見出し画像

婚活の期限

私がたしか37歳だった頃、マッチングサイトで知り合ったその32歳の女性はご自身のプロフ紹介文で「婚活をするのは半年間限定で、どうなるかはわからないけどそのときお付き合いしている人がいればその人と結婚する」と宣言していた。

婚活を通じて交流のあったたいていの女性の人たちにたいして、その後素敵な誰かと巡り会って幸せに暮らしてたらいいなと心では思うけれど、その後どうしてるのかな?とまで思ったりはしない。でもその彼女についてだけは、その後本当に誰かと結婚したのかな?といまでも気になっている。

一か月お試しで登録してみました!みたいな人はときたまいるけど、自分が決めた期限をむかえた時点でお付き合いしている人と結婚すると宣言する人は後にも先にも彼女たった一人だったから。

待合せ場所は地元の和食屋だった。当日19時の同じ時間には彼女の職場では忘年会が開かれていて、彼女自身は「気が向かない」との理由で欠席していた。とはいえ気の合う仲間とは二次会で合流する予定で、私と食事した和食屋の閉店時刻が21時、彼女の職場の二次会の待合せは22時だった。それで私は食事が終わった後、良かったら一緒に時間つぶしますか?と声をかけた。そして僕らは二次会の待合せ場所近くのモスバーガーに行って二人でコーヒーを飲んだ。

年齢は30代ではあったものの、彼女は一本筋のとおった性格そのままに、野心たっぷりの20歳の女の子みたいな目の表情をしていて、おまけにとてもきれいな顔立ちをしていた。

モスに移動したあたりで、私はいくぶん気持ちが高揚して彼女との気持ちの距離を近づけすぎてしまっていたのではないかと思う。なれなれしいと鬱陶しいの一歩手前かわからないけど、酒が入ってもないのに失言もちらほらしたような、してないような。とにかく、彼女とのデートはその一回限りで終わった。こちらはまた会いたかったけれど、翌日、サイトのマイページ画面では「交際終了」が表示された。

私が決めた婚活期限

私自身は足かけ10年の婚活をして、44歳のときに結婚した。ある時期、たしか43歳は当のむかしに過ぎていた頃、「45歳で結婚できないようだったら婚活は止めよう」という思いが漠然と頭のなかにあった。この流れで結婚できないって一体何なんだろう?というような経験もしてきたし、私自身の問題で決断してこなかったことも十分あったから。

そんな開き直り(?)が功を奏してか、たまたま44歳で結婚できたけれど、個人的には婚活の期限はムリに決めなくていいと思う。決めたい人は決めればいいし、決めたくない人は納得行くまで続ければいい。

ただ「一か月だけ婚活してみました」みたいなのはやめたほうがいいと思う。一か月間だけ英会話スクールに通っても外国語が身につかないように、結婚までの縁とタイミングをこっちに持ってくるには一か月では短すぎるから。そしてその一か月で「婚活は、する価値なし」みたいな結論づけられるのはその彼/彼女の人生にとってもったいないから。

結婚相談所の交際期限

婚活そのものの期限と、相談所の登録者の「真剣交際」から結婚決断までのそれとはまったく異なるけれど、多くの結婚相談所では、その真剣交際から結婚決断までの期限を三か月に設定している。人生の大きな決断をこの先の三か月間で行うのかという緊張感は、感慨であると思う。

少し乱暴なたとえをすると、この場合の決断の本質は、建売住宅を買うときの決断と似ている。住宅を試しに住んでから購入を決められないように、相手とお試しで仮結婚して結婚はできない。建売住宅も住んでみないことには住み心地はわからないし、結婚もしてみないことにはお互いの本性はわからない。だから三か月での結婚の決断も十分ありだよね、とは思う。考えすぎても決断できないし、考えてるうちにお相手は(またはその物件は)ほかの誰かの手に渡ってしまうから。

期限と決断との兼ね合い

私が結婚を決めたときの話に戻せば、決断の一つのきっかけに妊娠と出産というか、私は男性側なので「子作り」があった。お互い若くないし、私自身が有効な精子を持っている人なのかわからないし、不妊治療までを決断するなら早いに越したことはない。この人と子作りしてみたい、という直感を信じてそしてお互いの気持ちを確かめ合って結婚を決断した。

繰り返しになるけれど、婚活の期限自体はムリに決めなくていいと思う。でもその期限を意識せざるを得ない何か、私たち夫婦にとっての「子作り」が私自身の背中を押してくれたように、自分たち二人にとっての結婚の動機になる何かを意識することで婚活の期限というか、婚期は早められると信じたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?