【第6回垂れ流し数学模試】文型第1問(2) 解答例

皆さんこんにちは。

今回は第6回垂れ流し数学模試の文型の第1問(2)の解答例です。

絶対値を含む関数の定積分の形をした関数の最小値を求める問題でした。


問題

$${a}$$を正の定数とする.  $${x\gt 0}$$で定義される$${x}$$の関数
$${\displaystyle f(x) =\int_0^a |t^2-x^2| dt}$$
の最小値を, $${a}$$を用いて表せ.

考え方

まずは落ち着いて, この定積分を計算してみましょう.

非積分関数(積分変数$${t}$$に注意)は,

$$
|t^2-x^2|=
\begin{cases}
t^2-x^2&\quad (0\leqq t\leqq x)\\
x^2-t^2&\quad (x\leqq t)
\end{cases}
$$

なのですが, 積分範囲は$${0\leqq t\leqq a}$$なので,
$${x\leqq a}$$か$${a\lt x}$$かによって計算が分かれることになります.

非積分関数 $${y=|t^2-x^2|}. ただし, 横軸を積分変数$${t}$$としている.

積分して$${f(x)}$$が計算出来たら, $${x\leqq a}$$, $${a\lt x}$$のそれぞれの範囲で最小値を出し, その小さいほうを採用します.
正しく求めると, $${x\leqq a}$$の場合は$${f(x)}$$が3次関数になるので,
微分して増減表を書くとよいでしょう.
(以下の解答例のように2つの場合をまとめて書いてもよい)

解答例

まず定積分を実行して$${f(x)}$$を求める.

(i) $${0\lt x\leqq a}$$のとき

$$
\begin{aligned}
f(x)&=\int_0^a |t^2-x^2| dt\\
&=\int_0^x (x^2-t^2) dt+\int_x^a (t^2-x^2) dt\\
&=x^2\left[t\right]_0^x-\dfrac{1}{3}\left[t^3\right]_0^x+\dfrac{1}{3}\left[t^3\right]_x^a-x^2\left[t\right]_x^a\\
&=x^3-\dfrac{1}{3}x^3+\dfrac{1}{3}(a^3-x^3)-x^2(a-x)\\
&=\dfrac{4}{3}x^3-ax^2+\dfrac{1}{3}a^3
\end{aligned}
$$

$${0\lt x\lt a}$$において, $${f(x)}$$を$${x}$$で微分すると,
$${f'(x)=4x^2-2ax=2x(2x-a)}$$となる.

(ii) $${a\lt x}$$のとき

$$
\begin{aligned}
f(x)&=\int_0^a |t^2-x^2| dt\\
&=\int_0^a (x^2-t^2) dt\\
&=x^2\left[t\right]_0^a-\dfrac{1}{3}\left[t^3\right]_0^a\\
&=ax^2-\dfrac{1}{3}a^3
\end{aligned}
$$

この範囲では$${a\gt 0}$$より, $${x}$$が増加すると$${f(x)}$$は増加する.

以上より, $${f(x)}$$の$${x\gt 0}$$における増減表は下のようになる.

(注) 今回は$${x=a}$$の微分係数は調べなかったが,
実際には$${x=a}$$でも微分可能で, 微分係数は$${2a^2}$$

したがって, 求める$${f(x)}$$の最小値は, $${\boldsymbol{\dfrac{a^3}{4}}}$$ ($${x=\dfrac{a}{2}}$$のとき)


まとめ

以上, 第6回垂れ流し数学模試の文型第1問(2)の解答をお届けいたしました。

文字が多くて少し考えることが多いかもしれませんが、
絶対値記号の中の正負が切り替わる瞬間($${t=x}$$)が, 積分範囲の中にあるかどうか
で場合分けすることを考えると、やることは見えてくるのではないかな、と思います。

それではこの記事を終わりたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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