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「サンセット大通り」

【メルカリ出品】ビリー・ワイルダーが撮った「ハリウッド内幕モノ」の古典的傑作。落ちぶれた往年の大女優(グロリア・スワンソン)が借金取りから逃げて自分の豪邸の庭に入り込んだ若い脚本家(ウィリアム・ホールデン)を匿うところから物語は始まります。

大女優は自分の屋敷に住む交換条件として、彼女が長年温めていた自分の主演映画「サロメ」の脚本を書け、と命じます。脚本家は時間が何十年も止まったような屋敷で、もはや顧みる者もいない戦前の大スターが集まってポーカーに興じる姿を目撃し、また屋敷の執事で彼女の身の回りの世話を焼いている不気味な男が実は彼女の別れた旦那で、しかも彼女が若い頃に出た戦前のヒット映画の監督であることを知ります。

大女優は過去の栄光に生きていて、夜な夜な彼女の代表作をホームシアターで涙を流しながら見るだけの「生ける屍」です。

脚本家はその姿を見て屋敷に住むのが嫌になりますが、一文無しなのでどうにもなりません。そんなある日、女優が巨匠セシル・B・デミルからパラマウントのスタジオに呼び出されます。「デミルの監督で再び映画に出られるのだ!」と感激した彼女は一流の美容師を呼びつけ、目一杯おめかししてスタジオに向かうのですが……。

この映画の凄さは、落ちぶれたサイレント時代の大女優を、本物の往年の大女優グロリア・スワンソンが演じていることです。また彼女の別れた旦那であり、今は彼女の執事として働いている老監督は、まさにサイレント時代の名監督で、完全主義が祟って仕事を干されていたマックス・エリッヒ・フォン・シュトロハイム本人が演じています。

そして彼女の家にポーカーをしに来る往年の名コメディアンを、実際に落ちぶれていた過去の大スター、バスターキートンが演じているのです。

つまりこの映画は、過去の栄光に縋って生きるしかない「落ちぶれた過去の人気映画人」を本物の「落ちぶれた大スター」が演じると言う異様な構造の作品なのです。

監督のビリー・ワイルダーは、戦後の大監督ですが、よくもまあこんな大胆な企画を立てたものです。ラストシーンの衝撃は今も語り草になっています。

「サンセット大通り('50米)」
ウィリアム・ホールデン / グロリア・スワンソン / ビリー・ワイルダー


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