piosolverの勉強法とベットサイズ

PioSolverの勉強法とベットサイズ

はじめに

 この記事はPioSolverを持たれている方に向けた記事になります。読者の方にはPioSoverを持たれていない方も多いと思うので、あまり需要はないのかもしれませんが、しかし重要な話なので記事にしたいと思います。

 Twitterやnote等でPioSolver(もしくはGTO+)を使った分析について書かれている方を見ると、個別のハンドについてしか調べていなかったり、一種類のベットサイズしか検討していなかったりと、少し物足りない印象を受けることが何度かありました。
 勿論この方法でも勉強はできると思いますし、私も最初はこのようにPioSolverを使っていました。しかし長い間PioSolverを触った結果、私なりにもう少し効率的に勉強できる方法に辿り着いたので、その方法や注意点についてこの記事に書きたいと思います。

 納得していただける点があれば、是非参考にしてもらえると嬉しいです。


目次
・個別のハンドについて調べるより、まず全体の傾向を勉強すべき
・PioSolverには複数のベットサイズを入れよう
・メモリが足りない場合の勉強法
・私の使っているサイズ等



個別のハンドについて調べるより、まず全体の傾向を勉強すべき

 PioSolverの使い方としては、実践で悩んだ状況について入力し、その際のGTO解を知るという使い方をされている方が多いと思います。
 しかし私は気になったハンドについて個別に調べる前に、まず50個程度のフロップについて計算し、そこから集合分析等を通じてある程度全体的なハンドの傾向を勉強することを勧めます。

 コーチングの記事でも少し述べましたが、あなたが学ぶべきは個別のハンドの答えではなく再現性のある全体的な戦略です。特定のボードにおける個別のハンドについての戦略を勉強するよりも、こういった場合にはこのサイズを使い、このくらいのハンドはこのサイズにはコールできる等をまず体系化して身に付ける方がいいです。
 (例えば、HUのlimppotでは50%Cbetに対してペア以上、ガットショット以上のドロー、A,Khiバックドアフラッシュドローは相当特殊なボードでない限りはおりません。こういったことを体系化して、それでもわからない場合だけ個別に細かく見ていくといいでしょう。)

 なお、複数個のフロップを計算する際にはPioSolverについているランダムなフロップを生成するスクリプトよりも、こちらの記事にあるようなflop subsetを利用した方がボードの被りが少ないため、お勧めです。
 (私はこのflopsubsetを使っていました。)

 また、後で述べるように複数サイズを入力しておけば、実践のハンドをレビューしたい場合でも複数の中から近いボードを選べば、計算する必要なくある程度の戦略がわかります。

 ※計算するボードは50個程度で足りるのかという話もありますが、実際に私がspinの勉強をした際も、コーチングでspinのハンドレビューをした際も、50個程度の計算結果で困ったことはなかったです。そもそも50個のボードを調べても分からないような戦略を綿密に調べるのはコスパが悪いです。
 (6max等だと少し状況が変わる可能性はありますが…)



PioSolverには複数のベットサイズを入れよう

 もう一つ言いたいこととして、私はPioSolverには多少無理をしてでも複数のサイズを入れたほうがいいと考えています。その理由は下記の4つです。

・ベットサイズを複数入れておかないと正確に計算できない
・GTO戦略では複数のベットサイズを使い分けていることがある
・正確なサイズを分析しやすい
・ヒストリーを分析するときに手間がかからない

 以下でそれぞれの理由について軽く説明します。なお、途中で出てくるGTO戦略の図は全てHUの図を使用しているため、6max等と少し戦略の傾向が異なるかもしれませんが、ご了承ください。


ベットサイズを複数入れておかないと正確に計算できない  
 以下の図のように特定の状況でのCbetに対しては、GTOは2xの小さいレイズサイズを好むことがあります。しかし、チェックレイズサイズを2xのみにするとCbetが比較的気軽に打てるようになるため、Cbet率がかなり増えたりもします。
 これらの問題を避けて正確な戦略を知るためには、複数のサイズを入れることが最も手っ取り早いです。

