コント・宇宙コメディアン

◯サラリーマン風の男が1人立っている。

男
「地球に来て丸一年。そろそろ偵察が終わろうとしています。

思えば、地球に来てから色々な驚きがありました。我々の星より文明が劣っていることは知っていましたが、まさかここまで劣っていたとは。

その最たる例が、使い捨てコンタクトレンズ。容器の蓋を剥がそうとする時、蓋とプラスチックの容器を糊付けしてる部分が硬すぎて開かない時ありませんか？
無理に開けようとしたら、蓋の糊が付いてないところだけ破けて剥がれちゃって。仕方ないから爪でカリカリカリカリ蓋を剥がさないといけなくなっちゃう。
あれとかホント、あんまりこういう事言いたくないけど、結局メイドイン地球クオリティの製品だなって。
メイドイン火星の製品はもっと品質高いです。
使い捨てコンタクトレンズの容器は職人さんの手作りです。
蓋も丁度いい接着剤でくっ付いてるから、とにかく開けやすい。

あと冷凍したご飯。レンジで解凍して表面が湯気とか出てるくらい熱々なのに、中の方はまだ凍ってる時ないですか？
ああゆうことあると、地球の文明、まだまだだな。
やっぱり火星の文明すげえな。
って思うんです。
火星のレンジはちゃんとタッパー内のお米全体を均等に解凍してくれて、まるで炊き立てかと見紛うばかりのふっくらご飯に仕上げてくれます。

そもそも地球人は文明を発展させる事を真剣に考えていません。
それどころか、彼らは無駄な事ばかりに気を取られています。

例えば、コンビニ。レジで店員さんが商品をスキャンしている時、「支払い、カードでお願いします。」ってどのタイミングで言えばいいのかわからない。聞かれてからでも勿論いいんだけど、でも先に言った方が会計スムーズに進むんだよな。でも、どうせ今言っても聞こえなくて聞き返されちゃうんじゃないかな。とかってウジウジ悩んだり。

久々に行ったバッティングセンターで自分でも驚くぐらい球がバットに当たらなかった時、隣の打席で打ってる赤の他人の目がやたら気になってきて、いきなり流し打ちとかやり出して「今本気でやってませんよ」的な無駄なアピールで球数を無駄にしちゃったり。

歩いて信号を渡ってる途中で赤信号になっちゃった時、最後の3メートルぐらいを小走りで行くか、それとも早歩きで行くか、逆に堂々と普通のスピードで行くか、表情は下を向いて如何にも申し訳なさそうに行く方が感じがいいかな。いや、でも涼しい顔で行った方が男らしいか。とかって悩んだり。

地球人は本当にくだらないことで日々悩んでいます。

でも、そうゆうとこ嫌いじゃないです。

」

《完》