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岡本喜八「大菩薩峠」米クライテリオン盤

岡本喜八が1966年に監督した「大菩薩峠」(英題THE SWORD OF DOOM)米国クライテリオン社製Blu-ray。大正時代に連載が開始され23年経っても終わらず話の収拾がつかなくなって作者の中里介山が死亡した、まるで「少年ジャンプ」のバトル大河連載を100年先取りしたようなウルトラ大河小説を鬼才・岡本喜八が監督した問題作です。

机竜之助という虚無に身を包んだ、欲望のままに生きて人を殺すことを何とも思わないアンチヒーローが主人公。これを30代のニヒルな二枚目・仲代達也が演じます。

まず冒頭で机竜之助が大菩薩峠を越えようとしていた老巡礼を斬り殺すのですが、これが何の理由もない。そこに山があるから、みたいな感じで人を斬る。

竜之助は神社の奉納試合である道場の師範と対戦することになっていましたが、この師範の内縁の妻(お浜)が竜之助を訪ねてきて、夫にわざと負けて欲しいと頼みこむ。竜之助は拒絶し、お浜を強姦。そして試合当日、竜之助は師範を斬り殺す。そしてお浜を無理やり自分の妻とし、江戸に逃げます。

殺された師範の弟(加山雄三)は兄の仇を討とうと江戸へ向かうのですが、竜之助の「音無しの構え」に対して今のお主の力では敵うはずはない、竜之助に対しては「突き」の一手じゃ、とのアドバイスを受け、ひたすら突きの練習をする加山雄三。

その頃竜之助は夫婦喧嘩をしてお浜を斬り殺してしまう。そして加山雄三の果たし状をすっぽかして京都に逃れますが、最後に近藤勇率いる新撰組と斬り合いになる。これが延々と続くのです。斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬りまくる仲代達也。最後は何の映画なのか誰にも分からなくなり、家は炎に包まれ血まみれの顔で斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬りまくって映画は終わります。

何だこの映画? あんなに仇を取ろうと突きの練習をしていた加山雄三はどうなったの?  と幾つものクエスチョンが頭に浮かんで完。

いかに橋本忍の脚本でも、支離滅裂な原作を2時間半にまとめるのは至難の技。いや、2部か3部作にする予定が会社の命令で無理やり完結させられたようにも見えます。

一流の監督、一流の脚本、一流の役者を揃えてスプラッタホラーを撮ったみたいな映画。米国が世界に誇るハイクオリティなクライテリオンBlu-rayでお楽しみ下さい!日本のプレイヤーでも再生可。

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