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ダイカスト業界の2006年当時の夢と2022年の実際
コンサルはじめました
鋳造コンサルという職業に就いてはや2ヶ月。
サラリーマン辞めて、会社作って、社長私で妻経理、という典型的な脱サラです。
子どもはまだ中学生ですから、今後お金がかかります。
大企業や公務員のように給料は保証されていません。
こんな暴挙を妻はよく許してくれたものです、ありがとうございます。
クライアントに恵まれ、ご飯食べさせていただいてます、ありがとうございます。
コンサルをはじめて、とあるダイカストの教育用DVDに出会いました。
そのDVDと現在のダイカスト業会に関係が面白かったので紹介します。
ダイカスト協会の教育用DVD
ダイカスト協会発行の「ダイカストって何?」という初心者向けのDVDを観ていて
「テスラってやっぱりすげぇ」
と改めて思いました。
鋳造コンサルなんてやっていると社内教育を依頼されることがあります。
製造業でもその他業界でも同様かと思いますが、知らなきゃお客さんと話にならないことが多々ありますよね。
特に重要なお客様にリーチするのに共通の言語を持たないのは致命的です。
ということでご依頼をいただき、鋳造教育なるものを行う運びに。
教育するにもやはり静的な資料よりも動的な資料の方が目を惹きます。
そのため教育の一番はじめに動画を持ってくることが多いです。
そのときに使用した動画がコレです。
![](https://assets.st-note.com/img/1670739025757-HQJXAgSSsR.jpg?width=800)
すごく昭和な匂いがしますが、平成18年(2006年)に発行されたものです。
What's die casting?
ワードアートで作られたようなタイトルに時代を感じます。
見た目はアレですが、内容は初学の方にはちょうどいいので使わせていただいています。
教育用DVDの内容
ダイカストのざっくりした説明からはじまり、歴史、生産の流れ、金型の構造、原材料、ダイカストマシン、他の製造方法との比較、日本のダイカスト業界の現状、ダイカストの課題と展望といった内容になっています。
以下のリンク先から目次を見ることが可能です。
もしご興味あれば購入してみてください。
内容は初心者用ですので、特に目新しいものはありません。
ですがDVD最後の方の「ダイカストの課題と展望」という章は、割とイマドキです。
以下はナレーションの原文をそのまま記載しています。
アルミ鋳造、ダイカストの業界にいる方は
「あ・・・」
と思わされるはずです。
明日のダイカストを担う若手の技術者の皆様にあつまっていただき、ダイカストに対する夢を語っていただきました。
若手「ダイカスターにとって永遠の課題かもしれませんが、鋳造欠陥の発生を極限まで抑える技術を開発し、例えば航空機部品に使用できるような信頼性の高いダイカストを作りたい。」
若手「自動車のボディやビルの外壁パネルを一体でダイカストできるような超大物ダイカストの製造技術を開発し、世界中のダイカスターを驚かせたい。」
若手「どんな材料でもどんな形状でもダイカストできるような技術を開発し、素形材技術のトップになりたい。」
自動車のボディや〜を驚かせたい、の太字にした部分に着目です。
これって、いまを煌めくテスラのギガプレスです。
2006年のダイカストの夢とか言っているものは、そこから15年足らずで実現されているのです。
テスラはギガプレスという超大型ダイカストマシンを導入し、自動車のボディをアルミダイカスト工法を用いて製造しています。
教育用DVDを観た感想
2006年時点で、できたらいいなぁ、って思ってたことをほんとにやった奴がいる。
イーロン「車体を一発で作れたらすごくね?」
エンジニア「無理っす」
イーロン「なんで無理なんだっけ?」
エンジニア「ダイカストマシン、金型、すべてやったことないっす」
イーロン「70ある部品が1つでできるかもしれないんだぞ。やってみろよ。」
という会話はしてないとは思いますが、日本のエンジニアが夢といっているものをさらっとやってますからね。
結構無茶してると思います。
「とりあえずやってみる。」
この精神、好きです。
当然デメリットもあるのですが、そのデメリットをクリアするために課題が生まれ、それを解決するために技術が生まれる。
閉塞した感じがする日本の環境では生まれてこないのも頷けます。
2022年時点で日本国内の最大が4,000トンクラスのダイカストマシンですので、テスラの8000トンのダイカストマシンは一回りも二回りも大きいです。
ギガプレスの詳細はマテリアルデザインのブログに載っていますので、ご確認いただければ幸いです。
ギガプレスの工法に関わるところと、材料に関連する特許について詳述しています。
特許についてはよく考えられていますので、原文を一読されると勉強になります。
A356系をベースに材料設計されています。
2006年ダイカストメーカーの夢と2022年の実際
日本のダイカスト業界の2006年時の夢は、すぐに達成されてしまいました。
人が想像できるものは実現できる、とはよくいったものです。
素直にすごいと思います。
実はボディフレームのアルミダイカスト化の構想は、そこまで新しいものではないのです。
古くはアルディのスペースフレームから始まり、ヤマハのバイクフレームがこのギガプレスの礎になっていると思います。
材料開発、設備開発、金型開発、CAE開発など、さまざまな関連する技術開発がなされ、それがいつしか基礎となりました。
それを発展させて、新しい技術開発をテスラはやり遂げているのです。
まったく新規とは言えないのも事実なのですが、大胆なゲームチェンジをしていることに変わりありません。
その他の夢は、工法の成り立ち、工法の制約から難しいかな、と私は考えてしまいますが、その考え方がダメかもしれませんね。
できるできないを論理的に説明できるように努めたいと思います。
終わりは日本ダイカスト協会のDVDの終わりの画像を。
もうちょっとシックに作ったらよかったのに・・・
と思わなくもないですが、なかなか興味深い内容でしたので、ご興味ある方はぜひ観てください!
![](https://assets.st-note.com/img/1670741786780-3j2MxNpgsy.jpg?width=800)
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