コント・巌流島

◯巌流島。かつて宮本武蔵と佐々木小次郎の闘いが行われたとして有名な島。
◯小次郎は武蔵が到着するのを待っている。

小次郎「武蔵の奴、遅いなぁ。もう約束の時間はとっくに過ぎてるってのに。」

◯小次郎はイライラしている。

小次郎「イライラしちゃう。ダメだ。これは宮本武蔵の策略に違いない。わざと遅れて心理的に有利な立場になろうとしているんだ。」

◯小次郎は深呼吸をする。

小次郎「…でも遅すぎないか?もう30分近く経ってるんだから連絡の一つぐらいするのが常識だろ。…常識で測れない男・宮本武蔵か。ふふっ。それでこそ一騎討ちのやり甲斐があるってものよ。……」

◯小次郎はまたソワソワし出す。

小次郎「いや遅すぎる。メール送ろうかな。でもこっちから連絡するのは俺がイライラしてるのがバレそうで嫌だな。いやでも30分遅刻は当然怒るでしょ。よし、メール送ろう。」

背中の弓矢を引き抜いて、手紙を矢に結んで放つ。

◯一方の宮本武蔵邸。
◯矢が飛んで来て洗濯物を干している武蔵のお母さんが素早い反射神経でキャッチする。
◯武蔵は布団で寝ている。部屋は汚い。
◯お母さんが起こしに行く。

お母さん「ちょっと武蔵。あんた佐々木君って子からメール来たわよ。お友達なんじゃないの?」
武蔵「あー(寝ぼけている。)」
お母さん「なんか一騎討ちがどうとか書いてあるけど、あんたまさか約束でもしてるんじゃないの?」
武蔵「んー?…あれ、お母さん、今日って何曜日?」
お母さん「水曜日。」
武蔵「…あれ、そうだっけ。すっかり忘れてたー。」
お母さん「あんたしっかりしなさいよ。さっさと準備して行きなさい。」
武蔵「んー。」
お母さん「お母さん洗濯干したらパートに行かなきゃいけないから。朝ごはんチンして食べてね。」
武蔵「んー。」

◯武蔵、ダラダラとご飯を食べる。
◯ダラダラと鎧を着る。
◯途中、コンビニに寄って立ち読みをする。
◯ダラダラと舟を漕ぐ。
◯ようやく島に到着する。

小次郎「お前が宮本武蔵か。」
武蔵「そうだけど。佐々木小次郎?」
小次郎「いかにも。…お前、遅かったじゃないか。」
武蔵「ああ、ちょっと前の用事が伸びちゃって。ごめんな。」
小次郎「決闘か?」
武蔵「まあ、そんな感じ。」
小次郎「…凄いな。話を聞くところによると、お前は二刀流の名手だそうだが…」

◯武蔵は刀を一つしか帯刀してない、

武蔵「あっ、忘れてた。」
小次郎「刀が一つ足りないじゃないか。」
武蔵「まぁ大丈夫でしょ。よし、じゃあやっちゃうか。」
小次郎「え、もう?」
武蔵「うん。なんで?早くやったら早く帰れるよ。」
小次郎「無事に帰れると思っているのか。残念ながら、ここがお前の死場所だ。覚悟!」

◯武蔵、スッとスタンガンを出してビビらせる。

小次郎「おいおいおい!スタンガン危ねえからしまえよ!」

◯武蔵、無言でスタンガンを小次郎に押し付けようとする。

小次郎「危ないって!なんか言えよ!」

◯スタンガンが小次郎の手に当たる。
◯『ビリビリ』と音がする。

小次郎「あたっ!イッターイ!…お前マジかよ。…なんか俺がやりたかったのと違うわ。」
武蔵「よし、俺の勝ち。じゃあ帰るわ。」
小次郎「あっ、ちょっと…」

◯武蔵、去る。

小次郎「…切腹しよ。」

《完》

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