コント・心絵

◯野球球場
父「あ、母さんもう試合始まってるよ(席を探す)ここ空いてるから座ろうか」
母「あら、今バット持って立ってるの純平じゃない?!」
父「おお、純平だ!母さん、一緒に応援するぞ!」
二人「かっとばせー!純平!」
母「いやーん。空振りじゃないのよ」
父「今のなんで空振りしたかわかるか?」
母「そんなのわからないわよ」
父「なんでわからないんだ。ちょっと見てろ(立ち上がって素振りをし出す)」
母「いやだお父さん。他の人達も見てるのに、(周りに謝って)すみません、うちの人がすみません」
父「いいか?今のは手だけで打ちに行っちゃってたんだよ。こうよこう(誇張した素振りを披露する)」
母「そうなの?」
父「そうなんだよ。もっと腰を使わないとダメなんだよ。こうよこう(誇張した腰遣い)」
母「なんか、やらしいのね」
父「今更何言ってんのよ母さん。野球って野球拳をヒントに作られたスポーツだからね」
母「そっちが本家だったの?(大声で)純平!こうよこう!(父の素振りを見せながら)」
父「よし、母さん。もう一回応援だ」
二人「かっとばせー!純平!」
母「いやーん。また空振りじゃないの」
父「今のは良くない所わかるよな?」
母「腰でしょ?」
父「違うよ。ちょっと見てろ(立ち上がって素振りを見せる)」
母「(周りに向かって)すみません、うちの人がすみません」
父「足を踏み込み過ぎてんだよ。こうよこう。(素振りをしながら)そうすると体に近いボールは?」
母「…当たらない?」
父「うん、というより打ちにくいんだな」
母「一緒じゃないのよ」
父「だから足を引いて、腕をたたむ!(誇張した素振りをする)」
母「純平!こうよこう!(父を指差して)腰も使いながらこうよ!」
父「よし、もう一回応援するぞ」
2人「ホームランホームラン!純平!」
母「(空中を見ながら)あらすごい!純平が打った球がこっちまで飛んでくるわよ!」
父「よっしゃホームランだ!オーライオーライ!」
母「あらやだ!あそこに座ってるの、松井秀喜じゃない?」
父「え?!」

父の頭にボールが当たって、倒れる。

母「あなた!しっかりして!」
父「じゅ、純平…」
母「(グラウンドに向かって)純平!お父さんがなんか言うわ!」
父「もう、お前に教えることは、何も、ない…(ガクッとくたばる)」
母「…あ、あなたーー!」

母ナレーション「こうして、息子の純平は高校卒業後に実業団の野球チームに入り、私は夫の後を継いでマグロ漁船の船長になった」

《完》

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