう。
(第2回2次の問4みたいなのは本番出ないように祈りましょう)

2.数学検定問題集 1級

評価  B
過去問が3回分載っていて1000円くらいだったので買いました。
この過去問3回分がとにかく難しいです。これも本番直前に3回分解いたのですが、自己採点では3回全部2.0点+αの合格ボーダー前後くらいの出来でした。自信を無くすので評価Bです()
ですが、安いし本番の作戦立てにも役立ってよかったです。

3.完全ガイド! 数学検定1級 出題パターン徹底研究
4.ためせ実力! めざせ1級! 数学検定1級実践演習

量が多い割には数検2次の メタ対策 としてはあまり使えないかなと思います。僕は結構解けなくて根本の数学力のなさを自覚させられました。
時間に余裕があるか、4.0点満点or確実合格を狙うならやっても良いと思います。
もしくはお金に余裕があるなら、どちらも2次本番形式のものが1回分ずつ載っているのでそれ目当てで買ってもいいかもしれません

さいごに

2、3か月で2次試験合格点を取りに行くなら

1.数学検定1級準拠テキスト 微分積分(4章,5章)
2.数学検定1級準拠テキスト 線形代数(全部)
3.明解演習 数理統計(4章,5章,7章)
4.実用数学技能検定1級「完全解説問題集」発見: 数学検定

とプラス微分方程式ができれば充分受かる可能性があると思います。

微分方程式対策だけA評価をつけられるほどの本とは出合えなかったので、おすすめの数検2次対策の微分方程式の本があれば教えてください。

とりあえずは4冊+微分方程式マセマ解説+常微分方程式の範囲の広い問題集、必要なら加えて統計学入門をおすすめします。

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