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GTO戦略では複数のベットサイズを使い分けていることがある
 下図のようにGTO戦略では、特定のハンドは大きなCbet、特定のハンドは小さなCbetとサイズを使い分けていることがあります。
 典型的なのは1ペア系は大きく、2ペア以上は小さくベットする等です。(これはおそらくスロープレーと近い意味合いを持ち、私はセカンドベストハンドを作らせようとしてこのような戦略を取っていると考えています。)
 この状況でベットサイズが一つしか入っていないと、貴重な戦略情報を見逃してしまいます

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正確なサイズを分析しやすい
 これは上記の理由と若干被りますが、例えばGTO戦略ではターンで非常に論理的なサイズのベットを選択することがあります。(これについてはまた別記事で述べようと思います。)
 そしてこのサイズは特定の状況では変化するのですが、その変化はあまり大きくないため、サイズを複数入れないと掴みにくいです。

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ヒストリーを分析するときに手間がかからない
 前で少し述べましたが、あらかじめ複数のボードにおける戦略を計算しておけば、個別のヒストリーを分析する際にも近いボードを選択することで計算を行わずに戦略を確かめられます。
 しかし、その際にフロップCbetサイズを33%しか入力せずに計算していたが、実践で相手が70%のフロップCbetを打ってきていた場合、このハンドを分析するにはもう一度計算し直す必要があります。
 この問題は現実的に有り得るほぼ全てのベットサイズを入力しておくことで解決できます。こうすることでヒストリーを分析する際に時間のかかる計算を行わずに済み、手間が省けます


 ※ここで何故皆さんがサイズを複数入れないかというと、サイズを考えて入力するのが面倒なため、メモリが足りなくて計算できないため、計算時間がかかるため(計算中はStarsはプレイできませんし…)、といった理由が考えられます。

 サイズを考えるところに関しては、記事の下で私がHU(spin)と6max用に入力したサイズを述べているのでそれを参考にして頂ければ楽だと思います。
 他の点に関してはサーバーを借りれば何とかなります。€110/monthですが、あなたが分析に力を入れているならば買う価値はあると思います。
 (もしくは、私は一部の状況について既に計算した結果を持っているので、必要であれば売ろうと思います。興味があればTwiterのDMまで。)



メモリが足りない場合の勉強法

 上記でサイズを複数入れましょうと言いましたが、とはいえサーバーを借りるのは抵抗があるという方は多いと思います。
 そこで私は代案として、フロップだけはしっかり複数のサイズを入れ、ターン以降はとりあえず一種類のベットサイズを入れて計算し、その後subtree configuration機能を使ってターン以降も細かくサイズを調べるという方法をお勧めします。

 詳細なやり方は省略しますが、Tree→Create subtree configurationと選択すれば使える機能です。
 ターン以降のハンドを引き継いで、そこから戦略を計算する方法であり、ターンからの計算であれば複数サイズを入れてもメモリはあまり必要なく、計算時間も早いので便利です。



私の使っているサイズ

 実際に私がどれくらいのサイズを入力して計算していたのか気になる方も多いと思いますので、公開したいと思います。
 是非参考にして頂ければ幸いです。

 HUに関してはこのようなサイズを入力して計算した結果を使っていました。(上がリンプポット、下がレイズポットです。)

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※ターンのサイズが隠れていますが、どちらも150%,200%を入れています。


 また、6maxの2betpotに関してはこのようなサイズで計算し、友人と分析していました。

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 ただ、これだと少しわからない戦略もあったので、理想としてはこれくらい入力する方が良いです。(i7-7700Kで1フロップ3~4時間かかりますが。笑)

画像7

※Flopは150%,220%,300%が、Turnは300%が隠れています。


 ここまで入れておけば、相手がどんなサイズを使ってきたとしても対応できますし、かなり正確な戦略がわかります。
 もちろん複雑にすることで計算時間はかかりますが、それを超えるメリットがあると私は考えます。



おわりに

 本記事ではPioSolverを使う上で、個別のハンドについて調べるよりまず全体の傾向を勉強すべきという内容と、複数サイズを入れたほうが良いという内容を書きました。

 複数サイズを入れた計算結果を用意するのには少し手間がかかりますが、一度用意してしまえば勉強もはかどりますし、ヒストリー分析をする際の手間も省けるのでかなりお勧めです

 是非参考にしていただければと思います。


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