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【ゾンビの家元】ジョージ・A・ロメロ「リビングデッドシリーズ」Blu-ray6枚セット

ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」3部作・新3部作(リビングデッド・シリーズ)Blu-ray6枚セットです。「死霊のえじき」とランド、ダイヤリー、サバイバルの新3部作は中古で入手しましたが、全て再生に問題はなく、盤面も良好です。

今回メルカリにはこの値段で出しますが、「いいね」の付き具合を見て値段を下げていきます。3回下げて売れないようなら、ヤフオクでまとめて1000円出品しますので、そうなったらそうなったでご期待下さい。ヤフオク出品する際は竹熊のTwitterとFacebookで告知します。

ジョージ・A・ロメロはいわゆる「ゾンビ映画」の開祖。ロメロ自身は子供の頃からホラー好きで、さまざまなホラー映画の影響を受けていました。高校時代の夏休みにヒッチコックの「北北西に進路を取れ」で使い走りのアルバイトをしたことが映画界に触れたきっかけだそうです。

大学卒業後、地元のピッツバーグでTVCMの演出をしながら、自主製作で「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を監督しました。ロメロ以前からゾンビが出るホラー映画はありましたが、それはブードゥー教の呪いで死者が蘇る古典的なゾンビで、ロメロのゾンビには明確なゾンビの発生原因は描かれないのが特徴です。せいぜい第2作目の「ゾンビ」で「地獄が満員になったから」と登場人物が説明するくらい。

観客はゾンビの発生原因など実は興味がなく、「ゾンビが出た。さあどうする?」に関心があるので、これは賢明な判断だと申せましょう。ヒッチコックの「鳥」にも鳥が人間を襲う説明は最後までありませんでした。(「鳥」の続編がドイツで製作されましたが、ここでは鳥が人間を襲う原因が研究所から細菌が漏れたためだと説明されており、余計な説明しやがって、と興醒めした)。

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は低予算映画のお手本のような作品。撮影は監督が住むピッツバーグの郊外で行われ、主人公の黒人が一軒家に立てこもってからは、ほぼそこだけでドラマが展開します。低予算でもアイデアと演出力でここまで面白い作品ができるんだ、と感銘を受けました。

またゾンビは基本的に人間の顔を青白く塗ってヨタヨタと歩くだけなので、とにかく安上がりに済み、その後の低予算学生自主映画の定番設定になっています。

ラストで主人公の黒人がゾンビに●●われて●される場面は、ロメロの社会派の一面を見る事ができます。

2作目の「ゾンビ」は1作目に感銘を受けたイタリアのホラー映画監督ダリオ・アルジェントが出資して製作された作品で、アメリカ国内公開版と海外公開版が作られました。海外版はアルジェントが編集してアルジェントの名前で公開されましたが、当時アルジェントは「サスペリア」の世界的ヒットで著名になっていたので、ロメロも納得の上です。

1作目は長く日本未公開だったため、日本人がゾンビ映画に触れた最初の作品がこの2作目です。1作目よりは金がかかってますが、それでも低予算で、舞台はほぼ郊外の巨大ショッピングモールの中で展開します。営業時間外で撮影を行ったため、スタッフは苦労したのではないでしょうか。

2作目「ゾンビ」の優れた点は、冒頭から街にゾンビが溢れていて、既にパニックに陥ったところから始まっていることです。テレビ局では評論家がゾンビの発生原因について侃侃諤諤議論をしていますが、そうしているうちにもゾンビが人間に噛み付いてその者もゾンビとなり、どんどん増えていく。正真正銘の非常時においては、評論家の議論など何の役にも立たず、軍隊も警察も、国家ですら頼りになりません。終始、そうした絶望感の中で展開する作品です。

3作目の「死霊のえじき」は、個人的にゾンビ物の最高傑作ではないかと考えている作品。世紀末的な絶望感の中で映画が始まって終わるのは過去2作と同じですが、今回はゾンビに対抗している軍事基地が舞台です。基地にはゾンビをなんとか飼い慣らすことはできないかと研究しているお茶の水博士みたいな科学者が出てきますが、この科学者自体、かなりマッドで、絶望に輪をかけています。

1作目からゾンビの特殊メイクを手がけているトム・サヴィーニの、これは最高傑作ではないでしょうか。サヴィーニのメイクを見るだけでも元が取れる作品になってます。

「死霊のえじき」の後も、ロメロが定義したモダン・ゾンビの設定はあらゆる国のあらゆる監督に踏襲されて、世界中でゾンビ映画が作られるようになりました。「死霊のえじき」から20年後、満を持して再びゾンビ映画に挑んだのが「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)、「ダイヤリー・オブ・ザ・デッド」(2007)、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」(2009)の新ゾンビ三部作です。

ロメロのゾンビ映画の特徴は、作る時代に合わせて、映画にその時代に対する風刺や流行を入れ込むところ。1作目の「ナイト・オブ」ではベトナム戦争と黒人問題、2作目の「ゾンビ」にはショッピングモールに象徴される大量消費社会に対する風刺などです。

新3部作だと、「ダイヤリー」は当時世界中で流行っていた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」などの低予算を逆手にとった擬似ドキュメンタリー風のホラーへのロメロからの解答になっています。

ロメロが創造したゾンビの定義とルールは実に優れたもので、その後の類似作のほぼすべてに踏襲されているばかりか、ロメロ自身もそこに縛り付けられていたと言えるかもしれません。優れたクリエイターは多いですが、ひとつの「ジャンル」を定義やルールごと築き上げた人間は数少ないです。ロメロは「サバイバル・オブ・ザ・デッド」(2009)が遺作となり、2017年に肺がんで77歳の人生を終えました。

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